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飽食の時代ならではの「現代版栄養失調」とは?

「栄養失調」なんて、昔の食料不足の時代じゃあるまいし……と思われる方も多いのでは? 

近年は高齢者だけでなく若い人にも増えているといいます。

満ち足りた時代だからこその「現代版栄養失調」とは?

 

現代型の「栄養失調」が増えている?

 経済的に豊かになり飽食の時代といわれて久しいですが、なぜかいま「栄養失調」「低栄養」が問題になっています。

望めばなんでも好きなものを食べることができる現代に「栄養失調」はあり得ないでしょ?……そう思われるのも当然かもしれませんが、逆に「なんでも自分で好きな食事を選んで、自由に食べられる」からこそ、栄養失調・低栄養が生まれたとも考えられます。

従来の栄養失調が体のエネルギー不足状態を示したのに対して、現代の栄養失調は文字通り、エネルギーは足りているけど必要な栄養素は不足し、バランスがくずれた状態のことです。

一般には高齢者の栄養失調・低栄養が問題になるのですが、近年は若い女性、さらにはミドル世代の栄養失調リスクが高まっているといわれます。

 

現代版の「栄養失調」は食べ過ぎの人にも

とくに、やせ願望の強い女性をはじめ、ジャンクフードの頻食、ごはんは大盛り……そんな人は「栄養失調」のリスクが高く要注意といいます。体格はそれなりに見えても、実際は栄養失調ということもあるようです。

 こうした現代版の栄養失調、「新型栄養失調」とか「現代型栄養失調」「隠れ栄養失調」などと呼ばれていますが、その主な特徴は、「食べない」ことや「偏食」だけでなく、「エネルギーを多く摂る」など、傍目には大きな問題はなさそうな食習慣でも栄養失調が起こる可能性があるのだそうです。

なかでもとくに若い女性の「食べない」ことによる「無理なダイエット」は、もっとも深刻な栄養失調、栄養障害のリスクといわれます。

 

「やせ」の女性の将来にわたる健康リスク

『令和6年国民健康・栄養調査』によると、体格指数(BMI)が18.5未満の「やせ」の割合は、20歳代の女性で17.1%、30歳代で16.1%と依然、高く、厚生労働省の目標値15.0%を上回っています。

 やせるために欠食などで食事の量を制限し、摂取カロリーを減らせば体重も減少しますが、栄養バランスの悪さから、タンパク質、食物繊維、ビタミンをはじめ、カルシウム、鉄などのミネラルが不足するといいます。

さらには欠食するなどの無理なダイエットは筋肉量の減少を招き、基礎代謝が低下するので、体脂肪が蓄積しやすくなるといわれます。見た目はスリムでも体脂肪率の高い「隠れ肥満」のリスクも増します。

 こうした若い女性の栄養失調・低栄養は、骨密度の低下による骨粗しょう症や貧血、免疫力の低下、月経周期の乱れなどにつながり、将来の妊娠・出産に影響する可能性のあることが知られています。また、筋肉量も減少することから、運動能力の減退(サルコペニア)のリスクもいわれます。

 

食べているのに「栄養失調」のなぜ?

さらに「新型栄養失調」は、栄養失調・低栄養とはまったく関係なさそうな、ふくよかで体格がよい人でもおちいるといいます。

とくに働き盛りといわれるミドル世代は、しっかり食べているようでも食事内容に「問題あり」のケースもあるようです。

たとえばコンビニ弁当やおにぎり、ファストフードの常食習慣。外食ではチャーハンにラーメン、カツ丼、カレー、うどんにパスタなどの単品ものがほとんど。野菜や果物の摂取はおろそかになりがちです。

また、菓子パンやケーキ、お菓子などを食事代わりにしたり、習慣的な朝食の欠食も大きなリスクになるといいます。

こうした糖質や脂質が過剰な偏った食事では、エネルギーは足りていても体に必要な栄養素がとれていません。とくにタンパク質にビタミン、ミネラルなどが不足しやすいといわれます。

現代型の栄養失調は、すぐに食べられて空腹を満たすことが優先され、食事の質、内容がおろそかになった食習慣の不幸な帰結といえそうです。

 

新型栄養失調の症状と対策

栄養失調におちいると体にさまざまな望ましくない症状があらわれます。

たとえば「疲労感やだるさ」「かぜなどにかかりやすい(免疫力の低下)」「貧血、めまい」「体重の減少、筋力の低下」「体が冷える」「骨密度の低下、骨折」などのほか、女性の場合、さらに「月経周期の乱れ」「無月経」がみられるといいます。

栄養失調とそれに伴う体の不調を改善するには、食生活の見直しが第一。

言い古されたことですが、「一汁三菜を基本にした1日3食の規則正しい食事」と「栄養バランスを整える」ことに尽きるといいます。

摂取エネルギーは減らさず、タンパク質をふやし、ビタミン、ミネラルなどの体に必須の栄養素を摂取するためには、多様な食品を満遍なく食べることが重要なのです。もちろん暴飲暴食は避けます。

何かといえば「1日3食」にこだわるのには、1日に必要なエネルギーや栄養素を少ない食事回数で摂取するのは難しいことから、最低でも3回に分けて摂りましょうという意味も込められています。

自分の体は「自分が食べたものでできている」んですよね……。

 

<参考>

*「若い女性の『やせ』と健康・栄養問題」(健康日本21/厚生労働省)

*「栄養失調が現代人に急増中⁉︎『現代型栄養失調』 〜不足しがちな栄養素と改善ポイント〜」(山梨県厚生連健康管理センター)

*「栄養失調は現代でも増えている⁉︎ 新型栄養失調の症状とその改善方法とは?」(アリナミン製薬株式会社)

*「20代女性の低栄養の問題」(大塚製薬株式会社)

*「若い女性の健康と食事」「主食、主菜、副菜をそろえた食事」(東京都西多摩保健所)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。