しもやけは、なぜ起こる？

かゆくてジンジンと痛む「しもやけ」。

毎年のようにしもやけになる人もいれば、「しもやけ知らず」という人も。

つらいしもやけは、なぜ起こるのでしょう？

 

どんなトラブル？

　しもやけは医学的には「凍瘡（とうそう）」というそうです。

似た言葉に「凍傷」があります。雪山など手足が非常に強い寒冷にさらされることによって、皮膚や皮下組織に起こる傷害が「凍傷」です。一方、「凍瘡（いわゆる、しもやけ）」は冷えによって生じる血行障害なのだそうです。

しもやけは１日の気温差が大きい時期にとくに発症しやすいとされていて、気温が下がり始める晩秋から春先ころまでが「しもやけシーズン」だといわれています。

 

しもやけはなぜ起こる？

でも、なぜ気温差が大きい時期に、しもやけが起こりやすいのでしょうか。

そもそも血管の収縮は自律神経によってコントロールされていて、寒いときは血管を収縮させて末端への血流を減らして体の熱を逃さないようにし、温かい環境になると血管を広げて熱を逃すなどして、体温を一定に保とうとしています。

1日の気温差が大きいときには、この血管の収縮・拡張が頻繁にくり返されるために体の末端部分の血流が滞り、炎症を起こした状態が「しもやけ」です。

しもやけができやすいのは、手の指や足の指、かかと、耳たぶ、鼻先、頬など、寒さにさらされやすく体の末梢部で血流が滞りやすい部分。うっ血して炎症が起こった部分は赤紫色に腫れあがり、ジンジンと熱い感じがしたり、強いかゆみや痛みを伴うなど、しもやけの症状が出てきます。

　しもやけがひどくなると、出血したり、水ぶくれができることもあるので、悪化させないことが大切だといわれています。

 

しもやけになりやすいのはこんな人

同じ寒さにさらされても、しもやけになりやすい人となりにくい人がいることが知られています。

一般に以下の人は、しもやけができやすいといわれています。

・冷え症の人

冷え症の人はもともと手足などの末梢の血行が悪くなりがちなので、ちょっとした温度差でも、しもやけになりやすいといわれています。

 

・運動や作業などで汗をかく

汗をかいて皮膚を冷やすと血流が悪くなります。

冬でも走り回って汗をかく子どもや、激しい仕事で汗をかくような人は、しもやけができやすいとされています。

また汗をかいたあとは、靴下や手袋の中は濡れたり蒸れたりしますが、そのままの状態にしておくと、水分の蒸発に伴って皮膚が冷やされ、しもやけの原因になるといわれています。

 

・遺伝的な要素

遺伝的な要素も関連しているようです。

家族に冷え症の人が多かったり、血液が滞りやすい体質の人はしもやけになりやすい傾向があるようです。

 

・ビタミン不足

ビタミンEやビタミンCなどのビタミンが不足すると血流が滞りやすくなるために、しもやけになりやすいといいます。

ダイエットによる食事制限をしている人や偏食の人は要注意です。

 

対処法・改善法は？

寒暖差が大きいとしもやけになるので、まずは手袋や靴下、帽子などでしっかりと防寒対策をしましょう。

手袋や靴下が湿ったときにはそのままにせず、すぐに替えることも大事です。

また、きつい靴や靴下は血流を滞らせます。締め付けのないものを選びましょう。

ほかにもビタミン不足にならないよう、バランスをよい食事を心がけて。

なお、血流を良くしようと手足を熱いお湯で温めると、かゆみがかえって増すので注意を。しもやけができたときには、ぬるま湯でゆっくり温めるのがポイントです。

ほかにも、軽くマッサージすることも効果的だといわれてます。

　セルフケアをしても治らないときや、かゆみや腫れが強い場合は、がまんしないで皮膚科を受診しましょう。

　なお、全身性エリテマトーデスや強皮症（きょうひしょう）など女性に多いといわれる膠原病（こうげんびょう）でも、しもやけに似た症状がでるそうです。

大人になってしもやけができるようになった、春以降、暖かくなってもしもやけが治らない、また家族に膠原病の患者さんがいる場合は、しもやけ以外の病気も疑って早めに皮膚科で相談を。

 

＜参考＞

※「ひふの病気　凍瘡」(一般社団法人　日本臨床皮膚科医会)

※「寒暖差のある日に起こりやすい『しもやけ（凍瘡）』」（一般社団法人　千葉市医師会）

※「しもやけ（凍瘡）」（ひふ研　第一三共ヘルスケア株式会社）

※「しもやけ（凍瘡）　原因・症状・治療法」（肌トラブル情報館　株式会社池田模範堂）

※「しもやけ（凍瘡）」の原因・症状を解説」(ロート製薬株式会社)