胸部X線(胸部レントゲン)検査

所見 所見の説明
異常陰影
(いじょういんえい)
何らかの原因で影が認められますが、危険性や疾患の種類をこの段階で特定することができません。精密検査の指示が出た場合、放置せず受診が必要です。
横隔膜挙上
(おうかくまくきょじょう)
片方または両方の横隔膜が通常の位置より上昇して見える場合です。原因は種々あります。
気管支拡張症
(きかんしかくちょうしょう)
気管支の拡張した状態です。時々炎症が加わる場合があります。
胸膜肥厚
(きょうまくひこう)
肺を包む膜が胸膜です。二重の袋状になっています。この所見も細菌やウィルス等による炎症(最近では花粉症の影響もあります)が、治った跡です。炎症が治癒して胸膜が少し厚くなっている部分があることを示しています。
胸膜癒着
(きょうまくゆちゃく)
胸膜肥厚と原理は同じです。袋状の胸膜の一部が炎症のため癒着している跡が見えています。治癒像です。
硬化巣
(こうかそう)
石灰巣と同じ内容です。比較的その程度が大きいものを指します。これも治癒像のひとつです。
索状影
(さくじょうえい)
2~3mmのやや太い陰影を索状影といいます。胸膜肥厚や気管支拡張等で起こります。
心形状拡大
(しんけいじょうかくだい)
主として、心臓の拡大や肥大を示しています。肺野に対する心臓の大きさの比(心胸比)が55%を超えている場合です。年令や体格によって拡大傾向が見受けられます。
脊椎変形
(せきついへんけい)
胸部X線で脊椎も写ります。側弯症や変形性脊椎症などで変形が認められる場合に所見としてあげています。
石灰巣
(せっかいそう)
細菌やウィルス等による炎症の痕跡です。ご自分で気がつかないうちに治ったケースが一般的です。
線状影
(せんじょうえい)
太さが1~2mmの細い陰影です。胸膜の肥厚や気管支拡張症などの場合に現れます。健康な人でも2~3に分かれている肺(上葉・中葉・下葉)の境目が映りこむことがあります。特に病的なものではありません。
大動脈弓拡大
(だいどうみゃくきゅうかくだい)
大動脈弓部の径が太い場合を指し、年齢、動脈硬化、高血圧、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)等が原因と考えられています。
大動脈弓突出
(だいどうみゃくきゅうとっしゅつ)
主として動脈硬化などで、大動脈弓の突出した状態をさします。
大動脈硬化
(だいどうみゃくこうか)
大動脈が硬化している様子が見えます。いわゆる動脈硬化です。主として年令によります。
肺繊維症
(はいせんいしょう)
肺全体に繊維化が生じ、肺が小さく硬くなる状態です。精密検査の指示があれば受診し、その結果治療が必要な場合もあります。
肺紋理増強
(はいもんりぞうきょう)
肺紋理とは、肺末端の細い気管支や血管の重なりが構成する模様をいいます。肺紋理増強とは気管支周囲の炎症や、心不全等の心臓疾患でも起こります。
ブラ〈肺嚢胞〉
(はいのうほう)
肺胞が拡張している部分をさします。小さいものは問題ありませんが、大きい場合は経過観察を要します。これが破れると気胸を起こします。
慢性気管支炎
(まんせいきかんしえん)
タバコを吸う方に多い所見です。肺の慢性の炎症(くもり)が認められます。ただ、肺炎にはいたらない状態をさしています。
粒状影
(りゅうじょうえい)
5mm以下の小円形陰影です。肺全体に散らばって見えるときは、肺繊維症などいろいろな可能性があり、詳しい検査が必要です。

監修:(財)日本予防医学協会