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気分が落ち込んでいるときに聴く音楽は?

失恋したり、仕事で大きな失敗をしたり、就活がうまくいかなかったり・・気分が大きく落ち込んでいるときに、あなたは、どんな音楽を聴いて深 く沈んだ気持ちをなぐさめていますか? 暗い気持ちを一気に吹き飛ばしてくれそうなアップテンポの明るい曲? それとも、哀愁を帯びたメロディーのスロー バラードのような曲? それとも・・?

 

音楽は人間の感情や行動に大きく影響

たとえばスーパーで買い物をしているときに、「♪ジャッジャジャジャ~ン、ジャッジャジャ~ン・・」と店内のBGMでハリソン・フォード主演の映画『インディー・ジョーンズ』シリーズのテーマ音楽が流れてきたら、どんな気分になりますか? 
 

なんとはなしに気分が高ぶって、いろいろな物をポンポンと買い物かごに入れたくなったり、はたまた、足取りも軽やかに売り場を歩き回って、別に欲し い物でもないのについ買ってしまったり・・なんてことありませんか? 気分はまさにトレジャーハンターのインディー・ジョーンズ・・。
 

毎日、何気なく耳にしている音楽ですが、私たちの心理に大きく影響して、気分や行動を変えてしまう効果を発揮するようです。スーパーやデパートで流 されているBGMに限らず、テレビや映画のBGMがいい例でしょう。たとえば身内を亡くして残された家族が悲しみに暮れているシーンに明るくポップな音楽 が流れたら、見ている人はとても悲しい気持ちにはなれないでしょう。また、幸せいっぱいの新婚カップルのBGMにサスペンスフルで哀愁を帯びた音楽が流れ たら、幸せな雰囲気は一変、不穏な何かを感じてしまうでしょう。
 

落ち込んだ気分をなぐさめてくれる「悲しい曲」

そして今回のテーマ「気分が落ち込んだときに聴く曲は?」ですが、意外というか当然というか、じつは「悲しい曲」というのが正解らしいです。
 

なかには「なにいってんだい! 悲しい気分のときに悲しい曲を聴いたら、さらに悲しくなって、立ち直れなくなってしまうじゃないか!」という人がい るでしょう。たしかにそういった考えも分からなくはないのですが、最近の心理学の研究で「同質の原理」とか「同質効果」といった言葉があるように、つま り、「自分の精神状態に近い音楽を聴くことで、精神の安定が保たれる」のだそうです。
気持ちが落ち込んで悲しい気分のときには、「くよくよするな! がんばれ!」などと励まされるよりも、悲しい気持ちに寄り添う音楽が心の癒し効果を高めるらしいです。
 

悲しいときの「ノリのいい曲」はかえってストレスに

そうはいっても悲しい気分のときこそ、ノリのいい曲を聴いて気持ちを盛り上げたいという人も多いかもしれません。でも残念ながらかえって逆効果だそ うです。先ほどの「同質の原理」にもとづけば、明るくてポップな曲は、いまの自分の悲しい気分には寄り添わないので、心に響かないということになります。
 

よくあることですが、落ち込んで悲しい気持ちでいるときに相談相手から「そんなことでくよくよするな。がんばれ!」「なんとかなるって。前を向いて いこうよ」などといわれることありますよね。でも落ち込んでいるこちらとしては、そんなこといわれてもかえって気分は滅入るだけです。
 

むしろ「そうか、大変だったね」「つらかったろうね」などと、こちらの気持ちに寄り添うような言葉をかけられるほうが、励ましの言葉よりずいぶんと慰められるものです。
悲 しいときは、あえてそのときの自分の気分にあった悲しい曲、たとえば「♪帰ってきてあなた〜的な失恋を歌った曲」とか「世の中の不条理を嘆く、♪世の中、 なんかへんだよ〜的な歌」といった音楽を聴いて、とことん悲しむ、大いに嘆く……なんだか自虐的なようですが、これが悲しみや落ち込みから立ち直るために はもっとも効果的といえるようです。
 

そういえばふだん耳にしたり、歌ったり音楽に悲しげな曲がいっぱいあるなあと思いませんか? それだけ世の中には落ち込んだり悩んだり、悲しんだりしている人が多いってことなのでしょうか。
それでもなかには「やっぱり悲しい気分のときには、ノリがよくて明るくて、アップテンポの曲がいちばんだな。気持ちが高ぶって元気が出てくるようだ」という人は、それでもよいでしょう。
 

音楽の好みには個人差があり、一概に「これが正解」とはいえないかもしれません。でも、「悲しいときには悲しい音楽」の説に興味がでてきたり、何か のきっかけで気が変わったら、一度試してみてください。ただ、効果には個人差がありますから、そこのところはくれぐれもご注意ください。

 

<参考URL>
*「落ち込んだ時」に聴くといいのは……明るい曲?暗い曲?
http://nikkan-spa.jp/1087064
*【音楽の心理学】落ち込んだ時に聴くのは、悲しい曲?前向きな曲?「山本マサヤのコラム【非日常的日常の心理学】
http://masayamamoto.hateblo.jp/entry/homogeneous_effect_music

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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