寝ている間の夜間熱中症に注意?
熱中症といえば気温の高い「日中の屋外」と思いがちですが、意外にも「夜間の室内」で起こることが多く、特に睡眠中の熱中症には要注意とか。
寝ている間に症状が進むこともあるようです。エアコン使っていますか?
熱中症の救急搬送は毎年数万人
「記録的な猛暑」などと近年、夏になるとよく耳にしますが、毎年のように猛暑が続くと、もはや異常ではなく「日常的な暑さ」といった感じです。
そうなると心配なのがやはり熱中症。
総務省消防庁のデータによると、全国で6月〜9月にかけて熱中症で救急搬送された人は、2018年が9万2,710人、2019年が6万6,869人、2020年が6万4,869人、2021年が4万6,251人で、特に2010年以降、大きく増加し、毎年4万人以上も熱中症で病院に搬送されています。
また、厚生労働省人口動態統計によれば、熱中症による死亡者数がもっとも多かった2010年(1,745人)以降も毎年数百人から1,000人前後の方が熱中症でなくなっているといいます。
夏の熱中症の4割は夜間に発症
熱中症といえば気温の高い昼間、屋外での運動や仕事中に起こるものと思いがちですが、室内でも起こる可能性がとても高く、消防庁の調べでも発生場所の最多は住居(庭など敷地内を含む)で39.4%でした。
さらに夏の熱中症の約4割は夜間に起こるといわれ、特に睡眠中の熱中症が問題になっているといいます。
熱中症の初期症状としてよくいわれるのは、不快な気分、だるさ、めまい、失神、筋肉痛、筋肉のこむら返り、手足のしびれなど、熱中症の症状I度(軽度)といわれる段階です。
この段階で異常に気づき的確な対応をすれば問題ないのでしょうが、何しろ睡眠中ですから、そうした症状を自覚できず、熱中症が重症化してしまうことがあるようです。
夜中は室温が高く、脱水が起こりやすい?
夜中に熱中症が起こる原因として考えられるのは、高い室温と脱水だといわれています。
夜は昼よりも部屋の中は涼しくなっているだろうと思いがちですが、そうでもないらしく、外壁の建材や壁、天井などに蓄えられた昼間の熱が、夜、部屋の中に放出されて室温が下がりにくくなっているのだそうです。
特に今は防犯のために、窓に鍵をかけて部屋を閉め切ることが一般的になっていますから、部屋の中は思った以上に高温になりがちです。
さらに睡眠中は、のどが渇いても気づかず、水分を補給できませんから脱水症状を起こしやすい状態にあるといいます。
睡眠中は熱中症になりやすい環境にあるといっていいかもしれません。
エアコンの設定温度と実際の室温は違う?
夜、暑くて寝苦しいと感じたら、ためらわずにエアコンや扇風機を使いましょう。
快適に眠るには室温が26〜28度、湿度50〜60%といわれています。
ただエアコンを使うときに注意したいのは、エアコンの温度設定と実際の室内の温度には差があるということです。エアコンを26度に設定しても室温が同じ26度とは限りません。温湿度計を備えておくのがいいでしょう。
また就寝中にはコップ1~2杯の汗をかくといわれています。
脱水を防ぐためにも、入浴の前と後、さらには就寝前にコップ1杯程度の水を飲むのがいいようです。枕元に水を用意しておくといいですね。
昔からいわれる快眠のコツに「頭寒足熱」というのがあります。
「頭は冷やして、足は暖かく」……エアコンを使うときは、足元を冷やしすぎないように、ふとんをしっかりかけて寝ることも大切なようです。
<参考>
*「熱中症 環境保健マニュアル2022」(環境省)
*「夜こそ気をつけたい!『睡眠中の熱中症』とその対策」(西川株式会社公式サイト)
*「全体の4割が夜間に熱中症」(TBS NEWS DIG)