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PLUS COLUMN

花粉症によるアレルギー結膜炎

いよいよ、花粉の飛散真っ盛りの時期に突入しました。去年までなんともなかったのに、急に花粉症になったという人も多いのではないでしょうか?今回は花粉によるアレルギー性結膜炎のお話です。

こんな症状が出てきます

・目のかゆみ
・目の充血
・目やに
・浮腫(まぶたが腫れる、白目の透明な部分がぶよぶよしてヒダが多くできる)

花粉症のほとんどがスギ花粉によるもの

みなさんが「花粉症」といっているのは、おもにスギ花粉のこと。
そのほかにも、ヒノキ、ブナ、マツ、イネなど1年中いろいろな花粉が飛んでいます。もっとも多いのがスギ花粉です。

図 花粉の時期

こんなにまで花粉症が増えたわけ

花粉症に悩む人は多いですね。花粉症の患者数は年々増加していて、今や日本人の国民病ともいわれるほどです。
でもなぜ、こんなにも花粉症の人が増えているのでしょうか。
その1つに、高度成長期のときに国の政策により各地の山地にたくさんのスギやヒノキが植林されたという社会的な背景があります。そのころに植林されたスギやヒノキが成木になって花を咲かせているため、現在スギ花粉が異常なほどに発生しているのです。


それと同時に、現在は1970年代に昔問題になっていた光化学スモッグの量が再び急増しているようです。この光化学スモッグに中国から飛来する黄砂も加わって、化学的な変化を起こして目や鼻、のどへの刺激がより強くなっているといわれています。
また、アレルギーが非常に日本人に多い理由は、日本人の「清潔好き」にあるともいわれています。衛生状況がすっかりよくなって、寄生虫や細菌がいなくなった結果、抵抗力が弱まってアレルギーが起こるようになったというわけです。
さらに、食品に含まれた残留農薬や抗生物質、保存料などの化学物質がアレルギー状態を引き起こしているという説もあります。

早めの対策が肝心

目に出る花粉症のもっとも多い症状が強いかゆみ。でもかゆいからと目をこすったりかいたりすると、よけいにかゆみが悪化し、角膜や結膜などを傷つけます。
花粉症かなと思ったら、早めの受診をおすすめします。
アレルギー性結膜炎は抗アレルギー薬や抗炎症薬、ステロイド薬の点眼や飲み薬などで治療します。


また、耳鼻咽喉科で鼻粘膜や焼いて鼻の通りをよくするレーザー治療を行うと、目のかゆみや充血など目に起こるアレルギー反応も軽くなることが多いといわれています。
はじめて花粉症になった年は、抗炎症薬などで症状を抑えていくしかありませんが、次の年からは、花粉の飛散が始まる1か月前から抗アレルギー薬を点眼していると、症状が軽くなるというデータがあります。早めに対策をたてましょう。

自分でできる花粉対策

また、できるだけ花粉にさらされないようにすることも花粉症対策の大切なポイント。
以下のことを実践しましょう。

  • 花粉情報に注意しましょう
  • 外出時はマスクやゴーグルなど花粉症グッズを上手に利用しまそう。
  • 髪は帽子などでおおい、衣服はツルツルした素材のコートなどをはおるとベスト。フリースなど表面がケバ立っている素材は、花粉が付着しやすいので避けましょう
  • 部屋の中に花粉を持ちこまないように要注意。玄関の外で花粉を落としたり、コートを脱いで花粉を払ってから家に入りましょう。
  • 室内に入ったら、すぐに洗顔やうがい、鼻をかむなどしてからだについた花粉を落としまそう。
  • 花粉が飛散している時期は、できるだけ窓を開けないようにします。洗濯物も部屋干しか乾燥機を利用してください。

アレルギーと目の病気

花粉症だと思っていたら、思いがけないものがアレルギーの原因になっていることもあります。あなたは、大丈夫?

アレルギーは、ハウスダストも大きな原因

アレルギー性結膜炎といえば、花粉症が知られていますが。アレルギーを起こす原因物質が、家の中のダニやホコリ、ペットのフケなどのハウスダストであることも少なくありません。これらは、花粉症のようにある季節だけに起こるのではなく、1年中、目のかゆみやまぶたの腫れなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
季節にかかわらず、目やまぶたのかゆみ、目の充血、まぶたの腫れなどがあるときは、すぐに眼科を受診してください。

まつ毛のエクステでアレルギーが起こることも

ところで、思いがけないものがアレルギーの原因になっていることがあります。
たとえば、まつ毛のエクステをするたびにまぶたが腫れて目が真っ赤になるというときは、施術者の技術的な問題もありますが、接着剤によるアレルギー反応を起こしていることがよくあります。最初はなんでもなかったのに、4~5年繰り返すうちにアレルギー症状が出てきたというケースもあります。
そのほか、メイク関連では、アイシャドウやアイラインなどに入っている金属の粉に対しての金属アレルギーが出てくる場合もあります。
変だなと思ったら、早めに受診をしてください。

アレルギー対策とアンチエイジング

今は、日本人の3人に2くらいはアレルギーを持っているという時代ですが、アレルギー反応を起こすと細胞が傷み、老化が早まるという説があります。
みなさんは「テロメア」をご存知でしょうか?
細胞のDNAには「テロメア」という構造があり、細胞分裂のたびに短くなっていきます。「テロメア」は、細胞が傷むと再生するいわば回数チケットのようなもの。使いきってしまうと、それ以上細胞分裂ができなくなり寿命を迎えることになります。


つまり、アレルギー反応を起こすことは、それだけテロメアの回数チケットを使うことにもつながるので、アレルギー反応をできるだけ起こさないようにすることがアンチエイジングに対策になるというわけです。
自分の体質を知って、アレルゲンとなるものを除外してクリーンな生活を送ると、お肌も美しく病気が現われにくく、寿命も延びるという説もあります。
花粉症だけでなく、アレルギーは早めに対策を立てて、症状をひどくさせないようにしたいものですね。

プロフィール

西之原 美樹 先生
眼科
西之原 美樹 先生

アイリスター麻布クリニック 院長

東京大学附属病院で研修 東京逓信病院勤務 等
日本眼科学会 日本レーザー治療学会
日本麻酔科学会 日本美容外科学会
日本ペインクリニック学会 日本抗加齢医学会員 等

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