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若い世代も油断できない帯状疱疹

季節の変わり目に注意が必要だといわれている帯状疱疹(たいじょうほうしん)。近年は若い世代にも増えているといわれています。どんな病気なのでしょう。 

 

顔や体の片側に出るのが特徴 

 帯状疱疹という病気をご存知ですか。テレビのCMでなんとなく知っているという人も多いかもしれません。 

 顔やからだの片側にピリピリ・チクチクとした痛みが現われて、神経の流れに沿って赤い丘疹や水疱が出現することから「帯状疱疹」と呼ばれているそうです。 

 病気の原因は、多くの人が子どものころに感染する「水ぼうそう」と同じ「水痘(すいとう)・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルス」によるものです。 

  

原因は水ぼうそうと同じウイルス 

子どもの頃、初めてこのウイルスに感染したときは、水ぼうそうとして発症するそうです。けれども、病気が治った後もこのウイルスは体の神経節に潜伏し続けます。そして加齢や疲れなど体の抵抗力が落ちたときに再びウイルスが暴れ出して、帯状疱疹を発症するといわれています。 

 日本の成人の約9割以上はこの「水痘・帯状疱疹ウイルス」が体の中に潜伏しているそうです。80歳までに3人1人が帯状疱疹になるといわれていますから、身近な病気の1つといえます。 

  

20代~40代の発症が増えている 

 帯状疱疹は、これまで50代以上人がかかりやすいとされてきました。ところが近年は20代~40代の若い世代の発症率が増えているそうです 

 その理由の1つに2014年以降に子どもの水痘ワクチンが定期接種となったことが指摘されています。 

大人が水ぼうそうの子どもと接することによって、大人も免疫機能が強化されるそうですが、ワクチン接種によって水ぼうそうの流行が激減。大人も帯状・水痘ウイルスに接する機会が減ったことから、20代~40代も帯状疱疹にかかる割合が増えてきたと考えられているようです。 

  

疲労・ストレスがあるときほど体調管理が重要 

 帯状疱疹は、50代以下でも糖尿病やがん、膠原病、バセドウ病、潰瘍性大腸炎などの基礎疾患を持つ人たちは、発症リスクが高くなる報告があるそうです。 

 しかし基礎疾患を持っていなくても過労やストレスなども発症のきっかけになるといわれていますから、20代~40代も安心はできません。 

 仕事が激務で疲労気味、人事異動や対人関係などでストレスがたまっていると感じるときほど、免疫力が低下しないように、しっかりと食事をして十分な睡眠をとる、疲れやストレスをためないなど体調管理を心がけることが大事だといわれています。 

  

早めの受診が大事 

帯状疱疹は、通常は体の左右どちらかの神経に沿って帯状に現れます。多くは上半身にみられますが、顔、特に目の周りに現れることもあるそうです。 

初期の段階では「虫刺されかな」と思うことも多いようです。 

しかし体の左右どちらかの神経に沿って、ピリピリ・チクチクした皮膚の痛みやかゆみなどが現れる、痛みのある部分に赤い発疹が同時に出るなどの症状が出たら、帯状疱疹を疑ってすぐに皮膚科を受診しましょう。 

帯状疱疹は治療が遅れると、重症化したり、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺、視力低下など合併症や重い後遺症が残ることがあるそうです。 

早期に発見し早期に治療を行うほど効果が期待できるといわれており、発疹が出てから3日以内の治療が望ましいとされています。 

早めの受診につなげるためには、まずは、帯状疱疹という病気があるということを知っておくことが大事です。 

 なお、帯状疱疹は、主に50歳以上の人を対象としたワクチンがあります。気になる人は近所の皮膚科やかかりつけ医に相談を。 

 

<参考> 

※『ウィメンズ・メディカ』(小学館) 

※「帯状疱疹予防.JP」(グラクソ・スミスクライン株式会社) 

「帯状疱疹と予防接種-50歳を過ぎたら帯状疱疹予防接種をお考えくださいー」(奈良県医師会) 

※読むラジる「季節・環境の変わり目 “帯状疱疹”に注意!」(NHKジャーナル2024/04/24放送) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。