更年期高血圧にご用心
更年期になると、これまで血圧はなんの問題もなかったのに高血圧になっていてびっくり、という声を聞くことが多くなります。
どうして更年期以降は血圧が高くなるのでしょう?
更年期高血圧はなぜ起こる
ほてりやのぼせ、めまいや頭痛など更年期に入るとさまざまな不調が出てきます。けれども、実は女性ホルモンのエストロゲンの減少によって体の中でもさまざまな変化が起こっています。
そのひとつが、血管の変化。エストロゲンには血管をしなやかさを保ったり、自律神経の交感神経の働きすぎを抑える働きがあるといわれています。そのため、エストロゲンの分泌が減少する更年期以降は、血管の柔軟性が低下したり自律神経のバランスが乱れて血圧が上がりやすくなるといわれています。
さらに更年期は、血圧が不安定で変動しやすい特徴があるそうです。
ふだんは血圧が高くなくても、イライラしたり、睡眠不足になったり、ストレスが増したときなど、ちょっとしたことでも血圧が急にぐんと上がったりするので注意が必要だといいます。
女性は40代後半からは危険エリア
女性の体はエストロゲンに守られているため、40代になるまでは男性と比べて高血圧の人が少ないといわれていますが、40代以降から高血圧になる人が急増するそうです。
60歳代では半数近くの女性が、70代の患者数は男性と肩を並べて約7割の女性が高血圧であるという報告もあります。
これまでずっと低血圧だったから、自分は大丈夫という過信は禁物です。
更年期から必要な血圧対策
血圧コントロールは、減塩と運動がポイントだといわれています。また肥満になると、血圧上昇を招きやすいといわれています。更年期からはエストロゲンが減少して肥満になりやすいので、肥満対策も大事です。
喫煙や過度な飲酒、睡眠不足など、生活習慣の見直しも必要です。
血圧対策はストレスケアも大事
もう一つ。血圧コントロールに大事なのがストレス対策です。
とはいえ、ちょうど更年期のころは、親の介護や夫婦関係、子どもの自立や反対に引きこもりなど、家庭環境にさまざまな問題や変化が起こったり、職場でも仕事上の立場や人間関係に変化が起こりやすいときでもあります。
こうしたストレスは、血圧を上昇させるだけでなく更年期症状も悪化させるといわれていますから、自分なりのストレス解消対策を積極的に行いたいものですね。
血圧に限らず、更年期からは生活習慣病や骨粗鬆症などいろいろな病気が増えてくるといわれています。
人生100年時代といわれていますから、更年期といってもまだまだ人生の折り返し地点。これを機に生活習慣を見直して、人生の第二ステージを楽しく生活していきましょう。
<参考>
※「高血圧Q&A」(日本高血圧協会)
※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修 )
※「どう下げる? 高血圧」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2022年2月号 )