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スポーツ庁がスニーカー通勤を奨励するワケ

スポーツ庁が働き盛りの30代~40代の運動不足解消を目的にスニーカー通勤を奨励するキャンペーンをスタートすると発表しました。

「日常生活の中での『歩く』を促進する」ことで、国民の健康増進を図るのが狙いのようです。

ウォーキングは、肥満や高血圧、糖尿病など、さまざまな生活習慣病の予防対策に有効であることはよく知られていることですが、それ以外にも、最近は「心の健康」にも有効であることがわかってきたそうです。

 

運動でうつのリスクを低減?

長時間労働などから、若い世代でうつ病が増えているというニュースを目にしました。

うつ病までいかなくても、なんとなく気分が晴れない「うつ気分」の人も多いのではないでしょうか。

 

前回のコラム(「魚好きに朗報。魚を食べればうつ病になりにくい!?」)で、うつ病対策と食事療法のことを書きましたが、近年食事とともに注目されているのが運動療法だといいます。

日ごろから運動を行っている人はうつ病のリスクが低いことや、ウォーキングなどの有酸素運動などを行うとうつ病に改善がみられたという各国の研究結果が多く報告されているそうなのです。

 

うつ病になぜ運動療法が効果的なのか、そのメカニズムはあきらかになっていないそうですが、運動をすることによって、脳の海馬という領域が大きくなるという報告があるそうです。

海馬は記憶を司る働きをしますが、ストレスをコントロールするなどうつ病の発症などにも影響を与えているといいます。

 

最初はめんどうだな、と思っていても、思いきって体を動かすと気分がすっきりする、ということはみなさんも経験していることだと思いますが、運動がメンタルヘルスにもよい影響を与えることが、科学的に証明された形です。

 

目標は、1日の歩数をふだんより+1000歩(10分)延ばす

毎日仕事が忙しくて、ウォーキングする時間などとれないという人も多いと思います。

特別にウォーキングする時間をとらなくても、スポーツ庁が提案する「1日の歩数を普段よりプラス1,000歩(約10分)することを目指し、まずは1日8,000歩(国民の平均歩数は男性7,194歩、女性6,227歩)を目標に」ということならできそうな気がしませんか? 

 

人は悩みがあったり気分が落ち込んでいるときは、なんとなく、下を向いて、とぼとぼ歩きになっていたりするものです。

今日は仕事で嫌なことがあったなんていうときや、なんとなく気分が落ち込む、憂うつだというときこそ、顔を上げて姿勢を正してスタスタと大また・早歩きをしてみませんか? 

颯爽と歩くことが、うつうつ気分から脱出するための重要なポイントになりそうです。

 

<参考URL>

●「“歩く”をもっと“楽しく”『FUN+WALK PROJECT』開始」(スポーツ庁)

http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/29/10/1396838.htm

 

<参考文献>

「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部・功刀浩)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。