
LDLとHDLのバランスを示す指数とは?
コレステロールといえば悪玉コレステロールばかりに関心がいきがちですが、近年、善玉コレステロールとのバランスが重要といわれます。コレステロールは動脈硬化の発症と深い関係があるだけに気になります。
LDLとHDLのバランスが重要?
「LH比」というのをご存知でしょうか? いわゆる悪玉といわれるLDLコレステロールと、善玉といわれるHDLコレステロールの比率のことです。
LDLコレステロールは悪玉などと呼ばれていることから、健診などで数値が高いとなんとなく不安に感じる人もいらっしゃるでしょう。逆に善玉のHDLコレステロールが低かったりすると、これもやはり「大丈夫かな?」などと心配しがちです。
これまでLDL(悪玉)コレステロールもHDL(善玉)コレステロールも、それぞれ基準値の範囲内にとどめることが重視されてきました。しかし近年、LDLコレステロールもHDLコレステロールも正常な数値の範囲内に収めるだけでなく、LDLとHDL両方のバランスが重要という考え方が広まっているようです。
その指標として「LH比」が重視されているといいます。
「LH比」で動脈硬化のリスク判断?
「LH比」は動脈硬化指数などとも呼ばれているようで、この指数から脂質異常症や動脈硬化のリスクを判断するのに役立つといいます。
「LH比」は、LDLコレステロール値をHDLコレステロール値で割って算出できます。例えば、LDLコレステロール値が100mg/dlで、HDLが80mg/dlとすると、<100÷80=1.25>となり「LH比」は、1.25です。
この指数の基準値は1.5未満とされ、「LH比」が1.5を下回れば血管内がきれいで健康な状態だそうです。1.5を超えるとコレステロールが血管内に付着し始めているとみられ、2.0以上では血管壁へのコレステロールの付着が増えて血管の弾力が失われ、血管が狭くなっている恐れがあるといいます。動脈硬化のリスクが疑われる状態でもあるようです。
「LH比」が2.5以上では血栓ができている可能性があり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高い状態といわれています。
LDL、HDLが基準値内の「LH比」は?
ただ、LDLとHDLの値が基準値内であっても「LH比」が高くなることもあります。例えばLDL値が100mg/dlでHDL値が40mg/dlの場合の「LH比」は2.5となり、これは血栓などのリスクが高い指数といえます。
また、高血圧や糖尿病などの持病がある場合は、「LH比」を1.5未満にするのが望ましいと多くの専門家が指摘しているようです。
血管の健康を維持して「LH比」を改善するには、比率の計算で「分母」に当たる「LDL(悪玉)コレステロール」を「減らす」ことと、「分子」に当たる「HDL(善玉)コレステロール」を「増やす」ことが大切といいます。
この「LH比」は医療機関で採血して調べることもできます。
LDLを減らし、HDLを増やすには?
LDLコレステロールが高い場合は、脂質の多い食事や過食などしていないか、食生活の見直しが求められます。特に動物性の脂肪(飽和脂肪酸)を多く含む乳製品や肉類、魚卵、鶏卵などの食品は、肝臓でのコレステロールの合成を促進するといわれているので注意が必要です。
LDLを減らすためのおすすめの食品は、大豆や豆腐などの食物性タンパク質、海藻やキノコ類、イワシ、サバなどの青魚、緑黄色野菜などで、これらはLDLを抑制する働きがあるといわれます。
一方、HDLコレステロールは食事の影響をあまり受けないそうです。HDLを増やすにはジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が効果的といわれます。運動不足と喫煙はHDLを減らすそうです。運動の習慣と禁煙はHDLを増やす大きなポイントといえそうです。
食と運動という基本的な生活習慣を見直すことで、LDL・HDLコレステロールの数値と「LH比」を適正に保ちましょう。
<参考>
*「生活習慣病を知ろう!〜スマート・ライフ・プロジェクト〜」「コレステロール(e-ヘルスネット)」(厚生労働省)
*「『LH比』を目安にコレステロールを見直す」(オムロン ヘルスケア株式会社)
*「LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率LH比について解説」(サントリーウエルネスOnline)