メタボ健康常識のウソ・ホント

痩せているからメタボとは無縁だ

やせていて、おなかがポッコリ。隠れ肥満は外見からはわからない
メタボリックシンドロームの診断基準
(1)の腹囲が当てはまり、なおかつ(2)~(4)までの中で2つ以上当てはまる場合は、メタボリックシンドロームと診断されます。

(1) 腹囲 | 男性で85cm以上 女性で90cm以上 |
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(2) 高血圧 | 最高血圧(収縮期血圧)が130mmHg以上 最低血圧(拡張期血圧)が85mmHg以上 (どちらか/または両方) |
(3) 脂質代謝異常 | トリグリセリド(中性脂肪)値が150mg/dl以上 HDLコレステロール値が40mg/dl未満 (どちらか/または両方) |
(4) 高血糖 | 空腹時血糖が110mg/dl以上 |
*(1)の女性の腹囲を80cm以上とするなどの研究班の報告もあります。また、(4)の空腹時血糖値は100mg/dl以上の提案もあります。
お酒はエンプティカロリーだから飲んでも太らない。

ほとんどは熱となって消えますが、飲み過ぎれば太ります
主なアルコールのエネルギー量 (単位/kcal)
ビール(大びん633ml) | 253 |
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生ビール(中ジョッキ500ml) | 200 |
発泡酒(普通缶350ml) | 158 |
日本酒(吟醸酒1合180ml) | 187 |
焼酎(乙類1合180ml) | 263 |
焼酎(甲類1合180ml) | 371 |
ワイン(白・赤1杯100ml) | 73 |
ウイスキー(シングル1杯30ml) | 71 |
ブランデー(シングル1杯30ml) | 71 |
酎ハイ(普通缶350ml) | 278 |
ウーロンハイ(中ジョッキ500ml) | 219 |
紹興酒(1合180ml) | 229 |
ごはんやパンはスパゲティーより太りやすい!

糖質の吸収が早く、 血糖値の急な上昇を 招くので太りやすい
GI値と食べ方の工夫
ラーメンやソバなどのめん類は、GI値が低くても飲酒後や夜食に食べる傾向があり肥満を招きます。白いごはんを食べるときは、野菜や大豆製品などGI値が低い食品を一緒にとると血糖値の上昇は緩やかになります。
主な主食のGI値
(数値は、ブドウ糖を100とした場合の血糖の上昇率をあらわします。55以下の食品が低GI食品といわれます)
フランスパン | 93 |
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食パン | 91 |
もち | 85 |
精白米 | 84 |
うどん | 80 |
コーンフレーク | 75 |
インスタントラーメン | 73 |
胚芽精米 | 70 |
そうめん | 68 |
スパゲティ | 65 |
中華メン | 61 |
ソバ | 59 |
ライ麦パン | 58 |
玄米 | 56 |
全粒粉パン | 50 |
*「低インシュリンダイエット日常食品GI値ブック」永田孝行監修 宝島社/「別冊きょうの健康 油断大敵! 内臓脂肪」NHK出版より
コレステロール値は低ければ低いほどよい!

低すぎず高すぎず。むしろLH比が重要になります
やや太めが健康で長生き?
米国の国民健康栄養調査によると、BMIが正常値(18.5~24.9)よりやや太めの25.0~29.9の人の死亡率がいちばん低いとのこと。正常値を1とした場合、やや太めの人の死亡率は0.9、BMI30以上は1.2~1.3。18.4以下は2.3。いちがいに肥満は不健康といえないようです。
BMIの求め方
BMIは肥満をはかる指標として広く採用されています。
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で数値を求めます。25.0以上が肥満、18.5~25.0未満が正常、18.5未満はやせ、と判定します。
甘いものを食べないので糖尿病にはならない

肥満による内臓脂肪の蓄積が要因。甘党とは無関係
糖尿病と診断されたら
糖尿病はさまざまな合併症を伴い、網膜症、腎症、神経障害のほか、脳卒中や心筋梗塞などを起こし命にもかかわります。いったんかかると、かぜのように治癒しません。血糖値が安定しているからと安心せず、食事や運動療法などを根気よく続けて血糖値をコントロールしましょう。
糖尿病の診断基準

肉の脂も魚の脂も同じ脂でちがいはない。

魚の脂は悪玉コレステロールを減らす作用があります
脂質異常症と診断されたら
動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞などを発症する可能性が高くなるので注意。内臓脂肪を撃退することが第一です。毎日30分以上の運動と、コレステロールが多く含まれる食品を制限したり、肉より魚を多くとるなど食事面に注意します。禁煙と節酒を守ります。
血圧は病院ではかっても家ではかっても同じ


病院では正常値でも、家では高値のこともあります
家庭での血圧のはかり方
(1) 血圧計は、上腕に器具(カフ)を巻くタイプのものが正確。
(2) 朝と夜の2回、すわって 1、2分安静にしてから。
(3) 器具は心臓と同じ高さで腕にじかに巻きます。指が1本入る程度のきつさ。
*血圧は毎日記録して、受診時に医師に見せましょう。
高血圧と診断されたら
高血圧が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。塩分の摂取は1日6g以下におさえ、肥満や内臓脂肪のある人はその解消につとめます。運動はウォーキングがおすすめ。1日30分程度、毎日行います。節酒、禁煙は当然です。
運動はゆっくり、ニコニコペースで
運動は心臓や肺に負担がかからない程度のペースで。隣の人に話しかけられる程度のニコニコペースが目安。うっすら汗をかき、軽く息がはずむ程度です。体内に酸素を取り込みやすくなり、脂肪がエネルギーとして効率よく燃焼されます。
やせるだけでは高血圧も高血糖も解消できない


内臓脂肪の蓄積が諸悪の根源。内臓脂肪を減らせばメタボも解消します
5分の運動でも脂肪は燃える
脂肪は、運動して20分たたないと燃焼しないと思い込んでいる人が多いようです。でも5分でも10分でも運動すれば体脂肪は燃焼します。10分間の運動を3回にわけても同じ効果が得られます。
ちょっと歩いたくらいでは内臓脂肪はとれない

内臓脂肪は蓄積しやすく、燃えやすいのが特徴
こんな運動は逆効果
バーベルを上げたり、短距離のダッシュの方が健康にいいのではと思う人もいるでしょう。でも過度な運動は逆効果。無酸素運動のこれらの運動は、細胞を傷つけ老化を早める活性酸素が体内で発生することにつながります。はげしい運動はケガの危険も伴います。
安全に運動するために
●起床直後、気温の高い日中や夜は避ける。
●空腹時を避け食後1時間以上たってから。
●熱中症や脱水症に注意。水分を十分に補給。
●動きやすく着脱の簡単な服装で防寒と暑さ対策を。
●高血圧や心臓などの慢性病をもつ人は医師に相談。
●めまい、吐き気、息苦しいときは中断して受診。
メタボリックシンドロームと診断されたら

メタボの元凶、内臓脂肪を減らそう
食生活の改善
食行動のポイント

●1日3食、決まった時間に食べる。
●腹八分目を心がける。
●夕食は寝る2~3時間前にすませる。
●野菜やキノコなど食物繊維を先に食べる。
●ゆっくりよくかんで食べる。
●早食い、ながら食い、まとめ食いを避ける。
●食器を小ぶりにする。
●外食では丼ものより定食にする。
●目につくところに食べ物を置かない。
運動不足の解消

●ややきついと感じる強さで。
●目標は1万歩でも最初は欲張らず毎日少しずつふやす。
●通勤時は1駅前に降りて歩く。
●駅やオフィスでは階段を使う。
●自宅やオフィスでスクワットなどの筋トレ。
●風呂そうじ、窓ふきなどの家事を積極的に。
禁煙とストレスの解消

タバコに含まれる物質には内臓脂肪を増加させる働きがあります。動脈硬化が進み心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす原因にも。またストレスは、やけ食い、やけ酒などを誘い内臓脂肪をためこむ要因。十分な睡眠、趣味、散歩などで心身をリラックスさせましょう。