肥満を「ぽっちゃり体型」ですまされない理由?
肥満が増えているようです。肥満は単に「太っている」だけではすまない、さまざまな病気の原因になるといわれます。肥満はどうして起こるのでしょう。
どんなリスクがあるのでしょうか?
男性の3人に1人が肥満
「恵比寿様」や「大黒様」がそうであるように、昔は太ってお腹が大きな人は「裕福」「豊かさ」の象徴のように見られていたものでした。
しかし、現代では、そのような人は「肥満」とか「メタボ」などと呼ばれて、何かと健康と関連づけられるような事態になっています。
じつは日本の成人男性の3人に1人は、肥満だといいます。
「国民健康・栄養調査 令和元年」(厚生労働省)によると、男性全体の33.0%が肥満(BMI<体格指数>が25以上)だそうです。
特に中年世代での肥満傾向は顕著で、30歳代は29.4%ですが、40歳代に至っては39.7%、50歳代では39.2%にも上昇。なんと40~50歳代の10人に4人が肥満というわけです。
「やせ」が増えている女性とは逆です。
加齢による基礎代謝量の低下も原因?
なぜ中年世代の肥満が増えてくるのでしょう。
肥満の一般的な原因としては、多くの人がご存知のように摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、消費されずに余ったエネルギーは脂肪となって体に貯蓄されるからといわれます。
基礎代謝量の低下も無視できないようです。
基礎代謝量とは生命維持のために必要な最低限のエネルギーのこと。
じっとしていても呼吸や心臓の拍動などで消費されます。
年を経るにしたがって基礎代謝量は低下します。
ところがそんなことはおかまいなしに……というか基礎代謝量をふだん意識する人はあまりいませんから、若いころと同じように高脂質、高カロリーな食事をすれば、エネルギーが消費できずに結果として食べ過ぎになります。
日ごろから運動不足であればなおさらです。
ストレスや寝不足、寝すぎも肥満の原因?
肥満とは「体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態」(「肥満と健康」e-ヘルネット/厚生労働省)をいいます。
「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられますが、特に男性に多いとされる内臓脂肪型肥満は、筋肉の内側の腹腔内に脂肪が蓄積するタイプで、生活習慣病を発症するリスクが高いといわれています。
皮下脂肪型肥満は、下腹部やおしり、腰まわりなどに脂肪がつきやすく、下半身が太めで女性や子どもに多い肥満といわれます。
ストレスや不規則な生活、寝不足、寝すぎなども肥満の原因と考えられています。
やけ食いや深夜の食事、極端な偏食、過剰なエネルギーの摂取などにつながるからというのがその理由のようです。
内臓脂肪の蓄積は何をもたらす?
内臓脂肪がたまると、糖尿病や高血圧を発症しやすくなるとよくいわれます。 血糖値を下げる物質や血圧を下げる物質の分泌が減少し、それらを上げる物質の分泌が増えるからだと考えられます。
また、血液のかたまりの血栓ができやすくなるともいわれているので、高血圧や糖尿病によって動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まることになります。
がんとの関連もいわれています。内臓脂肪が増えすぎると、細胞の増殖を抑える物質の分泌が減少。それによりがん細胞が増殖してがんの発症リスクが高まるというのです。
おなかの「ポコッ!」が気になりだしたら、内臓脂肪の蓄積を疑い、生活習慣を見直すとともに肥満解消のきっかけにしてはいかがでしょう。
<参考>
*「令和元年度 食育白書」(農林水産省)
*「肥満が原因となるさまざまな病気を解説」(NHK健康チャンネル)
*「肥満はなぜ怖いのか」(オムロン ヘルスケア)
*「肥満について詳しく知ろう」(大正製薬株式会社)