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食物繊維が死亡リスクを下げる!?

最近発表された大規模研究から、食物繊維を多くとる人は死亡リスクが低くなる可能性があることがわかりました。

健康を維持するためになくてはならない「食物繊維」。

あなたは十分にとっていますか?

 

9万人の追跡調査でわかったこと

国立がん研究センターが発表したのは、日本人約9万人を1998年から2016年まで追跡調査し、食物繊維の摂取量と死亡リスクの関連を調べた研究報告。

それによると、食物繊維の摂取量が多い人ほど、総死亡リスクが低下していたことがわかったそうです。

とくに、「循環器疾患死亡」のリスクは食物繊維を多くとっている人ほど、男女ともにリスクが低下。また、「がん死亡」については、女性はその関連が認められなかったそうですが、男性では食物繊維の摂取量が多い人ほどがん死亡のリスクが低下していたことがわかったそうです。

 

日本人の多くは食物繊維が不足気味

実は食物繊維は日本人に不足がちな栄養素の1つなんです。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18~69歳で男性21グラム以上、女性18グラム以上となっています。

でも、平成30年度の国民健康・栄養調査で20代から50代までの実際の食物繊維の摂取量をみると、男性も女性も目標量を満たしていません。

 

若い世代ほど食物繊維が足りていない

とくに少ないのが、20代の男女。

男性は1日の目標量21グラム以上に対してわずか12.9グラム、女性は目標量18グラム以上に対してわずか11.9グラムしか摂取していません。

年齢が上がるにつれて、1日の食物繊維の摂取量が増えていきますが、それでも50代男性では14・4グラム、50代女性では14グラムとまだまだ目標量に達していません。

 

野菜、豆類、果物類を意識的に

では、どのように食物繊維をとっていけばよいのでしょうか?

先に紹介した約9万人を対象とした追跡調査研究では、豆類や野菜類、果物類からの食物繊維は摂取量が多い人ほど死亡リスクが低下していたという結果が出ているそうです。

 

白米より玄米、白いパンより全粒粉パンを

穀類からの食物繊維はその傾向が明らかではないとしながらも、より食物繊維含有量の多い穀類(玄米、シリアル、全粒粉パン等)から食物繊維摂取量を増やすことがよい可能性があるとしています。

 

外食や中食の人は野菜や豆類をプラスして

丼物やパスタなどの一皿モノやコンビニをはじめとする弁当類が多いと1日に必要な食物繊維がほとんどとれません。

食事はやはり野菜や豆類などの副菜が多い手づくりが理想です。

でも忙しくて外食やコンビニなどのお弁当に頼ってしまうという人は、おひたしやサラダなどの野菜類、冷ややっこや納豆などの大豆製品などをプラスしてとることをおすすめします。

デザートは、ケーキやプリンといったスイーツよりも、積極的に果物をとりたいものですね。

 

<参考>

*「食物繊維摂取量と死亡リスクの関連――多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果(国立がん研究センター)

*「日本人の食事摂取基準 2020年版」(厚生労働省)

*「平成30年度 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。