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今からしっかり冷え対策を!

冷え症の人にとってはつらい季節がやってきました。

けれども、厳しい寒さはこれからが本番。

今からしっかりと冷え対策をとって、この冬を乗り切りましょう。

 

半数以上の女性が冷え症に悩んでいる

 冬は靴下の重ね履きはもちろん、暖房をつけていても、布団に入っても足先が冷たいなど、冷え症に悩む女性は多いですね。

養命酒製造株式会社が実施した「冷え」に関する意識・実態調査2025」によると、「自身が“冷え症”だと思うか」という問いに「冷え症だと思う」「どちらかと冷え症だと思う」と回答した人は、20代~50代の女性ではあわせて半数以上(57.6%)になりました。

とくに多かったのが20代の女性で、「冷え症だと思う」割合は66.3%にものぼりました。

また、冷え症の人が行う対策の1位は「温かいものを食べる・飲む」(51.5%)、2位は「入浴する」(51.3%)という結果でした。

 

自律神経の乱れが冷えの要因に

 冷え症は、西洋医学的にみると手先や足先など体の末端の血流が悪くなることで起こるといわれています。

手足のすみずみまで血液がスムーズに循環しないために手足が冷たくなって、しびれたり、痛くなるといった症状が起こるといいます。

その他、さまざまな原因があるようですが、自律神経の乱れも大きな原因になるようです。

自律神経は、体温調節に血管の拡張と収縮をコントロールする働きがあります。

不規則な生活をしていたり、ストレスがあるとき、また女性の場合は更年期や月経不順などで女性ホルモンのバランスが崩れているときには、自律神経も乱れて血行障害が起こりやすくなるといわれています。

 

筋肉量が少ない女性は冷えやすい

女性に冷え症が多いのは、女性は男性より血管が細く、体の筋肉量も少ないことも大きく関係しているようです。

筋肉は体の中でもっとも大きな熱を生み出す熱源であり、全身の熱産生の約6割を生み出しているといいます。

筋肉量が多いほど熱を産生する能力が高まります。逆にいえば筋肉量が少ない人は熱産生の能力も低いということになります。

 

ダイエットにご用心

「最近とくに冷えやすくなった」と感じている人は、無理なダイエットをして脂肪と一緒に筋肉も落としていませんか?

筋肉は熱を産生する働きが、脂肪には生み出した熱を逃がさないようにする働きがあるそうです。ダイエットによって筋肉も脂肪も落としてしまうと、結果的に冷え症が悪化するといわれています。

また食事は体内で熱をつくる大事な原料となります。欠食したり食事制限をしているとこれも冷えの原因になるそうです。

 

今日から始めたい「冷え対策」

 冷えを感じたときに、温めて治るものであれば、「一時的な冷え」ですが、冷え症の人はひとたび冷えてしまうとなかなか元の状態に戻りにくく、ちょっと温めるくらいでは改善されません。根本的な冷え対策が必要だといわれています。

冷えは、体質的なものもあるようですが、無理なダイエットや運動習慣がなく筋肉量が少なかったり、ストレスや不摂生な生活により自律神経が乱れるなど、生活習慣が大きく関係しているといいます。

本格的な寒さが来る前に、以下の生活習慣を確認しましょう。

(1)こまめに体を動かす

 通勤時は駅まで歩く、エレベーターを避け階段をのぼるなど、ふだんから体を動かす習慣をつけましょう。 

デスクワークが中心の人は、座りっぱなしに注意。血流が悪くなって、ますます冷えがひどくなります。意識的に体を動かすことを心がけましょう。

また手軽な筋トレとして、ゆっくり行うスクワットもおすすめです。血行が促進され、下半身の筋肉が鍛えられます。

 

(2)1日3食きちんと食べる

 欠食せずに、1日3食規則正しく食事をする習慣をつけましょう。

食事をとることでエネルギーを生み出すことができます。また朝食を食べる人は、食べない人と比較して、筋肉量が多い傾向があるといいます。

 食生活では、食べたときに多くの熱を生み出すといわれるたんぱく質をしっかりと。

不足すると血行が悪くなるといわれるビタミンEや鉄分なども積極的にとりましょう。

 

(3)きつい衣服は避ける

 体を締めつけると血行が悪くなり、冷えの原因になります。

きつい下着や衣服は避けて、体に心地よくフィットするものを選びましょう

 

(5)入浴タイムは湯船に入る

 シャワーはやめて、ぬるめのお湯にゆっくりとつかりましょう。

熱めのお湯に足だけつかる足浴もおすすめです。

 

 なお、冷えは甲状腺機能低下症や膠原病、心臓病、貧血や低血圧症など、病気が原因で起きることもあるそうです。

生活習慣を見直したりセルフケアを行っても冷えがつらいときには、内科や婦人科で相談することをおすすめします。

 

<参考>

※「産後ママの体と心 トラブル解消BOOK」(NHK出版 監修/対馬ルリ子)

※「原因から治す「冷え症」対策(栄養と料理/2025.2月号/女子栄養大学出版部)

※「冷え」(女性の健康推進室 ヘルスケアラボ)

※「その手足のつらい冷え、もしかすると筋肉不足が原因かも」(タニタ マガジン 株式会社タニタ)

※「身体の”熱”の発生源は筋肉(市報のだ10月15日号掲載 千葉県野田市)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。