筋肉量の減少は大豆を食べて防げる?
筋肉の衰えなど、まだまだ先の話なんて思っていませんか?
運動不足に加齢など、筋肉の減少を加速させる要因はいくつもあります。
そんななか最近、大豆を食べると筋肉量が維持されることが分かったといいます。
筋肉は体の重量の4~5割を占める
ふだんはあまりというか、ほとんど筋肉のことを意識することはないかもしれません。でも筋肉は、体を支えてくれたり、動かしたり、エネルギーを貯蔵するという大きな役割を果たしてくれています。
手足や体を動かすための骨格筋、心臓を動かし続ける心筋、内臓や血管の内壁にある平滑筋の3種類の筋肉があります。
骨格筋は自分の意思で動かすことができることから随意筋、心筋と平滑筋は自分の意思ではコントロールできないので不随意筋と呼ばれます。
筋肉は体重の40~50%を占めるといわれます。
筋肉量のピークは20歳代
筋肉量のピークは20歳代といわれ、年齢を重ねるにつれ少しずつ減少していきます。
筋肉量はピークを過ぎると40~70歳までのそれぞれ10年当たり約8%ずつ減っていくといわれ、さらに70歳代になるとピーク時の4割にまで筋肉量が減少するともいわれています。
特に中年期といわれる30~50歳代に運動しない生活を送ると、筋力は急激に衰える可能性があるともいわれます。
例えば太ももの内側の筋肉は、1日じゅう寝て過ごすなど、動かないでいると2日で1%減少するといわれています。
筋肉量の減少と健康リスクの関係
筋肉量の減少はどんな健康リスクを招くのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは運動機能の低下。歩くのが困難になり、体を支えきれずに転んでしまう危険が高まるといいます。
また、免疫機能が低下して病気になりやすくなったり、血糖値が高くなったりするといわれています。
筋肉量の減少は生活習慣とも深く関わっているようです。
栄養バランスのとれた食事と運動習慣のある人は筋肉量を維持できる一方、食事をきちんとしておらず、運動不足の人は筋肉量が低下するといいます。
「国民健康・栄養調査(平成29年)」(厚生労働省)でも、骨格筋の平均値は、男女ともにタンパク質の摂取量が多いほど、また肉体労働をしている時間が長い人ほど高いことが示されています。
大豆を食べると筋肉を維持できる
そんななか、「毎日大豆を食べると筋肉を維持できる」という研究結果が新聞などで報道されました。
徳島大学とフジッコ株式会社の研究グループが、運動不足になりがちなタクシードライバー(25人/36〜71歳)を対象に、蒸し大豆を30日間、毎日摂取するグループと摂取しないグループに分けて、筋力などの機能を調べたところ、毎日食べたグループの筋機能が向上したといいます。
研究グループによれば「筋肉を増やすには動物性タンパク質の摂取が必要だが、大豆などの植物性タンパク質は筋肉の減少を防ぐ効果がある」ということです。
朝食での大豆の摂取が効果的
また、同大学と旭松食品株式会社の共同研究でも、高野豆腐のタンパク質が筋肉量の維持に役立つ可能性があることが示されたといいます。
大豆製品には豆腐や豆乳もありますが、煮豆や蒸し大豆、納豆など、大豆の形のまま食べるのがより効果を発揮するそうです。
1日の食事の中では、朝の食事での摂取が筋肉量の増加に効果的というマウスによる研究結果もあるといいます。
運動不足の人や病気などで運動できない人にとって、大豆パワーによる筋力維持や、弱いながらも筋力増強の効果はうれしいニュースです。
とはいえ毎日の運動こそ筋力アップの基本であることを忘れないで。
<参考>
*「毎日大豆 筋肉を維持」(東京新聞/2024.4.10)
*「高野豆腐 筋肉の維持に効果」(南信州新聞/2024.2.9)
*「筋肉と健康・寿命の関係」(NHK健康チャンネル)
*「筋肉量キープに大豆を」(フジッコ株式会社)
*「筋肉量は足りていますか?」(味の素株式会社)