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本当は怖い。いびきの正体

「グー ゴゴッー」豪快ないびきをかいている人は、気持ちよく爆睡しているようにも見えますね。 

けれども決してよい眠りの証ではなく、慢性のいびきは病気のサインであることも。あなたは大丈夫ですか? 

 

いびきはなぜ起こる? 

そもそもいびきは、鼻からのどにある空気の通り道である「上気道」が狭くなっているときに起こるそうです。 

空気の通り道が狭くなっているところに、無理やり空気が通ろうとするために起こる振動音がいびき音。 

決して気持ちよく眠っているわけではないようです。 

空気の通り道が狭くなる理由はさまざまだそうですが、お酒を飲んだときや、花粉症や風邪で鼻が詰まっているときなど、口呼吸になっているときにはいびきが出やすいことが知られています。 

こうした一過性のいびきは、おおむね心配はいらないといわれています。 

けれども毎日のように大きないびきをかいている人は、要注意。 

睡眠中に睡眠時無呼吸症候群を引き起こしていることがあるそうです。 

 

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人 

毎日のように大きないびきをかく背景には、鼻中隔彎曲症(鼻の穴を左右に隔てている鼻中隔が強く湾曲している)や肥厚性鼻炎(鼻の粘膜が厚くなっている状態)、鼻茸症(鼻ポリープ)、副鼻腔炎(副鼻腔の粘膜の炎症)、習慣性扁桃炎(扁桃腺を何度も繰り返す)、アデノイド肥大(鼻腔の奥にある扁桃腺が大きくなる)などの病気が隠れていることが多いといわれています。 

こんなふうにのどや鼻に病気を持っている人や肥満の人、あごが小さい人などは、気道が狭くなって空気の通りが悪くなることによって、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こしやすいといわれています。 

 

寝ている間に無呼吸になる 

医学的には睡眠中に10秒以上呼吸が止まる無呼吸呼吸が弱くなる状態が、1時間あたり5回以上繰り返される状態を「睡眠時無呼吸症候群」というそうです。 

睡眠中に息が止まるため、血液中の酸素濃度が低下して目が覚めて呼吸し始めますが、再び呼吸が止まります。 

これを一晩中繰り返すわけですから、深い睡眠がまったくとれなくなります。 

 

睡眠時間を確保しているのに日中眠い人は要注意 

本人は睡眠時間をたっぷりとっているつもりでも、起きたときに頭痛や倦怠感などの症状が出たり、日中に強い眠気が出現したりします。 

日中の強い眠気から運転中などに居眠りをして事故につながるケースも少なくないそうです。 

また睡眠中に酸素濃度が下がるために体に大きなストレスがかかります。 

そのため、睡眠時無呼吸症候群は高血圧を引き起こし心筋梗塞の原因になって突然死につながる心配もあるといわれています。 

睡眠時無呼吸がなりやすい年齢は、男性は40代~50、女性の場合は閉経後から急増するといわれています。 

家族に「いびきがうるさい」といわれている人、また睡眠時間はしっかり確保しているのに、起きたときの頭痛・倦怠感、日中の眠気などがある人は睡眠時無呼吸症候群を疑って早めに耳鼻咽喉科や呼吸器内科などを受診することをおすすめします。 

いびきや睡眠時無呼吸を専門に扱うクリニックや「いびき外来」や「無呼吸外来」を設けている病院もあります。 

 

<参考> 

※『ウィメンズ・メディカ』(小学館) 

※『知っておきたい 循環器病あれこれ 101』(循環器病研究振興財団) 

※「睡眠時無呼吸症候群」(e-ヘルスネット 厚生労働省) 

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。