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あなたの目薬のさし方、間違っていない?目をパチパチさせるのは薬が流れ出て逆効果

毎日パソコンとにらめっこをしている人はもちろん、これからの季節、花粉症に悩まされる人にとって、目薬は手放せない生活の必需品といえま す。でも、意外と知られていないのが正しい目薬のさし方。多くの人が間違った目薬の使い方をして、せっかくの薬効をむだにしてしまっているようです。目薬 の正しいさし方と目薬の使用期限など、目薬にまつわる豆知識を紹介します。

 

目をパチパチさせると薬が流れてしまう?

ある医薬品メーカーの調査によると、約9割の人が目薬をさしたあと、目をパチパチとしばたたかさせているということです。そうすることで薬液が目の表面全体に広がって、効果がありそうな気がするからだと思われます。
 
あなたはどうですか。やはりパチパチ派ですか?
実 は目をパチパチさせると、薬液は涙と一緒に目頭のほうに集まって、流れ出てしまうといいます。涙は涙腺から絶えず分泌され、目の表面をうるおしたり、細菌 や紫外線から目を守る、ほこりなどを洗い流すといったはたらきをしています。涙はまばたきすると目頭のほうに集まり、目と鼻に通じる鼻涙管という管を通っ てのどのほうに流れていくのです。目薬をさすと、のどの奥で目薬とおぼしき味を感じることがあるのはこのためです。
 

目薬をさしたあとは静かに目を閉じて、薬液が涙と一緒に流れ出ないように1分ほど目頭を軽く押さえるのが効果的ということです。顔をやや上向きにし て、下まぶたを少し引くとさしやすいでしょう。さす量は1滴で十分。目薬をたくさんさしたほうがよく効くだろうと思って、何滴もさす人がいますが、目から ボロボロとあふれるだけで薬が無駄になるばかりか、目薬の刺激で目のまわりがはれたり、ただれることがあります。あふれた薬液はティッシュやハンカチでふ き取ります。
 

目薬の使い回しや目薬のさし過ぎは大丈夫?

ところで、あなたは他の人、たとえばパートナーとか恋人、友人などから「ちょっと貸して」とかなんとかいって、目薬の貸し借りなどをした経験はありませんか? 目薬の使い回しは細菌やウイルスが目薬に混入する危険があるのでやめましょう。
 
目 薬は薬局で簡単に購入できるなど、あまりに手軽すぎて、ややもすると「薬」ではないような錯覚をおこしがちですが、まちがいなく薬です。どんな使い方をし ても無害というわけにはいきません。使い方次第では副作用などのトラブルがあるということを忘れないようにしましょう。
 
目薬を安全に使 うためには、その他いくつかの注意点があります。(1)目薬を使う前にまず手、指をせっけんできれいに洗う。(2)手や指が目薬の容器の先端にふれないように キャップをはずす。(3)点眼するときは容器の先端がまつ毛やまぶた、目に直接ふれないように注意。涙や細菌などが付着し目薬が汚染される危険があるからで す。(4)2種類以上の目薬を使うときは5分以上の間隔をあける……などです。
 
また、目薬の使い過ぎも心配です。目はもともとあまり手入れ が必要な場所ではないといいます。目がすっきりするからという理由で、1日に何度も頻繁に目薬を使うと、殺菌や紫外線の刺激から目を守るといった涙の成分 が洗い流されてしまいます。また目薬に含まれる防腐剤が角膜を傷つけるおそれもあるといわれます。目薬を使うのは1日に5〜6回にしたほうがよさそうで す。
 
使用期限の過ぎた目薬を使うのもトラブルのもとです。いつ薬局で買ったか忘れてしまった目薬が使いかけのまま残っているといったこ とはよくあります。未開封のものなら使用期限は3年というのが一般的なようですが、1度開封した目薬は、1か月が使用期限の目安のようです。雑菌による目 薬の汚染が考えられるからです。使用期限のすぎた目薬は捨てましょう。
 
ちなみに目薬をさすときに、ポカンと口をあけてしまうという人は多いと思います。  
なぜでしょう? それは目薬をさそうと上を向いたとき、口をあけるための筋肉が頭のほうとあごのほうに引っ張られた状態になるからだといわれています(諸説あり)。
ご存知のように、目薬をピンポイントで目にさす作業はかなりの困難をともないます。さすときは意識を集中する必要があり、そのためについ口元が無防備になり、無意識に口がポカンとあいてしまうのだそうです。

 

<参考URL>
・参天製薬HP 「正しい目薬のさし方」http://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/eyelotion/

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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