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「いつ食べるか」がカギの「時間栄養学」とは?

従来の「何を」「どれだけ」食べるかに加えて、「いつ食べるか」という食事の時間も重要とする「時間栄養学」が注目されているといいます。

生活習慣病の予防やダイエットにも関係するというのですが……?

 

「時間栄養学」ってどんなもの?

「時間栄養学」とは、「何を食べるか」「どれだけ食べるか」といった従来の栄養学の考え方に加えて、「いつ食べるか」といった時間軸に注目した学問のことで、近ごろ評判となっている言葉です。

 確かに健康のためには「何を」「どのくらい」食べるかは重要なことです。誰もが知っています。

にもかかわらず現実は、たとえば飲酒後、夜中にラーメンを食べたり、デカ盛り食堂の常連だったり、毎食ファストフードといった人もいらっしゃるのでは?

 それが体重増加、さらには肥満などの生活習慣病の原因になりやすいことも、みなさん十分、承知しています。

でも、「いつ食べるか」という時間軸を毎日の食生活に意識して取り入れることで、健康維持やダイエットも可能というのが「時間栄養学」の考え方です。

「夜遅い食事は太りやすい」は、その好例かもしれません。

 

「時間栄養学」と「体内時計」の関係

「時間栄養学」は「体内時計」のメカニズムを食生活に生かした栄養学といわれています。

「体内時計」とは、体の各細胞に存在する「時計遺伝子」という時間にかかわる遺伝子によって制御されているシステムのことで、地球の自転である約24時間の周期でリズムを刻んでいることはよく知られています。「生物時計」とも呼ばれています。

 この約24時間周期のリズムは「概日リズム(サーカディアンリズム)」とも呼ばれ、「光や温度変化のない条件で安静に保った状態でも認められる」(e-ヘルスネット/厚生労働省)ことから、私たちは体内に時計機構、つまり「体内時計」をもっていることが分かるといいます。

 概日リズムによって、睡眠、覚醒、体温調節、心拍、ホルモン分泌、エネルギー代謝などが調整されているといわれます。

 

朝食を食べると「体内時計」がリセット?

「体内時計」は睡眠や覚醒以外にも、食事や栄養と相互に作用し合い、影響を及ぼしあっています。食事は「体内時計」のリズムを調節し、朝食をとると体内時計がリセットされるとよくいわれます。

また「体内時計」は消化や吸収、代謝のリズムにもかかわっていて、朝ごはんを食べると消化酵素が分泌され、腸の蠕動運動もはじまり、便意を促したりもします。

「時間栄養学」は、そうした「体内時計」のリズムと食事との相互作用をとらえたもので、食事をとるタイミングで栄養の吸収やその効果に違いがみられることもあるようです。

 たとえば時計遺伝子の中には、脂肪の蓄積にかかわる遺伝子があるといいます。この遺伝子は朝と昼は量が減り、夜10時から午前2時の間に増えるそうです。

夜遅い食事が太りやすいといわれるのはそんな理由からです。

 

夜から朝までの10時間の絶食が不可欠?

また、朝ごはんを食べないと飢餓感を察知した時計遺伝子がエネルギーを脂肪として体に蓄えるともいわれます。

朝の欠食はダイエットどころか肥満を招いてしまうのです。むしろ朝、しっかり食べれば昼食に大食いを防げるのはもちろん、多少、食べ過ぎても太りにくいともいわれます。

朝食を欠食する人が4人に1人(「食習慣に関する意識調査/2019年」農林水産省)というなか、生活習慣病の不安も指摘されています。

 時間栄養学に基づいた1日の食事時間の理想のパターンは、3食を12時間以内にとることだといいます。

さらに前日の最後の食事(夕食)から翌日の最初の食事(朝食)までの10時間以上は何も食べないで絶食時間をもうけ、朝食は起床後2時間以内にとるのがよいとされます。

たとえば朝の6時に起床したら朝食は午前7時前後。夕食は朝食の12時間後の午後7時前後に食べ、昼食はその中間の正午から午後1時です。

 

体内時計の乱れを防ぐ食事の工夫

 体内時計の乱れは自律神経を乱し、さまざまな体調不良はもちろん、肥満やがんなどの生活習慣病、肌の老化などの原因にもなるといわれます。

体内時計のずれる生活をしていないかチェックを。たとえば、夜遅くまでのスマホ使用、寝酒、深夜のカフェイン摂取、寝不足、休日前の遅寝と休日の寝だめ、運動不足、朝食の欠食、朝の光を浴びない……などです。

また食事にも注意。朝食ではタンパク質(納豆や豆腐、肉類、魚類、卵、乳製品)は欠かさず摂取するようにします。

昼食は食物繊維を多めにとるのが良いようです。昼は脂肪が蓄積しにくいといわれ、脂っこいものを食べるなら昼食がオススメだそうです。

夜は血糖値が上がりやすく、炭水化物や揚げ物の摂取は控えめに。納豆やイモ類、キノコ類がオススメとか。

遅い時間に夕食をとるときは、夕方の早い時間におにぎりやバナナなどを食べて分食を。帰宅後の夕食は野菜中心の消化の良いものを選びます。

「いつ食べるか」を意識して体内時計を整える健康法、試す価値あり!

 

<参考>

*「“時間栄養学”を学ぼう」「体の中から健康チャージ 食習慣で体は変わる!」(大正製薬株式会社)

*「時間栄養学で体内時計を整える」(社会福祉法人 恩賜財団 済生会)

*「時間栄養学的視点で健康な食生活リズム」(公益社団法人日本生化学会)

*「朝食から始める 時間栄養学に注目!」(全国健康保険協会 静岡支部/2024.April)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。