塩分を摂ると血圧が上がる理由は?
「塩分を摂り過ぎると高血圧になる」・・いまでは誰でも知っていて、いろいろなところで耳タコになるほど何度もくり返しいわれますが、なんで塩が血圧を上げるのかとなると「う〜ん?」と思わず考え込んでしまいます。塩と血圧にはどんな関係があるんでしょう?
日本食ブームで高血圧が世界に蔓延する・・?
高血圧が心配で塩分を摂りすぎないようしている人がいる一方、高血圧という言葉は知っているけど、「単に血圧が高いというだけでしょ!」ということで、塩分などもほとんど気にしない人もいるようです。
「高血圧は要注意とかいうけど、いまは別にどこか具合が悪いわけじゃないし、こんなに元気だし、大丈夫でしょ!」ということらしいです。
たしかに高血圧は、自覚症状というか、どこか具合が悪いといった目立った症状はないようです。でも放っておくと心臓や脳、腎臓などに大きな病気を引き起こすことにもなりかねないとてもこわい病気ということで、高血圧を防ぐために、厚生労働省は1日当たりの塩分摂取量の目安を決めています。
男性は1日8.0グラム未満、女性は1日7.0グラム未満(厚生労働省『日本人の食事摂取基準2015年版』)。
でも実際は、男性が1日11.0グラム、女性が9.2グラムの塩分を摂取しています(厚生労働省『平成27年国民健康・栄養調査』)。WHO(世界保健機関)では5グラム未満を目標にしていますから、日本の食事は世界から見れば「かなりしょっぱい」ということになります。
そもそも和食は、味噌やしょう油などの調味料を味の基本に使っていますから、どうしても塩分の高い食事になりがちです。主食のごはんはおかず抜きには成立しないので、魚にしても肉にしても自然と濃い味付けになってしまいますよね。世界に比べて高血圧の人が多いのも当然といえるかもしれません。
日本食ブームが世界に広がっていて、最近では寿司やすき焼きにとどまらずラーメンや焼き鳥、カレーライスなどのB級グルメにまで及んでいるようです。このままブームが続くと、もしかして高血圧が日本病として世界に蔓延してしまうかもしれない?・・なんてことはないでしょうね。
塩分の摂り過ぎは、なぜ血圧を上げるのか?
ところで、塩分を摂り過ぎると高血圧になるというのは誰でも知っています。でも、なんで塩分が血圧を上げるのかというと「はて・・?」となってしまうかもしれません。
そもそも塩は人間が必要とするミネラルの1つ。なのに過剰に摂取するとなぜ血圧が上がるのでしょうか?
人間の血液は塩分(ナトリウム)の濃度を一定に保つはたらきがあります。しょっぱいものを食べると、あとでのどが渇いて水が飲みたくなりますよね。これは取り込み過ぎた血液のナトリウムの濃度を下げるために体が水を要求しているサインです。
水分をたくさん飲むと血液が増えます。そのため全身を流れる血液の量が増えて、それが血管を押し広げてしまい、血管壁にかかる圧力が増して血圧が上がるというわけです。
さらに摂り過ぎたナトリウムは血管の中に入り込み、血管の筋肉を収縮させるらしいいのです。魚に塩をふって身を引き締めるのと似たような作用が血管に起こり、それによって血圧が上がるといいます。
ラーメン、焼き肉、カレーライスにカツ丼・・外食の定番人気メニューとどう付き合うか? 奔放か自制か・・「塩分と高血圧」の関係は深い問題を抱えているようです。
<参考URL>
*「からだごはんラボ〜塩分の過剰摂取は万病の元!?」(味の素(株))
http://park.ajinomoto.co.jp/kenko/feature/genen/know/vol1.html
*「減塩ネット〜塩と体のはなし」((株)ビーソル)
http://gen-en.net/sio-function.html