食物繊維は生活習慣病の予防に有効?
「栄養的に価値がない」といった時代を経て、いまでは健康の維持には欠かせない食物繊維。
ただ食生活の変化によってその摂取量は国の目標値を大きく下回っているといいます。そんな食物繊維の頼もしさの理由とは?
1日の摂取量が減少している
「食物繊維」という言葉からイメージする食べ物といえば、たとえばサツマイモ、ゴボウ、ニンジンといった野菜や豆類、キノコ類、海藻……といったおなじみのものが、すぐに思い浮かびます。
それにしてもどれも地味です。肉類や魚類などと比べて、一品でメインになれるような華やかさに欠ける印象が食物繊維にはあります。
そんなことが災いしてかどうか、さらには食の洋風化もあったりして、近年、食物繊維の摂取量が減っているといいます。
今から70年ほども前の1950年代中頃の食物繊維の摂取量は、1日に20g以上はあったそうです。その当時の多くの日本人の食事は、米に麦などの雑穀を混ぜたごはん、おかずは魚の干物、イモやダイコン、山菜などの煮物、たくあんなどの漬け物に、みそ汁といった献立が一般的でした。
現代からすればかなり質素な献立内容ではありますが、こういった食事で1日に多くの食物繊維が摂取できていたといいます。
昔「無価値」、いま「不可欠」のなぜ?
食物繊維はご存知の通り、私たちの健康を守るうえで欠かせない大切な能力を備えているといわれます。「おなかの調子をととのえる食品」などとも呼ばれています。
その「繊維」という名称から「細い糸状」「スジのような」ものと思われがちですが、「ネバネバ」したものから「水に溶ける」ものまで、食物繊維には多くの種類があるといいます。
食物繊維は「人の消化酵素では分解・吸収できない物質」と定義され、かつては「栄養的には価値のないもの」「体には不要なもの」と考えられていたようです。
それがいまではタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルに次いで「第6の栄養素」とまでいわれて注目を集めています。
食物繊維は、便通を整えて便秘を防いでくれるほか、肥満、高血圧などの生活習慣病の予防にも効果が期待されるといいます。
生活習慣病を予防する働きが?
食物繊維は、水に解けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に大別できるといいます。
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収することで便の容積をふやし、腸のぜん動運動を刺激して便を出しやすくするといいます。
さらに発がん物質などの有害物質を吸着して便とともに排出するので、大腸がんのリスク軽減につながるともいわれます。
水に溶けやすい水溶性食物繊維は、胃の中に長くとどまるので食べ過ぎを防ぎ、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑えてくれます。
また、コレステロール、ナトリウムなどを吸着して排出する効果もあるので、高血圧や脂質異常症、糖尿病、高血圧、動脈硬化など、生活習慣病の予防や改善にも効果が期待できるといわれます。
さらに不溶性、水溶性のどちらの食物繊維も大腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を良好にしてくれるといいます。
食物繊維の豊富な食品は?
生活習慣病の発症の予防には、食物繊維の摂取量は1日にどのくらい必要でしょう? 厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2025年版)』によれば、成人では「少なくとも25g」は摂取したほうがよいとされています。
WHO(世界保健機関)では1日あたり25~29gを推奨しています。
ただ、現実は20歳以上で1日あたり18g余り(厚生労働省『令和6年国民健康・栄養調査』)。理想と現実には大きな開きがあります。
『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では1日あたりの目標量を設定しています。
年代によって多少の差はありますが、成人の場合、男性は20~22g以上、女性は17~18g以上としています。妊婦、授乳婦は18g以上が目標量です。
食物繊維は、植物性食品に多く含まれ、肉類や魚介類などにはほとんど含まれていません。野菜類、穀類、豆類、果実類、キノコ類、海藻類などに多く含まれています。
食品別では、ソバ、ライ麦パン、サツマイモ、切り干し大根、ゴボウ、納豆、ヒジキ、シイタケ、干し柿などがあります。
手軽に摂取するなら主食を玄米ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどにすると効率的に食物繊維を摂取できるそうです。
1日あたり「プラス3~4gを目標に」(厚労省)を目指してみては?
<参考>
*「食物繊維」「食物繊維の必要性と健康」(e-ヘルスネット/厚生労働省)
*「食物繊維の働きと1日の摂取量」(公益財団法人長寿科学振興財団)
*「現代食事考・かしこく食べる」(公益社団法人 千葉県栄養士会)
*「食物繊維が豊富な食べ物はなに?」(味の素株式会社)





