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新型ノロウイルス大流行の兆し。まずは手洗いで徹底予防を!

毎年晩秋から冬にかけて流行する病気といえば、インフルエンザやノロウイルスなどが知られています。今年はすでに新型ノロウイルスの感染が国内で確認され、国立感染症研究所が注意を呼びかけています。

 

新型ノロウイルスに対する免疫がないため、大流行する可能性が

 

ウイルスに感染して起こる胃腸炎のひとつがノロウイルス。ノロウイルスに感染すると1日~2日で発症して、嘔吐と下痢、腹痛に苦しむことになりま す。健康な人なら2日~3日で回復しますが、子どもやお年寄りでは脱水症状から重症化することがあります。「たかが、胃腸炎」とあなどれない病気なので す。
 

ノロウイルスにかかる人は例年11月ごろから増えはじめて、12月から1月が流行のピークとされています。2006~2007年シーズンにはノロ ウイルスの爆発的な流行があり、次いで2012~2013年シーズンに大流行がみられたことは、みなさんの記憶に新しいことと思います。
ニュース でも話題になっていますが、そのノロウイルスに新型が登場。すでに新型ノロウイルスに感染した患者が確認されていて、2015~2016年シーズンに大流 行の兆しがあるとしています。新型のために免疫を持ちあわせておらず、その分急速に感染が広がりつつあるようです。
 

現在ノロウイルスのワクチンが開発されつつあるそうですが、市場に出回るまでにはまだ少し時間がかかりそうです。
流行が懸念されるノロウイルスですが、残念ながら決定的な予防法はありません。けれども効果的な予防法として、「十分な手洗い」が挙げられています。

予防には「しっかり手洗い」が効果的

ところで、手洗い、みなさんどのようにしていますか? 石鹸を使っても、ササッと洗い流すだけですませていませんか?
でも、それでは不十分。ノロウイルスは、感染力が非常に強く、10個~100個のノロウイルスが口に入っただけで感染するといわれています。簡単な手洗いではノロウイルを除去できないのです。
効果的な手洗いとしてすすめられているのが、石鹸で10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す洗い方。指と指の間、手の甲、手首に近い部分などは洗い残しが多いそうなので、重点的に洗うことがポイントなのだそうです。
 

しっかり手洗いをとくに実践したいのが、調理前や食事前、トイレの後や外出先から帰ったときなど。中でも、トイレはノロウイルスに感染するリスクが最も高いといわれていますから、公衆トイレなどを利用した場合は、しっかり手洗いを実践したいですね。
 

具体的な手洗いの方法は、厚生労働省の手洗いの手順のリーフレットを参考にしてみてください。
「できていますか? 衛生的な手洗い」
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/link01-01_leaf02.pdf
 

なお、ノロウイルスは、ウイルスを含むカキなどの二枚貝を生や十分加熱せずに食べたときにも感染しますから、体調の悪いときには、生で食べるのは 控えたほうがよさそうですね。また専門家は「加熱用カキ」の場合は新鮮なものでも生食はせずに、十分に加熱してから食べるように、と注意を呼び掛けていま す。

 

<参考URL>
●国立感染症研究所「新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/id/778-disease-based/na/norovirus/idsc/iasr-news/5903-pr4273.html

●たまこだいら食品衛生情報
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/tamakodaira/shokuhin/syokuhinntopiltukusu/jouhou.files/26-2.pdf

●農林水産省「ノロウイルスとは?」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/norovirus.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。