心電図検査

所見 所見の説明
異常Q波 Q波は、心筋梗塞の特徴をみる際の指標ですが、必ずしも心筋梗塞を示すものでもありません。左室肥大や左脚ブロックなどでも認められることがあります。また、健康な人でも、体質によってみられることもあります。「有所見健康」の判定の場合、特に心配はいらないため、体重や血圧、脂質等に注意し、生活習慣改善を心がけ、経過を見ていかれてください。
右脚(うきゃく)
ブロック
心臓の中には”発電所”(洞結節)と、”変電所”(房室結節)、さらに電気を流す”電線”の役目をする組織があります。心臓は左右の部屋に分かれているので、この電線も左右に分岐します。右脚とは心臓の右側を走る電線を指し、「右脚ブロック」とは電線上で電気の流れが悪くなった状態を意味します。「完全右脚ブロック」は、虚血性心疾患、高血圧、先天性心疾患でみられることがありますが、健康な人でも認められることがあります。また、「不完全右脚ブロック」は、心房中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)、右心室肥大、肺疾患などで生じますが、多くの健康な人にも見られます。判定の指示に従ってください。
右軸偏位
(うじくへんい)
心臓内の電気の流れは、通常は右上にある右房から下方の左室と右室に流れています。「右軸偏位」は電気の流れが右側に偏って流れています。痩せている方や小さいお子様にみられる所見です。これらの所見が単独の場合は問題ありませんが、他の所見を伴う場合、総合的な判断が必要となります。
完全左脚ブロック
(かんぜんさきゃくブロック)
心肥大や糖尿病、高血圧などの病気と合併する場合が多い所見です。判定の指示に従ってください。
高電位差
(こうでんい)
心電図の1番高い波(R波)と低い波(S波)の電位差をみるもので、電位差が高い場合、心臓に対する負荷が大きくなっていることがわかります。肥満者や大量の飲酒、高血圧、心筋症などで心臓の左室の心筋が厚くなっていると考えられます。但し、高電位は、正常者(特に若年者)で胸壁の薄い方にも認められる所見です。
左軸偏位
(さじくへんい)
心臓内の電気の流れは、通常は右上にある右房から下方の左室と右室に流れています。「左軸偏位」とは、電気の流れが左側に偏って流れています。健康な方でも肥満の方や妊婦、高齢者にしばしば見られます。これらの所見が単独の場合、特に問題ありませんが、高血圧等で左室肥大を呈する場合に見られることもあります。
心筋虚血
(しんきんきょけつ)疑い
心臓の筋肉に血液が通いにくくなっている状態で、重症になると狭心症発作を起こす場合もあります。判定の指示に従ってください。
低電位
(ていでんい)
心電図の波の高さが低く、心臓の電気的興奮が弱いか、または皮膚の表面に伝わりにくい状態や、皮下脂肪が厚い場合にも起こります。所見が単独であればあまり問題ありませんが、他の所見や疾患が合併している場合は、総合判定の指示に従ってください。
時計回転
(とけいかいてん)
心臓の電気の伝わり方を示します。これらの所見が単独であれば問題ありません。電気の伝わり方が本人からみて右よりであれば「時計回転」といいます。
洞性頻脈
(どうせいひんみゃく)
心臓の電気発生が1分間に101回以上のものをいいます。発熱・心不全・甲状腺機能亢進症などの場合もありますが、健康な人でも緊張状態の時などにみられる所見です。
洞性徐脈
(どうせいじょみゃく)
心臓の電気発生が1分間に49回以下のものをいいます。健康な人でもスポーツをよく行っている人にみられる所見です。
反時計回転
(はんとけいかいてん)
心臓の電気の伝わり方を示します。これらの所見が単独であれば問題ありません。電気の伝わり方が本人からみて左よりであれば「反時計回転」といいます。

監修:(財)日本予防医学協会