
良い出来事もストレスになる!?
ストレスといえば、つらいことや悲しいこと、不快な出来事などが原因として思い浮かびますが、
実は周囲からみれば楽しいだろうと思える出来事も、本人にはストレスになっているのだそうです。
ストレスは万病のもと?
かつては「風邪は万病のもと」とかいって風邪をひかないように用心したものですが、寝ても覚めてもストレスにさらされているような今の時代は、さしずめ「ストレスは万病のもと」ということになるのでしょうか。
みなさんは日ごろ、どんなときにストレスを感じますか?
仕事で失敗したとき? 失恋したとき? 大事なペットを失ったとき?
……それとも結婚式を明日に控えて、夜、一人でふとんに入るとき?
ライフイベントにおけるストレスの度合い
ストレスの度合いを測る方法としてアメリカの学者ホームズとレイによって作成された「社会的再適応評価尺度」は有名です。
これはライフイベントの中でストレスとなりうる出来事を、ストレスの強さの順によって並べたものです。
上位の出来事のいくつかを紹介してみると……。
配偶者の死、離婚、夫婦の別居生活、拘置・拘留・または刑務所入り(さすがにこれはあまり日常的な出来事とはいえないですけど)、肉親の死などがあり、以下、「病気やケガ」「失業」「退職」といった出来事も当然ながら、上位に入ってきます。
……なるほど確かに、どれもこれもストレスがいっぱいだろうなという出来事ばっかりです。
楽しいこと、うれしいこともストレスに?
そんななかでも興味深いことに「結婚」が「失業」と同じ程度のストレスを感じる出来事として上位に並んでいます。
また、順位が低いながらも「妊娠」や「引っ越し」、さらには「休暇」、「クリスマス」など、待ち遠しくて楽しみな出来事も、ストレスになるものとして挙がっています。
アメリカの学者が作成したものですから、そのまま日本人に当てはまるかどうか疑問に思う人がいるかもしれませんが、日本の専門家もストレスの程度や状態をみるときの参考にするみたいですから、彼我の違いはないのかもしれません。
文部科学省が作成した「在外教育施設安全対策資料・心のケアの基本」に紹介されているストレスの項目でも「マイホーム購入」や「結婚」「妊娠」「長期休暇」「配偶者の就職」などがストレスを感じる出来事にやはり入っています。
ふつうに考えれば、これらはどれも心浮き立つ、ワクワクするような楽しい出来事かと思うのですけど、実際の心の中をのぞけば、うれしさの反面、緊張や恐怖や不安で押しつぶされそうな感じなのかも知れませんね。
「変化」がストレスを呼ぶ?
もしかしてストレスは、生活の中の良いことであれ、悪いことであれ、楽しいことであれ、悲しいことあれ、つまりなんというか日常の「変化」と密接な関係にあるということなのでしょうか?
どうも私たちはストレスから逃れることはできそうもないみたいです。
ストレスの解消よりも付き合い方を考えたほうがよさそうな気もします。
「気の(は)持ちよう」っていう便利な日本語がありましたね。
<参考文献>
*「症状からわかるこころの病気」(法研)
*「AERA(2013/4/15)」(朝日新聞社)
<参考URL>
*文部科学省「CLARINETへようこそ」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm