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「少食+やせ+運動不足」はハイリスク!?

秋は体を動かすのが楽しい季節。あなたは運動をしていますか? 

日本人の3人に1人は運動不足だといわれていますが、とくに運動不足が顕著なのは20代~40代の女性といわれています。今回は、女性の健康と運動について考えてみます。

 

若い女性の9割が運動不足

 若い女性の運動不足が深刻だといわれています。

厚生労働省の調査によれば、女性で運動習慣があると答えた人は、30代はわずか9.4%。20代と40代はともに12.9%でした。(国民健康・栄養調査結果の概要 令和元年)。

運動習慣のある女性は50代以降からは増えてきますが、20代~40代の女性の8割~9割は運動習慣ナシ。

運動が体によいことはわかっていても「毎日忙しくて、運動時間なんてとてもとれそうもない」いった声が聞こえてきそうです。

 

運動不足は、死亡を招く危険因子?

ところで、みなさんは運動不足が続くと、体にどんな悪影響があると思いますか?

まずパッと頭に思い浮かぶのが肥満かもしれません。肥満のほかにも生活習慣病や女性の場合は骨粗鬆症のリスクが高まることなども広く知られています。

それだけではありません。厚生労働省によると、運動動不足が原因で起こる循環器疾患やがんなどの死亡者は、毎年約5万人もいるとされています。

運動不足は、喫煙、高血圧に続く、死亡に至る危険因子の第3位に挙がっているのです。たかが運動不足とあなどってはいけません。

 

メタボと同じように不健康

とはいっても、20代、30代は、病気なんてまだまだ遠い先のことと思いがちです。肥満ならまだしも、やせていれば病気と無縁でいられると思っていませんか?

けれどもそれは大きな誤りのようです。順天堂大学医学研究科・スポートロジーセンターのこれまでの研究から、少食・運動不足の若い女性は血糖値が上がりやすく、肥満女性と同じように糖尿病の発症リスクが高いことがわかってきたそうです。

研究では、若いやせた女性は標準体重の女性に比べて、「食べる量が少ない」「運動量が少ない」「筋肉量が少ない」といった特徴があることもわかったそうです。

見た目がスリムでも、少ししか食べずに運動不足の状態では、肥満やメタボの人と同じくらい不健康な状態であるというのです。

 

20代女性はとくにやせの割合が高い

国際的に見ても、日本は若い女性のやせが顕著で、20代女性の5人に1人はBMI18・5未満のやせだといわれています。

 例え今はまだ健康に問題がない人も、将来健康問題を引き起こす可能性も。また、エネルギー不足で栄養不足、運動不足の状態では、更年期過ぎから増える骨粗しょう症のリスクも高まるといわれています。

 

できることから始めよう

 そうならないためにも、少食、やせ、運動不足に心あたりがある人は、まずは体を動かしてお腹をすかせて、バランスのとれた食事を摂ることを意識してみませんか?

 運動はめんどうくさい、運動時間が持てないという人も多いかもしれません。

こんなときは、歩くときは速足を心がけたり、エスカレーターには乗らずに階段を使ったり、また少し遠くのコンビニやスーパーに足を延ばすなど、ちょっとした日常の工夫でも運動量を増やすことができます。

 また、ジムに行くのは大変でも、運動ゲームや動画、アプリを利用すれば、自宅でも隙間時間を使って楽しく体を動かせそうですね。

 運動はストレス解消になるだけでなく、うつ病予防や不安気分の改善など心の健康を保つためにも必要だといわれています。このところ気分が上がらないという人も思い切って体を動かして、自分なりの「スポーツの秋」を楽しんでみてください。

 

<参考>

※「『痩せていれば病気にならない』は誤解!? 女性の大敵『痩せ』『運動不足』のリスクと解決策(スポーツ庁WEB広報マガジン)

※「『少食で運動不足』の若くてやせている女性に高い糖尿病リスク!将来の健康のために今から意識してほしいポイントを動画で紹介」(順天堂NEWS 学校法人順天堂)

※「毎日を豊かにする運動のすすめ」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2022年5月号)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。