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眠りの雑学 その1

「春眠暁を覚えず」とい言葉があるように、ポカポカ陽気が続く春は仕事中も思わずウトウトしてしまうことが多くなりますね。今回から2回に分けて、眠りの雑学をお届けします。

 

春はどうしてこんなに眠いのか

でも、どうして春はこんなに眠いのでしょう。春の眠気は、自律神経のバランスの乱れによるものとだいわれています。冬は寒さから身を守るために交感神経が優位になっていますが、春、暖かくなるにつれて副交感神経が優位になってきます。その結果心も体もリラックスした状態となって、眠気が起こりやすくなるそうなのです。

 

また、睡眠を促すホルモンにメラトニンというホルモンがあります。暗さを感じることで分泌量が増加するメラトニンは、日照時間の短い冬に多く分泌されます。春になると、日照時間が徐々にのびていきます。しかし、このときメラトニン分泌量が冬のパターンから抜け出せずにいると、朝の目覚めも悪く、昼間も眠気を引きずってしまうといわれています。

春の眠気は、誰にでも起こる自然な生理現象ともいえるようです。

 

あくびはうつるのか

大あくびした同僚につられて、こちらも思わず大あくび……こんな経験はありませんか? あくびがうつる理由は、まだはっきりとは解明されていないようですが、今のところ有力なのが「共感説」です。人の脳には他者の行動を見たときに、まるで自分が行動するかのような反応を示す神経細胞があるといわれています。ミラー・ニューロンというもので、「ものまね細胞」「共感細胞」なとど呼ばれています。あくびの伝染は、この神経細胞「ミラー・ニューロン」が関係しているというものです。

 

イタリアで行ったある研究によると、あくびの伝染は、恋人や夫婦、家族など、親しい間柄の人ほど起こりやすいという結果が出たそうです。さらに、サルや犬もあくびがうつるそうです。また、犬の場合、飼い主との絆が強いほど、飼い主のあくびが犬にうつりやすいとの研究報告もあります。犬は人の気持ちや感情が理解できるといわれていますが、飼い主のあくびもうつるなんて、なるほどすぐれた共感能力をもっているのですね。

 

日本人の睡眠時間は、短いのか

ここでちょっと、日本人の睡眠時間をみてみましょう。厚生労働省の平成26年「国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間でもっとも多い回答は、男女ともに「6時間以上7時間未満」。20%ほどの人が「ここ1ヶ月間、睡眠で休養が充分にとれていない」と回答しています。年齢階級別にみると、最も多いのが40歳代。働き盛りは、慢性的に睡眠不足を感じている状況がうかがえます。

 

実際、世界的にみても、日本人の睡眠時間はかなり短いようです。2014年に経済協力開発機構(OECD)が、世界29か国を対象に15~64を対象とした国民平均睡眠時間の調査では、日本人の睡眠時間は7時間43分で29か国中28位と下から2番目。最下位は韓国で7時間41分。一方睡眠時間がいちばん長かった国は、南アフリカで9時間22分という結果が出たそうです。

 

ちなみに、別の調査では日本の働くママの睡眠時間は、先進国中最下位という結果がでたそうですよ。「一度でいいから目が腐るほど眠りたい」と思っている日本のワーキングマザーから見ると、南アフリカの睡眠時間9時間超えは、なんともうらやましい限りですね。

 

 

<参考資料>

*『8時間睡眠のウソ。』(日経BPマーケティング:川端裕人、三島和夫)

 

<参考URL>

*日経ビジネスONLINE 「睡眠時間が短くなると出生率が低くなる?」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/121100024/?rt=nocnt

*UTokyo Research「人からイヌにうつるあくびと共感性」http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/yawn-contagion-and-empathy-in-dogs/

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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