酒を飲むと顔が赤くなる人はがんになる?
お酒を飲むと顔が赤くなる人がいる一方、まったく変わらない人もいます。
アルコールを分解する酵素が関係しているようですが、
顔が赤くなる人はがんになりやすいという声も……気になります。
酒で顔が赤くなる人、ならない人の差は?
今は昔と違って朝から営業している居酒屋があったりして、
朝飲みはもちろん昼飲みもめずらしくありません。
まだ日が高いうちから、酒に酔ったとおぼしき人が真っ赤な顔をしてフラフラ……
足取りも覚束ない様子で歩いているのを見かけることがあります。
「酒を飲んでいるな」とひと目で分かるこの赤い顔ですが、「フラッシング反応」というらしいです。
少量の酒でも顔が赤くなる人もいれば、いくら飲んでも顔色ひとつ変えない人もいます。
この違いはどうして起こるんでしょう。
●有害なアセトアルデヒドを分解する酵素とは?
アセトアルデヒド……。
聞いたことがあるでしょう。
体内に入ったアルコールを代謝するときに発生する物質だそうです。
アセトアルデヒドは有害な物質といわれ、国際がん研究機関(IARC)は発がん物質として認めています。
この有害なアセトアルデヒドを肝臓で水と二酸化炭素に分解して排出するために活躍するのが「アセトアルデヒド脱水素酵素」といわれるものです。
酒飲みのすべてがこのアセトアルデヒド脱水素酵素をもっていれば、いくらアセトアルデヒドが分泌されても大丈夫……。
酒がいっぱい飲める、すべて丸く治まる、万々歳ということになるのでしょうが、
そううまくはいかないものです。
5割は酵素をもっていないか、少ない人
日本人の約1割の人がこの分解酵素をまったくもっていないといわれています。
これらの人は酒を飲めませんし、飲んではいけないといわれています。
酒をすすめるのもいけません。
約4割の人は少しは酵素をもっていますが、十分な量ではないので、
酒を飲むとアセトアルデヒドが体内に残ってしまいます。
顔が赤くなるフラッシング反応を示すのはこうした人たちで、他にも心臓がドキドキしたり、
頭痛や吐き気、二日酔いになりやすかったりするようです。
顔が赤くなる人は食道がんになりやすい?
分解酵素がまったくないか、あっても少ない人が酒を飲むと、アセトアルデヒドが体内に残り、
食道がんになりやすいといわれています。
こうした人が例えば1日に酒を1合飲む習慣があるとすると、食道がんにかかる危険性は、
酒を飲まない人に比べると約7倍、4合だと約103倍といわれています。
また他にも、1日1.5合以下で食道がんの危険性が6倍、1.5〜3合で61倍、3合以上で93倍といった別の数値もあります。
「酒は百薬の長」という言葉がある一方、「酒は命を削る鉋(かんな)」「酒は百毒の長」
といった反対の言葉もあります。
何事もほどほどが肝要なようです。
ところで「昔は少し飲むとすぐに顔が赤くなったんだけど、最近は赤くならない」
……そんな人よくいますよね。
酒が飲めるようになったからといってもアセドアルデヒド脱水素酵素が増えたわけではないといわれています。ご注意を。
また、酒が強い人は酵素があるので食道がんにならないということではありません。
飲み過ぎれば、やはりがんの危険因子になるといわれています。
飲酒とがんの関係についてはWHOはもとより世界の研究機関も公式に認めています。
<参考資料>
*「お酒で顔が赤くなる人は要注意 食道がんの発症リスクが高い人とは」(週刊朝日2014年3月28日号)
<参考URL>
*「飲酒で顔が赤くなる人は『発癌リスクが高い』」(中日新聞プラス)
http://chuplus.jp/blog/article/detail.php?comment_id=7504&comment_sub_id=0&category_id=286
*「適量のお酒は体にいいか?」(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/SDI201705085079.html
*「米学会:酒はがんの危険高める 飲みすぎに注意 声明発表」(毎日新聞デジタル)
https://mainichi.jp/articles/20180119/k00/00e/040/192000c#main