過活動膀胱をご存じですか?
トイレを我慢できない、間に合わずに漏れてしまう、頻尿で困るといったトイレの悩みはありませんか?
それはもしかしたら過活動膀胱かもしれません。
過活動膀胱とは
過活動膀胱(かかつどうぼうこう)と呼ばれる病気があります。
病気の説明をする前に、排尿の仕組みをみてみましょう。
そもそも膀胱は、尿をためておく貯水タンクのような役割をしているそうです。膀胱にためている尿がいっぱいになってくると尿意を感じる仕組みになっています。
そして尿意を感じてトイレに行き、排尿する準備が整うと脳から指令が発せられて、それまでゆるんでいた排尿筋が縮んで尿が排泄されるのです。
ところが、過活動膀胱では膀胱の筋肉が過敏になっているために、尿が十分に溜まっていないのに自分の意思とは関係なく膀胱が勝手に収縮してしまうそうです。
急に強い尿意をもよおすために、おしっこが漏れそうになったり、トイレまで間に合わずに漏れしまったり。 また昼間の頻尿、夜間の頻尿などの症状もあるといいます。
人知れず悩んでいる人が多い
頻尿はもちろんですが、尿もれや尿失禁といったことがあるとつらいですね。
他の人には言いにくい悩みだけに人知れず悩みがちですが、排尿に関する疫学調査では、過活動膀胱に悩む人は約810万人と推定されています。
また40歳以上の8人に1人いるといわれていますから、過活動膀胱に悩んでいる人はめずらしくありません。
生活の質が大きく下がる
なぜ過活動膀胱になるのか。その原因はまだよくわかっていないそうです。
しかし、パーキンソン病など脳や脊髄の病気によって膀胱のコントロールが効かず、前立腺肥大症によって膀胱が過敏になるといった病気が原因である場合や、加齢による膀胱機能の変化によるもの、はっきりとした原因が特定できないケースも少なくからずあるといいます。
過活動膀胱は命にかかわる病気ではありませんが、急に強い尿意をもよおしたり頻尿になったりするために、トイレが気になって仕事がおろそかになったり、人と会ったり、外出するのがおっくうになったりするなど、生活の質が下がる病気であることは間違いありません。
受診時に排尿日誌を
「過活動膀胱かな」と感じている人は泌尿器科を受診することをおすすめします。
受診する際は、トイレに行った時間や排尿の量、水分摂取量や時間を3日ほど記録した排尿日誌をつけていくと診断に役立つといわれています。
具体的な内容は、「排尿日誌」とWEB検索すると出てくるので参考にしてください。
女性泌泌尿器科や女性専用の外来も
過活動膀胱の治療では、膀胱により多くの尿を溜められるような薬を使用するほか、骨盤底筋体操や排尿したくなっても尿意を我慢して排尿間隔を少しずつ引き延ばしていく膀胱訓練などの行動療法も効果があるといわれています。
女性の場合、泌尿器科は行きにくいという声を聞くこともあります。
女性が気兼ねなく受診できるように女性泌尿器科や女性専用の外来時間帯を設けている医療機関もあります。
排尿の悩みは我慢せずに、気軽に受診してください。
<参考>
※「習慣を見直し尿意改善」(東京新聞/2024.5.22)
※『過活動膀胱』(日本臨床内科医会)
※「尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」(日本泌尿器科学会)
※「過活動膀胱には我慢が大切」(中野区医師会)