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生活習慣改善
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4.笑えない…メタボが招くこわい病気メタボリックシンドローム 「応用編」

~糖尿病、高血圧、脂質異常症から動脈硬化、そして…~

メタボリックシンドロームがこわい理由は?

メタボのこわさは、血糖、血圧、脂質異常など1つ1つの危険因子が軽くても、それらが重なると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことです。ある調査によると、危険因子が1つもない人の心疾患の危険度を1とした場合、危険因子が1つでもある人は約5倍、3つ以上になると約36倍にもなるといいます(旧労働省作業関連疾患総合対策研究班調査2001)。
危険因子の中心が内臓脂肪。内臓脂肪の蓄積がインスリンの働きを低下させ、高血圧や糖尿病を招き、動脈硬化の危険が増大するのです。
実は、メタボは肥満した人だけの問題ではありません。見た目はやせていて、肥満の目安をはかるBMIでも肥満に当てはまらない「隠れ肥満」というタイプがあり、増加傾向にあります。
メタボリックシンドロームの起こるしくみと招く病気

内臓脂肪が多いとどうなるか

内臓脂肪が蓄積されると、インスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性を招きます。インスリンは血液中の糖をエネルギーに変える働きをするホルモンで、インスリン抵抗性が増すと、血糖の代謝が悪くなり高血糖、糖尿病になります。また、高血圧や痛風の原因にもなります。さらに内臓脂肪は、肝臓の遊離脂肪酸を増やし、脂質異常や脂肪肝を引き起こします。
メタボが招く病気でとくにこわいのが動脈硬化です。文字通り動脈の壁がかたく、もろくなり、血管内が狭くなる疾患です。

動脈硬化はなぜこわいか

動脈硬化にはいくつかのタイプがありますが、メタボと関係が深いのが粥状(じゅくじょう)動脈硬化と呼ばれるものです。血液中のコレステロールが血管壁にたまることで起こります。動脈の内腔にアテロームという破れやすいかたまりができ、内腔を狭くするのです。
このアテロームが破れると心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる重大な病気を引き起こします。
動脈硬化が引き起こす病気

メタボが招くこわい病気・その[1]   脳梗塞、心筋梗塞

動脈硬化が招く命にかかわる重大な病気

脳梗塞、心筋梗塞
脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まって脳細胞が壊死し発症する病気です。血管の動脈硬化が進み、狭くなった血管内部に血栓ができて血管を詰まらせる脳血栓(症)と、脳以外の部位(ほとんどは心臓)にできた血栓がはがれて脳動脈に詰まる脳塞栓(症)などがあります。
心筋梗塞は、動脈硬化を起こして狭くなった冠動脈の血管内に血栓が詰まって、心筋が死してしまう病気です。

脳梗塞の主な症状

  • 体の片側の顔や舌のマヒ。
  • ろれつが回らない。
  • 体の片側の手足のマヒや感覚のマヒ。
  • 会話の理解ができない。
  • めまい、吐き気、嘔吐、頭痛……など。

心筋梗塞の主な症状

  • 胸の激しい痛み。
  • 胸の圧迫感、息苦しさ。
  • 動悸、息切れ、冷や汗。
  • 吐き気、嘔吐。
  • 首、肩、背中の痛み……など。

メタボが招くこわい病気・その[2] 糖尿病

命にかかわるさまざまな合併症

糖尿病患者
内臓脂肪の蓄積によってインスリン抵抗性が起こると、インスリンが十分に作用せず、血液中の糖の濃度が上昇して糖尿病を発症します。
糖尿病の初期はほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに進行し、やがて全身の血管や神経が障害されます。なかでも頻度が高いのが糖尿病の3大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害です。脳梗塞や心筋梗塞なども合併しやすくなります。症状がなく進行するのでサイレントキラーと呼ばれます。

糖尿病の3大合併症

糖尿病神経障害/末梢神経の障害から、しびれや痛み、感覚の低下がみられます。痛みを感じにくく、足先のけがに気づかず、細菌感染から壊疽を起こすことがあります。

糖尿病網膜症/網膜の毛細血管が詰まったり破れたりします。自覚症状がほとんどなく、視力障害から失明することもあります。

糖尿病腎症/腎臓の毛細血管が障害され、濾過機能が低下し、血液中に老廃物がふえて尿毒症などの重大な病気を引き起こします。

メタボが招くこわい病気・その[3]  脂肪肝

放置すると肝硬変や肝がんを招きます

脂肪肝のイメージ
肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態を脂肪肝といいます。フォアグラのようなものです。肝臓の中性脂肪の割合がふつうの人の6~10 倍もあり、放っておくと肝硬変や肝がんへと移行する危険があります。内臓脂肪から放出される遊離脂肪酸が肝臓に流れ込むのが原因です。
脂肪肝の人は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの病気をもっていることが多いのが特徴です。インスリン抵抗性によって、血液中の糖が分解されずに肝臓で中性脂肪としてためこまれることが原因です。

脂肪肝の3大原因

  • 肥満
  • 過度の飲酒
  • 糖尿病

*最近ではアルコール摂取とは関係がない「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」がふえています。

メタボが招くこわい病気・その[4] …………痛風、睡眠時無呼吸症候群

肥満の人に起こりやすく、睡眠時無呼吸は突然死を招くことも

睡眠時無呼吸症候群
痛風は、血液中の尿酸が過剰になる高尿酸血症によって引き起こされます。足の親指の付け根などが激痛におそわれます。高尿酸血症が続くと、耳たぶのしこり、尿路結石を起こし、動脈硬化が促進されます。
睡眠時無呼吸症候群は、体の酸欠状態から心臓に負担がかかり、心筋梗塞や不整脈を起こして突然死を招くこともあります。肥満により気道のまわりに脂肪がついて上気道が狭くなり、睡眠中、舌の付け根が完全に上気道をふさいでしまうために起こります。

尿酸を作り出す「プリン体」を多く含む食品例

レバー(鶏、ブタ、ウシ)、煮干し、干しシイタケ、カツオ、イワシ、エビ、魚の干物(アジ、サンマ)

医学監修
医学博士 工藤一彦