高血圧にはさまざまなタイプがある?
さまざまな健康リスクをともなう高血圧。ただ血圧が高くても、それを自覚できないだけに、日ごろからの計測の習慣が必要といいます。
そんな高血圧にもいくつかのタイプがあるようです。何が違うのでしょう?
高血圧を放置している人も?
「血圧が高いのは健康によくない」と、ほとんどの人が思っています。でも日常的に「血圧をはかってるか?」……となると、高血圧になりやすい高齢者は別として、現役で働く世代の多くは「ほとんどない」というのが現状かも。
たとえ血圧を「はかる」ことがあったとしても、健康診断のときとか、たまに病院を受診したときなど、年に数回程度ではないでしょうか。
さらには健診などで「血圧高め」を指摘されても、何の対策もしないままの人がめずらしくないといいます。
「朝の忙しいときに、血圧をはかる時間なんてない」し、そもそも「家庭用の血圧計をもっていない」といったケースもあるでしょう。
高血圧の治療中のほとんどの人が血圧計をもっているとされる一方、それ以外の人の血圧計の保有率は若い世代で2割以下ともいわれています。
高血圧にはいくつかのタイプが?
血圧は、そのときの体の調子や時間帯、測定条件などに影響されるといいます。オシッコをがまんしたり、タバコを吸ったりすると血圧が上がり、食後や排尿・排便の後、少量の飲酒などは血圧を下げるといわれます。
また、夜、寝る前は血圧が低くなり、朝になると徐々に上がってきます。血圧は1日のうちでも上がり下がりの変動が大きいといいます。
さらに自宅で血圧をはかると「正常値」だったのに、病院では「高かった」といった経験をしたこと、ありませんか?
「白衣高血圧」と呼ばれています。診察のときは緊張して血圧が高くなるなどの理由が考えられますが、白衣高血圧は将来、治療が必要な高血圧に移行する可能性があるので注意が必要といわれています。
また、家庭での血圧と診察室血圧のどちらも高い場合を「持続性高血圧」と呼びます。脳血管疾患や心疾患の発症のリスクが高いといわれています。
要注意な「仮面高血圧」とは?
そうした中でとくに警戒すべきは「仮面高血圧」といいます。診察室ではかると「正常値」なのに、自宅や職場では血圧が高くなるのが特徴です。
診察室では高血圧であることが分かりにくいため、「高血圧が仮面をかぶって隠されている」といった意味を込めて「仮面高血圧」と呼ばれています。「隠れ高血圧」ともいわれているようです。
仮面高血圧には大きく3つのタイプがあるとされます。
(1)「早朝高血圧」は、文字通り早朝、起床後に血圧が急上昇するもので、夜間高血圧から移行するタイプと、早朝に急激に血圧が上昇するモーニングサージタイプがあるといいます。
(2)「昼間高血圧」(ストレス下高血圧)は、職場や家庭で強いストレスにさらされることよって昼間の血圧が上昇するものです。職場でのストレスによるものを「職場高血圧」とも呼ぶようです。
(3)「夜間高血圧」は、通常は下がるはずの夜の血圧が高くて、就寝中も血圧が下がらないタイプですが、夜間高血圧が朝の起床後まで続き、早朝高血圧につながることもあるとされます。
家庭血圧が診察室血圧より重要?
仮面高血圧のリスクとして、喫煙、職場などでの強いストレス、心臓などの障害、多量の飲酒、肥満や糖尿病などが考えられるといわれます。
仮面高血圧は診察室での血圧が正常であることから見逃されがちなので、家庭で定期的に血圧を測定することが重要になってきます。
最近では、診察室ではかる診察室血圧よりも家庭ではかる血圧の方が、脳血管疾患や心疾患などの発症を予測するのにすぐれていることが分かってきたといいます。高血圧の判定では家庭血圧が優先されるとのことです。
家庭での血圧は朝と夜の2回、座った姿勢で測定し、結果は血圧手帳に記録します。血圧計は上腕にカフを巻くタイプがよいとされています。
血圧の変動は寒暖差でも起こります。とくに寒い季節は要注意です。ちょっとした外出のときや入浴時などは、血圧の急上昇にくれぐれも注意を。
高血圧は、例えば痛いとかかゆいといった、はっきりとした自覚症状がほとんどないだけに、日ごろからの不断の用心が大切。「サイレントキラー(静かなる殺人者)」の標的になるのは、まっぴら! ですからね。
<参考>
*「高血圧の話」(日本高血圧学会)
*「早朝高血圧からパーフェクトな24時間の血圧管理へ」(公益財団法人 日本心臓財団)
*「仮面高血圧とは」(社会福祉法人 恩賜財団 済生会)
*「とくに注意したい高血圧のタイプ」(オムロン ヘルスケア株式会社)





