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心に平穏をもたらす「1/fゆらぎ」って何?

「1/fゆらぎ」って聞いたことありませんか? 

「気持ちがゆらぐ」とか「決心がゆらぐ」など、「ゆらぐ」という言葉はなじみがあるけどねえ……といった人が多いかもしれません。

「1/f」と書いて「エフぶんのイチ」と読みますが、その「1/fゆらぎ」が心の平穏をもたらすといわれます。

どういうことなんでしょう?

 

自然の中で心が癒されるのは「1/fゆらぎ」のおかげ?

たとえば、森に入ってヒンヤリとした空気に触れたとき、鳥のさえずりが聞こえたとき、川のせせらぎを耳にしたとき、海辺で潮風に吹かれたとき、打ち寄せる波を見ているとき……そんなとき気持ちが安らぎ、清々しさとか心地よさを感じませんか? 

もちろん人によっては、心が洗われるようだとか、安堵感に包まれるようだとか、感じ方はいろいろあるでしょうけど、少なくとも不快感をもよおす人は少数だと思います。

山や海などで自然にふれると、私たちはなぜ心癒され、得もいわれぬ気持ちのよさを感じるのでしょう。

 

それは「1/fゆらぎ」というもののせいだそうです。

何年か前に扇風機の宣伝文句に使われたこともあるので、ご記憶の方もいるかと思います。

ではその「1/fゆらぎ」とはなんなのでしょう? 

うまく説明できそうもないので詳細は省かせてもらいますが、簡単にいうと「f」は英語の「frequency」の頭文字で「周波数」のこと、「ゆらぎ」は文字通り、ゆらゆらとゆらぐことで、「ゆらぎ」には「1/f」以外にもいくつかあるらしいです。……簡単すぎてよく分かりませんね……。

 

「1/fゆらぎ」研究者の武者利光さんによると「1/fゆらぎ」とは「ものの空間的、時間的変化や動きが部分的に不規則な様子」であり、「規則正しさ」と「不規則」の混じり合った状態だということらしいです。

そして、世の中に存在するものすべて……そよぐ風、打ち寄せる波、水の流れ、鳥のさえずり、雨の音はもちろん、人間の呼吸や拍動、太陽や月やほかの天体の動きなど、この世の森羅万象には「ゆらぎ」つまり「1/fゆらぎ」があるというのです。

 

「1/fゆらぎ」は人間以外にも効果がある?

海や山で自然に触れると心が癒される感じがしたり、気持ちがよかったりするのは、人間のリズムも「1/fゆらぎ」をしていることにその理由があったというわけです。

また「1/fゆらぎ」に触れたとき、脳では「α波」という脳波が出るらしいです。

α波は脳が休んでリラックスしている状態のときに出るといわれます。

「1/fゆらぎ」とα波は深い関係にあることが分かります。

 

自然界以外にも「1/fゆらぎ」の快適性を示すものがあります。

音楽です。

音楽は振動数のゆらぎが人間などの生体のリズムと同じになるようにつくられているらしいです。

 

さらに「1/fゆらぎ」は人間以外の生き物にも快適な刺激を与えてくれるそうです。イヌやネコ、ウマ、ウシ、ニワトリなどはもちろん、植物にも好ましい影響を与えてくれるという研究もあります。

ワインやウイスキーの熟成に音楽を利用するといった話は有名です。

 

「1/fゆらぎ」の効果は耳で聞く以外にも、見たり触れたりすることによっても得られるそうです。

たとえば木肌や木目を生かした日本の伝統的家屋や、木漏れ日、ろうそくの炎、蛍の光、星のまたたき、月の光などにも「1/fゆらぎ」があって、それらを見たり触れたりすることで心地よさを感じることができるといいます。

 

「5月病」対策に「1/fゆらぎ」を取り入れては?

ところで毎年、今の時期になると話題になるのが「5月病」。最近では「新5月病」とか「6月病」という言葉も聞きます。

職場での人間関係や仕事との相性などに悩んだときは、モヤモヤを吹き飛ばすべく近くの公園や近郊の森や川、海などに出かけて、「1/fゆらぎ」を体感するのはいかがでしょう。

 

また、モーツアルトやバロック音楽には「1/fゆらぎ」があるといわれます。

日がな音楽に耳を傾けるというのはいかがでしょう。

ゆったりとした気持ちになって、ストレスも解消されるに違いありません。

ただ、大音量は逆にストレスになるらしいし、近所迷惑でもありますからボリューム設定には注意を。

 

ところでデジタル全盛の今、アナログといっていいフィルム付きカメラが人気になったり、カセットテープやレコードが売れたりしているらしいけど、これって「1/fゆらぎ」と関係があるんでしょうか……?

 

 

<参考図書>

*「ゆらぎの発想〜f/1ゆらぎの謎にせまる」(武者利光/NHK出版)

 

<参考URL>

*「ゆらぎのふしぎ」((株)良品計画)

https://www.muji.net/lab/living/160831.html

 

*「F分の1ゆらぎの謎にせまる 武者利光氏」(アットホーム((株))

http://www.athome-academy.jp/archive/mathematics_physics/0000000230_all.html

プロフィール

中出 三重
医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。