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【New】禁煙に失敗してもメゲないで何度もトライを!

禁煙の流れが加速している昨今。喫煙者の肩身は狭くなる一方ですね。

禁煙を考えている人のために、今回は、メゲない禁煙の考え方のお話をします。

 

1本吸えば、もう1本欲しくなる

「よ~し。禁煙するぞ!」そうかたく決意して今日までがんばってきたのに、お酒の席でタバコをすすめられてつい1本。吸ったとたんもう1本欲しくなり……。

こんなふうに禁煙に失敗した人も多いのではないでしょうか。

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、タバコを吸うと、わずか数秒という速度で脳内に到達して、脳の報酬系という回路を活性化させ心地よさをもたらせるといいます。

ニコチンは体内への吸収が早い一方で、体内からの消失するのも早いために、1本吸えば、もう1本と強い依存性を引き起こすといわれています。

 

タバコがなかなかやめられない、やめてもすぐに喫煙者に舞い戻ってしまうのは、こんな仕組みがあったのですね。

 

禁煙失敗と「どうにでもなれ効果」

禁煙に失敗してしまうのは、タバコは強い依存性がある上に、1本吸ったら「禁煙失敗した。こうなったらどんどん吸ってしまえ」と破れかぶれになる心理も働いているのかもしれません。禁煙失敗後は、禁煙前よりよけいに喫煙本数が増えてしまった、と嘆く声もよく聞きます。

 

こういう心理を、行動心理学では「どうにでもなれ効果(The What-The-Hell Effect)」というそうです。簡単にいうと、一度ダメになると自己嫌悪に陥りもっとダメになりたくなるというこの心理のこと。

たとえば、ダイエット中に甘いものをひと口食べたら、これまでの努力が台無しになった気分になって、やけ食いしてしまったというのもこの「どうにでもなれ効果」といえます。

 

失敗しても何度でもトライしよう!

「失敗か成功か」「ゼロか100か」――禁煙は固い決意で始めるだけに、失敗すると、何もかも台無しになってしまったような気分になりますね。

 

でも、大事なのは「禁煙しよう」という気持ちをもち続けること。

あきらめずに何度でもトライしてほしい、と専門家はいいます。

 

禁煙に失敗したら、また仕切り直しをして、タバコを吸わない日を1日1日と積み重ねていくことが大事なようです。

 

ちなみに禁煙チャレンジ1回で成功する人もいますが、多くは禁煙成功までに少なくとも 3~4 回の禁煙チャレンジを経験しているそうです。

 

また、カナダの研究チームによると、喫煙者を平均すると禁煙成功までに30回以上のチャレンジをしていると推計されるという報告もあるそう。

 

まさに、チャレンジ精神あるのみですね。

 

 

<参考URL>

*「健康用語辞典/ニコチン」(e-ヘルスネット 厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-034.html

*「禁煙科学 最近のエビデンス」(禁煙科学10巻2016―06―P13)

http://www.jascs.jp/kinen_kagaku/2016/2016-06/kinen-kagaku2016-06-P7.pdf

*禁煙チャレンジャーのみなさんこんにちは!(大阪国際がんセンターがん対策センター)

http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/tobacco/charenji.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。