プラスコラム
PLUS COLUMN

「栄養をつける」ってどういうこと?

体がだるい、疲れが抜けず、仕事にも勉強にも集中できない……。そんなときに「おいしいもの食べて栄養をつけよう!」なんて、そんな気持ちになります。

でも「栄養」って、そもそも何でしょう?

 

「栄養」と「栄養素」はどう違う?

「栄養をとる」とか「栄養をつける」などとよくいいます。元気を取り戻したり、疲れを癒したり、体力をつけたり、健康維持などのために栄養価の高いものを食べるといった意味として広く使われます。

「栄養」とともに「栄養素」という言葉があります。この2つは混同されがちですが、意味は違うようです。どう違うのでしょうか。

「栄養」とは、正確には「生命の維持や運動、成長、繁殖などのために必要なものを食べ物から摂取し、利用し、不要なものは排泄するという生命活動の一連の流れ」、つまり「状態」のことだそうです。

 一方、「栄養素」とは、生命を維持するために摂取しなければならない「物質」のことだそうで、タンパク質や脂質、カルシウムなどを指します。

「栄養」という「体の営み(状態)」と、それを支える「栄養素(物質)」という2つの言葉。確かに誤解を生じやすいかもしれません。

 とすると冒頭の「栄養をとる」「栄養をつける」という表現は、正確には「栄養素」というべきなのかもしれません。でも「栄養素をとる」「栄養素をつける」……やはり、なんだかしっくりきませんね。

 

「栄養素」は生命活動を支えるエネルギー源

 栄養素は、その働きによって大きく3つに分けられるといいます。「エネルギーになるもの」「体をつくるもの」「体の調子を整えるもの」です。

なかでも「エネルギーになるもの」はとても重要といわれ、主に糖質(炭水化物)と脂質ですが、タンパク質も糖質の摂取が不足したときにはエネルギー源になるそうです。

「体をつくるもの」では、タンパク質が重要で筋肉や髪など体のすべてをつくることに関与しているといいます。脂質は細胞膜をつくるとされます。

「体の調子を整えるもの」には、ビタミンとミネラル(カリウムやマグネシウム、鉄など)があります。

体温の調節や神経など、体の機能を正常に保つために大事な栄養素といわれます。ミネラルは体内でつくることができなので、食べ物からとらなければなりません。

これらの中で、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質の3つは、かつては「三大栄養素」と呼んでいましたが、今は「エネルギー産生栄養素」といいます。

それに微量栄養素と呼ばれるミネラルとビタミンの2つを加えて「五大栄養素」といわれます。

これらのどの栄養素が欠けても体の維持、健康の維持はできません。

 

「バランス」のとれた食事をしていますか?

これら5つの栄養素を含め、多様な食品を取り入れ、バランスのとれた食事をするのが大切です。

どれか1つの栄養素を「健康によいから」と、たくさん摂取しても効果は期待できないどころか、健康を損ねる可能性もあるといわれます。

日本の伝統的な食事スタイルの「一汁三菜」は、栄養的にもバランスのとれた理想的な食事パターンといわれています。

ごはんやパン、麺類などの「主食」とみそ汁、「主菜」は魚介類、肉類、卵類、大豆・大豆製品などを使った料理、それに野菜類、海藻類、キノコ類などを材料にして作った「副菜」などを組み合わせた食事パターンは、循環器疾患などによる死亡のリスクが低いという大規模研究もあります。

 また、和食系にこだわらず、肉類やパン、乳製品を使った洋食系でも、「一汁三菜」を基本に、まんべんなくさまざまな食材をバランスよく食べるのが健康の秘訣ということも多くの研究から分かっています。

 

「一汁三菜」の食事は、栄養素のバランスがよい

逆に、「一汁三菜」の組み合わせで食事をする機会が「少ない人」は、多い人に比べて、カルシウム、ナトリウム、鉄などのミネラルのほか、ビタミン類が不足している割合の多いことが分かったといいます。

『令和6年国民健康・栄養調査』によると、「主食」「主菜」「副菜」を組み合わせた「栄養バランスのとれた食事」を1日2回以上食べる日が「ほぼ毎日」(毎日・週6日)の割合は全体で男性52.3%、女性53.2%でした。

ただ若い世代に限ると、20歳代がもっとも低く、男性は30.9%、女性が30.1%、30歳代でも男性37.8%、女性33.6%で、ともに3割台と低迷。70歳以上の男性70.0%、女性71.0に比べると約半分からそれ以下です。

 ときには、自分の体はどんな「栄養素」でできているか? 「状態(栄養)」はどうか?……などに思いを巡らせてみるのもいいかも……。

 

<参考>

*「『食育』ってどんないいことがあるの?」(農林水産省)

*「日本食パターンと死亡リスクの関連について」(国立がん研究センター/多目的コホート研究)

*「栄養に関する基礎知識」(国立循環器病研究センター病院)

*「『栄養』と『栄養素』、たった1字の大きな違い」(一般社団法人FOOD COMMUNICATION COMPASS/FOOCOM)

*「そもそも栄養ってなに?〜栄養とカラダのホントのところ」(公益社団法人 日本栄養士会)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。