
更年期、妊娠~産後の女性はとくに注意 スマホの使い過ぎで起こる手のトラブル
スマートフォンの使い過ぎで、手首の親指側が痛むことはありませんか?
それは、もしかしたら「ドケルバン病」という手のトラブルかもしれません。
スマホの使い過ぎで増えている?
「ドケルバン病」……—耳慣れない病名ですが、手の腱鞘炎の1つ。「狭窄性腱鞘炎」ともいいます。
主に親指を使いすぎることで、手首が痛くなる病気で、近年はスマートフォンを長時間使うことで、親指や手首に負担がかかって、この病気になる人が増えているそうです。
親指を内側に入れて握りこぶしをつくり、手首を小指側に曲げたときに、痛みを生じる場合は、ドケルバン病の可能性が高いといわれています。
あなたは大丈夫ですか?
悪化させないように注意を
ドケルバン病は親指を長時間使うことで、親指を使う腱とそれを包む腱鞘に炎症が起こり、腱の動きがスムーズにいかなくなった状態。
はじめは手首や指に軽い痛みがある程度で、休めば治ることもあるそうですが、それでも親指使い続けていると、やがて強い痛みにかわったり、痛くて手首が曲げられなくなったりするので注意が必要です。
更年期や妊産婦に多く発症
テニスなどの手首を使うスポーツやギター、ピアノなどの楽器演奏者、指をよく使う仕事の人に多くみられるトラブルだそうですが、とくに注意したいのが、女性だそうです。
というのも、女性ホルモンのバランスが崩れる妊娠中や出産後、更年期の女性に発症しやすく、女性ホルモンのエストロゲンが関与していると考えられているからです。
体内の女性ホルモンのバランスが崩れることにより、手指や腱の周囲の滑膜といわれる組織に炎症が起こり、こうした病気の引き金になっているのではないかといわれています。
悪化させる前に早めに受診を
親指の使い過ぎで起こすトラブルですから、まずは親指や手首の安静を守ることが大事だといいます。症状を悪化させないためにも、整形外科(手外科)を受診して治療を受けることをおすすめします。
消炎鎮痛薬や重度の場合はステロイド剤で治療したり、手術を検討する場合もあるそうです。
いずれにしても、早めの治療が大切のようです。
手首・親指の使い過ぎに注意
新型コロナウイルスの変異株の感染拡大によって、長びく自粛生活。
長時間のリモートワークが続いたり、スマートフォンにどっぷり使う生活をしている人も多いかと思います。
ドケルバン病を防ぐためには、日ごろから親指や手首に負担をかけない生活が大事だといわれており、専門家は、スマートフォンの操作は片手ではなく両手で行うことやときどき手首を休めることをすすめています。
とくに女性は家事や育児などで手を使うことが多いもの。
親指や手首が使い過ぎで悲鳴を上げる前に、やさしくいたわってあげたいものですね。
<参考>
*「スマートフォンの使い過ぎ? ドケルバン病」(『きょうの健康』2020年12月号 NHK出版)
*『ウィメンズ・メディカ』(小学館)
*「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」(日本整形外科学会)