プラスコラム
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肩こり解消作戦

肩こりの多くは、筋肉の緊張が原因

肩こりに悩む女性は多いですね。 肩こりの原因はさまざまですが、姿勢の悪さや筋力不足、眼精疲労などからくる肩こりがほとんど。疲労や心身のストレスなども影響しています。

 

・姿勢が悪い。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続く。
筋力不足。
ストレス。
眼精疲労。
歯のかみ合わせが悪い。

肩こりにはこんな病気が隠れていることも

・頚椎ヘルニア。
・五十肩
・狭心症や心筋梗塞。
・胆のう炎。
・胃・十二指腸潰瘍
・甲状腺疾患。
・クモ膜下出血。

肩こりはなぜ起こる?

そもそも、なぜ肩こりが起こるのでしょう。そのメカニズムを考えてみましょう。
首の周囲にはさまざまな筋肉があって、重たい頭や首、そして2本の腕を支えています。さらに、デスクワークで長時間同じ姿勢を続けたり、姿勢が悪かったりすると、おもに首の後ろから肩に走る僧帽筋などの筋肉が緊張し続け、筋肉がかたくなってしまい、血行が悪くなります。


血行が悪くなると、筋肉に酸素や栄養が行きわたらなくなります。そのために、乳酸などの疲労物質がたまり、痛み物質が神経を刺激します。これが肩こりの正体です。
肩がこって痛いと、肩に力が入ってさらに筋肉が緊張しますから、ますます肩こりがひどくなるという悪循環が起こって、慢性の肩こりへとつながっていきます。

肩こりがあると、こんな悪循環が……

肩に負担がかかる→筋肉が緊張してかたくなる→肩の筋肉が血行不良になる→疲労物質がたまる→痛み物質が出て神経を刺激→痛むので、ますます肩の筋肉を緊張させる。

肩こり解消作戦その1――姿勢を見直そう!

肩こりの根本的な解消には、いかに肩に負担をかけない姿勢を保つかが大きなポイント。たとえば、猫背の人は、首が前に出ている姿勢になりますが、それが肩の筋肉に大きな負担をかけます。また、姿勢の悪い人は、腰にも負担がかかっているために腰痛もちの人が少なくありません。
姿勢を見直すときは、首、肩だけでなく、からだ全体の姿勢を見直すことがとても大事。正しい姿勢を心がけるだけで、肩こりや腰痛が改善することが多いものです。

肩こり解消作戦その2――ストレッチをしよう!

肩こり解消には、かたくなった筋肉をほぐして、リラックスさせることがとても大事。また筋トレで筋肉を鍛えると、首や肩にかかる負担を減らすことができます。ただ、肩がこっているときにいきなり筋トレをすると、肩が痛くなることが多いので、まずはストレッチをして筋肉をほぐす習慣を身につけましょう。ストレッチは、ゆっくりと筋肉を伸ばすようにして行うのがポイント。「気持ちいい~」と感じる程度に行ってください。

 

<肩と首のリラクゼーション>

片手を頭の横に添えて、ゆっくり頭を倒しながら首の横の筋肉を伸ばす。反対側も同様に。息を止めずにリラックスしながら行って。

 

背中の後ろで両手を組んで、両手をできるだけ後ろに伸ばす。

 

次に腕を真横に伸ばし、反対の腕をひじのあたりで交差させて、体の方へ引き寄せる。

肩こり解消作戦その3―――その日の“こり”はその日に解消!

肩こりは、くり返すうちに症状が重くなり、治りにくくなります。その日の“こり”はその日のうちにとって、明日に持ち越さないようにしましょう。

そのためにも、1日の終わりはぬるめのお風呂にゆったりつかりましょう。肩の血行がよくなって、こりがほぐれていきます。入浴後に、肩と首のストレッチを行うとさらに効果的です。

肩こり解消作戦その4―――疲労回復に効く栄養素をとろう

疲労を回復してくれるビタミンEやビタミンB1を含む食品を積極的に摂りましょう。食事で摂りにくい人は、サプリメントで補って。
<ビタミンEを多く含む食品>
かぼちゃ、アーモンド、植物油(ひまわり油など)、抹茶、まぐろ油漬け缶詰など。
<ビタミンB1を多く含む食品>
胚芽米、アーモンド、豚肉、ボンレスハム、煎りゴマ、タラコなど。

肩こりは、治療でよくなります!

「肩こり外来」を設ける医療機関も増えてきました。肩こりは、治療薬で改善します。ぜひ受診してみてください。

*筋弛緩剤(飲み薬)

こった筋肉を弛緩させます。人によっては、眠くなったり、反射神経が鈍くなる副作用があるので、夜眠る前にのむのがおすすめ。肩こりがやわらぎ、ぐっすり眠れて、朝すっきり目覚められます。

*鎮痛剤(飲み薬)

肩こりがひどいと、肩をうごかさないために、ますます肩こりがひどくなる、という悪循環を断ち切ります。鎮痛剤で痛みが取れると、肩の運動がしやすくなるので、根本治療にもつながります。

*抗うつ薬・抗不安薬(飲み薬)

慢性の肩こりには、抗うつ薬や抗不安薬を出すことも。抗うつ薬や抗不安薬は、痛みを抑える方に働く神経を活発化させてくれるので、痛みのメカニズムそのものに効きます。

*のみ薬以外にも、注射で治療することもあります。

プロフィール

大井 律子 先生
整形外科医
大井 律子 先生

医学博士 山口大学女性外来担当医

熊本県生まれ。 1997年、高知医科大学卒業。 同年、山口大学医学部整形外科教室へ入局し、医局関連病院、山口大学大学院医学系研究科などを経て、現職。 日本整形外科学会専門医。