心が疲れたとき、動物はそれを癒し、救えるか……?
内閣府によると18歳以下の子どもの自殺率は、夏休み明けに急増し、1年のうちとくに9月が1番多いのだとか……。
そんなことからでしょうか、この時期、思い悩む子どもたちに向けてさまざまな団体からメッセージが寄せられているらしいのです。
なかでも注目されたのが動物園からの「いらっしゃい」のメッセージ。
悩める人間が動物たちに癒される……ちょっとウルッとくる話じゃないですか?
「逃げ場所ないなら動物園へ」……人間は動物に救われる?
東京・上野動物園(台東区)がツイッターの公式アカウントで発信したつぶやきが大きな反響を呼んでいることが一部の新聞で報道されました。
学校へ行きたくない子どもたちに向けて「脇目もふらず逃げてください」と伝える内容で、「もし逃げ場所がなければ、動物園へいらっしゃい。
人間社会なんぞに縛られないたくさんの生物があなたを待っていますから」といったメッセージが、多くの共感を呼んでいるらしいです。
テレビや新聞などで子どもの自殺のニュースに触れるたびに胸を痛める人も多いでしょう。
厚生労働省のまとめでは小学生から高校生の自殺は、2009年以降毎年300人前後で推移しているといいます。
また内閣府の調べによると1972〜2013年の18歳以下の子どもの自殺は1万8048人で、もっとも多かった日にちは9月1日で131人ということです。
その前後の日も90人を超えていて、「長期の休み明けは精神的動揺が生じやすい」と内閣府も指摘しているようです。
「学校に行くくらいなら死んだほうがまし」と思う子どもの気持ちをなんとか支えたい、自殺を防ぎたいという動きが様々な団体や自治体の図書館などで広がっているようです。
そのなかでも「動物園へいらっしゃい」のメッセージは際立っています。
「動物たちが思い悩むあなたを待っている」……この言葉だけで救われるような、ウルッとくるような気がするします。
動物は医療費の削減にも貢献している……?
「動物を見ていると心が癒される」……多くの人が口にする言葉です。
いまでは「アニマルセラピー」という言葉がすっかり定着しています。
動物と触れ合うことで、それまでの重苦しい気持ちが軽くなったり、ストレスが軽減されたりといった経験はめずらしいことではありませんよね。
年々、家でペットを飼う人も増えてきているようですが、ペットを飼うこともアニマルセラピーの一種なんだそうです。
日本アニマルセラピー協会のホームページによると、ペットを飼っている人は飼っていない人より医療費が20パーセントほど抑えられたということです。
たとえばドイツでは7500億円、オーストラリアでは3000億円もの医療費がペットのおかげで削減されたという調査結果もあるそうです。
また、心臓疾患で1年後に亡くなる人の割合もペットを飼っている人と飼っていない人を比べた場合、5倍以上もの差があったということです。
最近では猫カフェとかドッグカフェといったお店も目立ちます。
ネコの写真集もよく売れているとも聞きます。ネコの写真展は人だかりです。
テレビでもひたすらネコを撮り続ける番組が人気だし、ドラマにもCMにもネコやイヌが頻繁に登場します。
動物やペットに触れると癒されるのは、オキシトシンというホルモンが分泌されるからといいます。
別名、愛情ホルモンというらしいですが、このホルモンの働きによってストレスがやわらぎ、幸せな気分にさせてくれるようです。
……そんなわけでこの際、「つらければ会社休んでいい」……大人向けのそんなメッセージが広まるといいかも。
子どもに限らず大人も、心が疲れ、折れそうになります。
そんなとき、ぜひ動物園に行ってみるというのはどうでしょう。
動物たちの生きることへのひたむきさに心がほっこりとするかも。
「お金」とか「出世」とか「地位」とか「成績」とか、「おしゃれしたい」とか「豪華旅行したい」とか、そんなことには無関心で、生きることのみに純粋で、いわば生きるために生きる動物たちに触れると、心、軽くなりますよ、きっと……。
<参考URL>
*「学校行きたくない人へ 動物を例に『逃げて』」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170901/k00/00m/040/028000c
*「相次ぐ自殺 夏休み明けの子どもに注意を」(NHK NEWS WEB)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170829/k10011117581000.html
*「平成28(2015)年全国犬猫飼育実態調査 結果」(一般社団法人ペットフード協会)
http://www.petfood.or.jp/topics/img/170118.pdf
*内閣府認証NPO法人 日本アニマルセラピー協会HP
*上野動物園 公式ツイッター