プラスコラム
PLUS COLUMN

体力、気力の減退を感じたら、男性ホルモンに目を向けろ

「最近は、ひと晩寝ても疲れがとれない」「気力がわかないどうしたんだろう・・」30代~40代の働き盛りなのに、なぜか調子があがらないときは、男性ホルモンの低下が原因であることも。今回は男性ホルモンのお話です。

 

決断力や闘争心、好奇心など男のメンタルに大きくかかわる

男性ホルモンといえば「性欲」と、一直線に思考が向かう人も多いかもしれません。

たしかに男性ホルモンは生殖機能に直結するホルモンですから、男性ホルモン値が高い男性は、性欲も強いもの。ただ、男性ホルモンにはそのほかにも、男らしい骨格をつくったり、筋肉の増加やバイタリティを高める作用もあって、男性ホルモンは男らしさの源のホルモンともいえるものです。

 

それだけではありません。最近では、男性ホルモンはメタボや生活習慣病といった男の健康にも大きくかかわり、寿命にも影響を及ぼしていることがわかってきました。

さらに、男性ホルモンは、ものごとの捉え方や思考、決断力などの男のメンタル面にも大きく作用しています。「ライバルに勝とう」「ミッションを達成しよう」という闘争心や仕事に対する意欲も、男性ホルモンの働きによるもの。勝負にこだわり、闘争意欲をかきたてて出世街道を驀進する人ほど男性ホルモンの分泌が多いといわれています。

 

30代~40代のストレス世代に起こる心身の不調

男性ホルモンの中でもっとも作用が強いのがテストステロンです。男性ホルモンの代表ともいえるテストステロンは、思春期に分泌のスイッチが入り、20歳前後にその分泌のピークを迎えます。

ピーク後は徐々に分泌量が減っていき、40歳を過ぎると下降の一途をたどっていきます。

テストステロンの減少は加齢によるものが大きいのですが、それだけではありません。実は環境因子も大きく影響するといわれていて、中でもテストステロン値を下げる最大の原因がストレスだといわれています。

 

まだまだ働き盛りの30代~40代ですが、あるときガクンとテストステロン値が下がることがあるそうです。

ちょうどそのころは中間管理職でもある年代。上司や部下との付き合い方に悩んだり、家庭でも安らげないなど心身ともにストレスが増大するとき。ストレスによってテストステロンが低下して、粘りがきかない、気力がわかない、性欲減退を感じる、自信喪失やうつ症状が出るなど、心身のあちこちに不調が出てくることが少なくありません。

このようにテストステロンの低下により、心身に不調が起こることをLOH(ロー)(late onset hypogonadism syndrome)症候群といいます。

 

ストレス→テストステロン低下・・負のスパイラルを断ち切ろう

ところで、男性ホルモンにはストレスに対応できる働きがあるそうです。そのため、ストレスがたまる→テストステロンが減少する→さらにストレスが増大するといった負のスパイラルがつくられていきます。

 

心身の不調を訴えて思いきって医療機関を受診しても、これといった異常が見られず「過労」とか「自律神経が不安定」といった説明を受けることも多いものです。

こんなときは、泌尿器科や男性更年期外来などのある医療機関を受診して、その不調がストレスやテストステロンの減少からくるものかを診断してもらうことをおすすめします。

 

 

<参考文献>

*「ホルモン力が人生を変える」)(小学館101新書:堀江重郎著)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。