
更年期はこころの揺れにも悩むとき
女性ホルモンが乱高下しながら減少していく更年期は、体の不調だけでなく、精神的な不調に悩む人も多くいます。
イライラしたり怒りっぽくなったり、「最近変だなぁ」と感じることはありませんか?
多くの更年期女性はメンタル不調を感じている?
家族のこと、仕事のこと、夫婦の問題や介護など、更年期はストレスや悩みが増える時期。精神的な不調に見舞われる人が少なくありません。
「どうして自分だけがこんなにつらいのか……」と思うかもしれませんが、40代~50代は人生の中でも大きな心の危機を迎えるときだといわれています。
みなさんは「ミッドライフクライシス(中年の危機)」という言葉をご存知でしょうか。
人生の折り返し地点の頃に向かえる心の葛藤のことで、これまでの自分の生き方に疑問を覚えたり、このままでいいのかと不安や葛藤に押しつぶされそうな状態を指すそうです。
更年期世代(45~55歳)の85.0%が直近1年にメンタル不調を抱えているという調査もあります(クラシエ薬品株式会社調べ)。
更年期は高ストレス世代
さらに40代から50代にかけては、家庭でも職場でもさまざまな問題や変化が起こるとき。高ストレスの世代といわれています。
例えば職場での責任が増えたり、あるいは元気だった親が急に衰えて親の介護問題が起こってきたり。
夫や自分に職場のリストラ問題も出てくるかもしれません。
また子どもが学校に行かなくなったり、仕事を転々としたり、引きこもりの状態になったりすると、心理的にも経済的にも大きな不安を抱えることになります。
親が更年期のときに子どもが思春期を迎えると、毎日のように子どもとぶつかりあって、家庭内が殺伐としているという人もいます。
この時期は夫との価値観の相違から夫婦関係の問題を抱える人も少なからずいるようです。
更年期を迎え、自分はもう若くないのだと落ち込む人もいます。
自分に合ったストレスマネージメントを
更年期世代に迎える心の危機を、どんなふうに乗り越えていけばよいのでしょうか。
1つは増大するストレスに押しつぶされないために、ストレスマネージメントが必要だといいます
ストレスを自覚したら、思い切って気分転換をはかりましょう。
例えば、趣味を楽しんだり、喫茶店に行って自分だけの時間を持ったり、エステや美容院、観劇やコンサートに行ってみたり。
地域のボランティアに参加して、新しい世界に飛び込んでみるのもひとつの方法かもしれません
いろいろ試してみて、しばしの時間日常から離れて、上手にリフレッシュしましょう。
気持ちの落ち込みには運動も効果あり
また心身の不調を予防したり改善するためには、じつは運動も大切なポイントだといわれています。
軽い運動でもストレスを解消させるホルモンが分泌されることが知られています。
ウォーキングなどの有酸素運動は、気分の落ち込みや不安の解消に効果的だといわれていますが、それだけではありません。更年期症状の緩和や心とからだのリラックス効果、睡眠リズムを整える作用もあるといいます。
「時間がない」をいいわけにしないで、意識的に体を動かしましょう。
気の置けない友人やきょうだいとのおしゃべりもストレス発散に役立ちます。
つらいことを言葉に出して話すだけで気持ちがすっきりすることが多いものです。
それでもイライラが収まらず、激怒しそうな自分がいたら、相手を傷つける言葉を放つ前に、すみやかにその場から離れてクールダウンするとよいといわれています。
ひとりで抱え込まず専門家にも相談を
いろいろ対策を講じても症状が悪化していくときには、ひとりで抱え込まない事。ためらわず精神科や心療内科の受診して専門家に相談しましょう。
また女性ホルモン(エストロゲン)の減少による精神的な不調は、婦人科でも対応してくれるそうです。
心も体もさまざまな不調に襲われる更年期。
嘆くだけで終わらせず、健康に気をつける、運動習慣をつける、コミュニケーションの方法を見直すなどして前向きに考えてみてはどうでしょう。
更年期はその後の人生を実り豊かに過ごすために準備期間としたいものですね。
<参考>
※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子著)
※「更年期のメンタル不調に関する実態調査(対象:30代~60代の女性1,236人 2024年7月8日~10日)」(クラシエ薬品株式会社)
※「中年期に起こる「ミッドライフクライシス」とは?起こる原因や対処法について解説」(富国生命保険相互会社)
※「【図解でわかる】「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」をどうする? いますぐセルフチェック」