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足指力は使っていないと衰える

外反母趾になった、足の裏にタコやウオノメが出来て痛いなどということはありませんか? それはもしかしたら足の指の衰えが原因なのかもしれません。

 

足指の弱りは意外と早く訪れる

「足の指」といわれても、ふだんは足指のことなど気に留めていない人も多いのではないでしょうか?

けれども足の指は体のバランスをとったり、歩くときに地面を蹴り出すことで推進力が生まれ、疲れにくい歩行につながるなど、体の安定性を維持し、歩行に大事な役割を担っています

足の指がうまく使えないと、足の構造全体に影響が出て、外反母趾になったりウオノメやタコなどができやすくなるといわれています。

他にも、足首や膝、股関節などの動きが悪くなったり、体全体のバランスが崩れて転倒のリスクが高まることなども知られています。

何歳になっても足の指の筋力は保っていたいものですが、足指の筋力は意識して動かさないと体の中でも衰えやすい部位の1つ。

一般的に足指の筋力の衰えは、すでに30代ころから徐々に始まっているといわれています。そして40代ころから顕著に衰え始め、50歳を過ぎると急激に衰えるといわれています。

 

歩かない生活の人、更年期世代はとくに注意

足指の筋肉の衰えには個人差があって、車での移動やデスクワークの人、足に合わない靴を履いている人などは、きちんと足指を使って歩くことが少ないために、足指の筋力が低下しやすいといわれています

特に更年期世代の女性は要注意。更年期には、筋肉や腱、関節の柔軟性を保つ働きのあるエストロゲンが、急激に減っていくために、足指力も急激に衰えて外反母趾や浮き指などのトラブルが増えてくることが知られています。

1日の大半を靴を履いて過ごし、家に帰ってからはソックスを履く……そんな足指をほとんど使わない生活をしていると、足指の力はどんどん衰えていき、転倒リスクが高まるといいます。

そうなる前に、足指を鍛えて筋力をつけていきたいですね。

足指を鍛えることにより、体のバランスや姿勢の安定、歩行の質の向上などが期待できます。

それだけではありません。足の指を動かすことで血行がよくなり、リンパの流れもスムーズになるために、むくみや冷えも軽減されるといわれていますから一石二鳥の効果が期待できます。

 

足指トレーニングを始めよう

 動かさない筋肉はどんどん衰えていきます。以下のような足指を開く、鍛えるといった運動で足指を動かす感覚を取り戻し、足指力をつけましょう。

 

(1)タオルギャザー

床の上にタオルを広げて置き、足の指でタオルを手繰り寄せます。かかとが浮かないように足裏全体で行います。

 

(2)足指じゃんけん

足の指で、グー(足指を丸める)、チョキ(親指と人差し指を引き離すようにして広げる)、パー(足の指がすべて離れるように広げる)の形をつくります。

 

(3)足指開き

右足の指の間に左手の指を入れて、足指を甲のほうに曲げたり、足の裏のほうに曲げたりします。反対側も同様に。他にも足首を動かす「足首回し」も行ってみましょう。

 

(4)つま先立ち

 足指を意識して、つま先立ちになりしばらくキープしてかゆっくりと下ろす。

 

 どれも手軽に簡単にできる運動ばかりです。はじめはうまくいかないかもしれませんが、毎日行ううちに徐々にできるようになってきます。

入浴中やその前後、就寝前や起床後などに行って、毎日の習慣に出来るといいですね。

 

 

<参考>

※「冷えやむくみ対策に効果的。毎日の“足指ケア”で足元から健やかに」(アンファー からだエイジング/アンファー株式会社)

※「耐用年数は50年!?これからの、足の守り方」(ロート製薬オンライン/ロート製薬株式会社)

※「足指」がしっかり使えれば、姿勢も体形も変わる」(2023.7.11 日経ヘルス/株式会社日本経済新聞社)

※「いきいきシニアのための簡単運動メニューブック」(福岡市)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。