プラスコラム
PLUS COLUMN

マインドフルネスのすすめ(1)

春は、転勤や人事異動、配置換えなどで、新しい環境がスタートするとき。

みなさん、ストレス感じていませんか?

 

こころの迷走――マインド・ワンダリング

あのとき、ああすればよかった、こうすればよかった――

会社であったことを思い出してくよくよ悩んだり、

心がもやもやして嫌な気分になることはありませんか?

 

こうした思考のさまよいを、認知科学では「マインド・ワンダリング(こころの迷走)」と

いうのだそうです。

マインド・ワンダリングは、思いのほか私たちの生活の中の多くの時間を占めているそうで、

「日常的な認知の約半分は、マインド・ワンダリングによって占められている」

という専門家もいます。

ただ迷走だけでなく、いいこともあるようで、

たとえば、散歩をしながら、ああでもない、こうでもないと意識をさまよわせているときに

パッと新しいアイデアが浮かぶなど、マインド・ワンダリングは創造性を促すことが知られています。

 

マイナス思考のループがストレスを増大させる

でも、一方で、マインド・ワンダリングはネガティブな側面もあるようです。

それが、マイナス思考におちいってしまったとき――

つまり、「今、ここにいる自分」から思考をさまよわせて、

過去の嫌なことや将来起こるかもしれない出来事への不安を、あれこれ考えてしまうときです。

こうしたネガティブ思考のループにはまってしまうと、

さらに気分が落ち込み、ストレスが増大してしまう結果になるそうです。

誰でも起こりがちなネガティブ思考のループですが、

とくに、完璧主義や融通の利かない性格の人はおちいりやすいのだとか。

「自分もそうだなぁ」と思いあたる人は、くよくよ考えることで、

自らストレスを大きくさせていないか、ちょっと振り返ってみる必要がありそうです。

 

米・一流企業が取り入れられている「マインドフルネス」

とはいっても、簡単にマイナス思考をスパッと中断させることができれば、苦労はいりません。

多くの人は、「嫌なことは考えまい」と思いながらも、ついまた、

くよくよと考え始めてしまうのではないでしょうか?

そんなときにおすすめしたいのが「マインドフルネス(瞑想)」と呼ばれるものです。

 

マインドフルネスによるストレスの低減などの研究結果が数多く報告されていて、

近年では医療の現場でも取り入れられているそうです。

 

また、ビジネス界では、アップル社の創業者の1人故スティーブ・ジョブズ氏が

マインドフルネスを実践していたことが知られています。

さらに、グーグルやフェイスブック、マッキンゼ&カンパニーなど、

米国の一流企業がマインドフルネスを社内研修で導入していることなどもあって、

ビジネス界でも熱い注目を浴びています。

「マインドフルネス」とはどんなものなのでしょうか。

それについては、次回またお話します。

 

 

<参考URL>

*「ストレスを増長する「マインド・ワンダリングの怖さ」(産業保健新聞)

http://news.doctor-trust.co.jp/?p=23973

 

*「注意散漫? 創造的? さまよう思考が果たす役割」(CNN.co.JP)

https://www.cnn.co.jp/fringe/35056928.html

 

*「うつ病予防にマインドフルネス」(ヨミドクター)

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20120821-OYTEW53769/

 

*「一流の人が忙しくても瞑想を欠かさない理由」(東洋経済ONLINE)

http://toyokeizai.net/articles/-/145103

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。