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血圧を高いまま放置すると?

健康を考えるときの話題の1つに血圧があります。

でも「血圧」という言葉はよく耳にするけど、どんなものかとなると「……?」という人が多いのではないでしょうか。身近だけどイマイチ分からない血圧とは?

 

高血圧は別名「サイレントキラー」とも?

 高齢者ならいざ知らず、まだ自分の健康に微塵も疑いを持たない世代には、「血圧」はあまりピンとこない言葉かもしれません。

自分の血圧がいくらなのか、数値をいえる人はめずらしいでしょう。

 しかし、あと10年、いや数年もすれば「血圧」をいやがうえにも意識せざるを得ない日常がやってくるかもしれません。

高血圧は別名「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」ともいわれます。

血圧が高くなってもこれといった自覚症状がないままひそかに病気は進行し、やがて脳や心臓などに致命的な合併症を誘発するというものです。

健康には「自信がある」という今こそ、血圧について考えるチャンスかもしれません。

 

血圧は血管壁にかかる圧力のこと?

そもそも血圧というのは、血液が血管の壁を押す圧力のことです。

血液はたえず心臓から血管を通って全身に送り出されていますが、血管はそのたびに血液からの圧力を受けているということになります。

心臓から血液を送り出すとき、心臓は収縮しますが、このとき血管に高い圧力がかかるといわれます。

収縮期血圧とか最高血圧、上の血圧と呼ばれるものです。

逆に血液が体のすみずみから心臓に戻るとき、心臓は拡張します。

このときの血圧が拡張期血圧とか最低血圧、下の血圧などと呼ばれます。

血圧はいつも同じ値ではないようで、働いている日中は比較的高く、夜は低いという傾向があるようです。

また、ストレスや寒さ、痛み、排泄をがまんしているときなどは高くなるといわれます。

 

血圧のこと、どれだけ知ってる?

 血圧計や体温計などで有名な「オムロン」が行った高血圧に関するアンケート調査があります。

その中で「血圧値が変動することを知らない」が約90%、「高血圧は自覚症状がないことを知らない」は約60%だったということです。

 調査ではとくに30〜40代の血圧に関する知識不足が指摘されています。

 例えば高血圧のリスク(血管や脳、心臓などの病気)について知っているのは、30代の男性で33.3%、女性で46.6%、40代では男性が39.6%、女性が49.0%でした。

 ちなみに60代では男性の59.4%、女性の67.9%が高血圧のリスクを知っているということでした。

 高血圧は「ただ血圧が高い」というだけではなく、そのままにしておくと血管の弾力性がなくなって動脈硬化を起こし、脳梗塞や心筋梗塞を起こすといわれます。

 

弁当を買うときは塩分量のチェック?

 高血圧の原因には、塩分の取りすぎ、肥満やストレス、酒の飲み過ぎなどさまざまありますが、なかでも塩分は要注意といわれます。

 日頃の食事は、外食やコンビニ弁当、カップ麺にハンバーグが中心という人も多いでしょう。

 コンビニやスーパーで弁当や惣菜を買うとき、食品表示に記されてある塩分量を確認する人はわずか8%だそうです(「ストレス/睡眠/食生活と、高血圧」に関する調査/オムロン株式会社)。

 厚生労働省の「健康日本21(第二次)」では、1日の食塩摂取の目標を成人男性8グラム、女性7グラムとしていますが、実際の摂取量は男性11グラム、女性9グラムだそうです。

 血管は若いうちはしなやかで弾力に飛んでいます。血液の流れもスムーズで血圧は安定しています。

 そんな若々しい血管からしなやかさを失わないためにも、外食や弁当を購入する際には塩分量のチェックを忘れないようにしたいですね。

 

<参考>

*「血圧のふしぎ」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2021年2月号 )

*「高血圧に関する意識と行動に関する1万人実態調査」(オムロン株式会社)

*「家庭医学大事典」(小学館)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。