
働き盛りの世代もご用心! 生活習慣病のある人は「熱中症高リスク」?
梅雨の時期からぐんぐん気温が上がって、間もなく酷暑の夏が訪れます。
一般に高齢者や子どもは熱中症になりやすいといわれていますが、働き盛りの40代~50代もご用心。
「自分はまだ若いから熱中症とは無縁」という思いこみは危険のようです。
熱中症と生活習慣病は関連がある
熱中症による救急搬送は例年5月ころから増え始め、7月~8月がピークだといわれています。
梅雨明けからは全国的に猛暑になり、熱中症の危険が高まると予想されています。
そんななか健康・生活習慣と熱中症の関係性を示す調査結果をまとめた「熱中症白書」(住友生命保険相互会社、株式会社JMDC)が公表されました。
この白書は1,000万人を超える医療ビッグデータ・解析力・臨床目線を組み合わせて分析されたもの。そのなかで、歩行習慣や睡眠の質、生活習慣病と熱中症との関連性を示して熱中症の予防を呼びかけています。
熱中症による入院リスクが大きく上がる要因
白書によると、熱中症の診断を受けた人が100人いるとそのうち3人が入院していることになるといいます。
とくに注目されているのが、生活習慣病と熱中症リスクとの関係です。
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があり降圧薬や治療薬を服用している人は、そうでない人と比べて熱中症の診断リスクが1.5倍程度に。さらに熱中症による入院リスクは2~5倍と大幅に高くなることがわかりました。
高血圧や糖尿病は発汗機能が低下しやすく、脂質異常症は血液循環が悪くなることで放熱効率が低下する可能性があるために、生活習慣病を持つ人は熱中症のリスクが高くなるとしています。
肥満もリスク要因
また肥満も、熱中症リスクを上げる要因の一つとされています。
肥満すると脂肪組織が増加して熱放散が妨げられることで、体温調節機能に影響を及ぼす可能性があるとしています。
生活習慣病は、男性の場合40代ころから増え始めるとされており、肥満者の割合は40代~50代でもっとも大きいといわれています。
不規則な生活がたたって、「生活習慣病になった」「体重を増やしてしまった」という人は要注意です。
熱中症リスクを上げる生活習慣
『熱中症白書』は「生活習慣と熱中症」の関係についても言及しています。
熱中症リスクを高める要因としてあげられているのが
・就寝前の2時間以内に夕食を摂る
・喫煙習慣がある
・睡眠不足である(睡眠休養感が得られていない)
といった生活習慣。
いずれも熱中症に限らず、健康を損なうリスク要因にあてはまる生活習慣ばかりです。
家に帰ってホッとしてドカ食いする人もいるかもしれませんが、夜遅い食事は、肥満につながるだけでなく、良質な睡眠も妨げるので気をつけて。
また寝苦しい夜は睡眠不足にならないように、通気性の良い寝具を選んだり寝室の温度を調整するなどして、心地よく眠れる環境を整えたいですね。
歩行習慣でリスク減
熱中症リスクを下げるために積極的にすすめたい生活習慣としては「歩行習慣」があげられています。
「熱中症白書」では、「歩行習慣があると、熱中症の重症化予防に寄与する可能性がある」としています。
ほかにも朝食を抜くと脱水症状になりやすいといわれています。
またコーヒーは利尿作用があるので、朝はコーヒーだけという人は脱水に拍車をかけることになります。しっかりと朝食をとって出かけましょう。
働き盛りの世代は、日々の仕事に追われて、つい自分の健康を後回しにしてしまいがちです。
「熱中症になって入院」などということにならないよう、十分な水分補給と健康的な生活を心がけて、長い夏を乗り切りたいですね。
<参考>
※「リアルワールドデータで示す 健康・生活習慣病と熱中症の関係」(住友生命保険相互会社 株式会社JMDC)
※「年代別・世代別の課題その2」(厚生労働省)
※「肥満症診療ガイドライン2022」(編集 日本肥満学会)
※「梅雨入り前から熱中症対策を!!」(公益社団法人 東京都医師会)
※ 健康長寿ネット「脱水」(公益財団法人 長寿科学振興財団)