スマホ時代の新リスク「ヘッドホン(イヤホン)難聴」
「耳の聞こえが悪くなるのは年を取ってから」と思いがちですが、近年は若い世代でも “ヘッドホン(イヤホン)難聴”や“フェス(ライブ)難聴” が増えているといわれています。あなたの“聞こえ”は大丈夫でしょうか。
10~40代で進む聴力低下の実態
WHO(世界保健機関)は、世界の若者(12~35歳)の約半数にあたる11億人が、ヘッドホン・イヤホンの大音量使用や音楽イベントによる難聴リスクにさらされていると警告しています。
日本でも若い世代の “ヘッドホン(イヤホン)難聴” が増えているとされ、この10年で10代~40代の聴力が低下しているという指摘もあります。こうした状況を受け、厚生労働省などもポスターやリーフレットを通じて、若年層に向けた注意喚起や予防策の啓発を進めています。
イヤホン使用と大音量曝露のリスク
通勤・通学やリラックスタイムにイヤホンを使う人が増え、長時間・高音量で音を聞く機会が多くなっています。
この習慣によって懸念されるのが “ヘッドホン(イヤホン)難聴” です。正式には「音響性難聴(音響外傷)」などと呼ばれ、耳の奥にある繊細な細胞がダメージを受けることで起こるといわれています。
耳の奥で何が起きているのか
音を感じ取る「有毛細胞」は非常にデリケートで、大きな音に長くさらされると傷つくことがあるといわれています。
一度大きく傷ついた有毛細胞は基本的に再生しないとされており、ダメージを受けた部分の “聞こえ” は元に戻りにくいと考えられています。
ただし、軽度のダメージであれば、炎症が落ち着いたり周囲の細胞が働きを補ったりして、症状が一時的に改善することもあるようです。
気づきにくい“じわじわ型”の聞こえの変化
イヤホン(ヘッドホン)難聴は進行すると「耳鳴りがする」「耳が詰まった感じがする」といったことに加え、 電子体温計のピピッという特定の音が聞こえにくい、騒がしい場所での会話が聞き取れないなどの症状があらわれるといわれています。
しかし、聴力の低下はじわじわと進行するために、初期はなかなか異変に気づきにくく、気づいたときには症状が進行していることも少なくないそうです。
フェス帰りの耳鳴りはサインかも
ヘッドホン(イヤホン)難聴が “じわじわ型” なら、音楽フェスやライブで起こる難聴は “突然型” だといわれています。
WHOの目安では、100dB(デシベル)の大きな音は短時間でも耳に影響が出る可能性があるといわれています。
一方、ライブステージの前方やクラブのスピーカー付近では、110~120dBに達することもあるといわれています。救急車のサイレンを近くで聞くような音量に相当するとされ、耳への負担が心配されます。
ライブ後に「耳が詰まる」「キーンと鳴る」といった症状が出る場合、耳が “音の衝撃” を受けたサインの可能性があります。
放置すると症状が長引くおそれもあるため、早めの耳鼻咽喉科への受診が推奨されています。
なお、なんのきっかけもなく突然聞こえが悪くなる場合は、別の病気が隠れていることもあります。
突発性難聴は、発症から早めの治療が回復に関わるとされ、48~72時間以内の受診がすすめられています。もし心当たりがないのに、突然耳の聞こえが悪くなったと感じたときは、速やかに医師の診察を受けることが大切です。
今日からできる“耳にやさしい習慣”
有毛細胞はいったん大きく傷つくと再生が難しいとされているため、日頃からの予防がとても大切です。
WHOなどは、耳を守るための習慣として次のような方法を推奨しています。
・音量を下げる、連続して聞かずに休憩を挟む。
・大きな音を聞く時間を減らす。
・ノイズキャンセリング機能などを活用し、音量を上げすぎない。
・音量制限や監視機能のあるスマホやヘッドホン、または音量確認アプリを使い、平均80dB未満に抑える。
(出典:厚生労働省「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」)
耳をいたわる習慣を心がけるとともに、最大音量を制限するアプリ「ボリュームリミッター」や、ライブ・音楽用のイヤープロテクター(耳栓)なども上手に利用すると良いでしょう。
聴力は一度失うと戻りにくい大切な感覚器官。日々のちょっとした習慣で、大切な耳をいたわっていきましょう。
<参考>
※「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」(健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 厚生労働省)
※「知らないうちに進行するから怖い⁉ ヘッドホン・イヤホン難聴」(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)





