「甘さ控えめ」は「エネルギー」も「糖分」も控えめ?
体重が気になる人にとっては食べ物のカロリーはとても気になります。「カロリーは低め」というのは食べ物を選ぶときの絶対基準かもしれません。スィーツを食べるときも「甘さ控えめ」を選ぶ人も多いのでは? ところでこの「甘さ控えめ」って、エネルギーも糖分も「控えめ」なのでしょうか?
「甘さ」は個人の感覚。「低カロリー」「低糖」を意味しない?
甘味は人間がいちばんおいしいと感じる原始的な味覚といわれています。赤ちゃんもお母さんの母乳を通じて最初に覚える味覚です。人間が甘いものを求めるのは、命を維持するために欠かせないエネルギー源である糖を摂取するためでもあるといいます。
「ヒトは甘さを求める生き物である」というわけです。
かつてお菓子は「甘い」ものでした。「甘くておいしい」ものがお菓子でした。
でも今ではお菓子の主流は「甘さ控えめ」。「甘くなくておいしい」「甘さが控えめで上品」といわれる時代になりました。「甘さ」が命だった和菓子やケーキ、ぜんざいやお汁粉といった甘味ものも「甘くない」ことを求められる時代になったのです。スィーツ好きの人にとっても「甘さ控えめ」が主流のようです。
好きなものをたくさん食べたい、でもカロリーのとり過ぎで太るのが怖い・・といったことから「甘さ控えめ」がもてはやされてきたと思われます。
まさにスィーツ好きな人にとっては「甘さ」と「エネルギー」のバランスはまさに命がけの選択といえるかもしれません。
では、「甘さ控えめ」は、彼らの期待どおり「エネルギー控えめ」「糖分控えめ」ということで一件落着、無事手打ちとなるのでしょうか?
やっぱりというか、残念ながら、そううまくはいかないらしいのです。
「甘さ控えめ」を選ぶときは成分表示を確認?
じつは「甘さ」は味覚に関するもので、個人差があります。「甘さ控えめ」といわれるお菓子を食べたら、すごく甘かったということもあるでしょう。また、逆に「あんまり甘くなくておいしかった」という人もいるでしょう。
つまり「甘さ控えめ」は「糖分を控えめにしている」ということと同じではないのです。「甘さ」は個人の味覚の問題なのに対して、「糖分」は成分をあらわすものです。「糖分」は数値で表示できますが、「甘さ」は感覚なので数値化できません。
「最近、糖分を控えめにしているんだ」といいながらコーヒーカップに砂糖を小さじ1杯入れる人も入るかと思えば、同じ控えめでも砂糖を2杯入れる人もいます。飲むとひどく甘かったり、それほどでもなかったりするものです。
甘いかそうでないかは数値にできませんが、砂糖の量は小さじ1杯で3グラム、12キロカロリーという具合に数値化できます。
食品の栄養表示基準では「糖分控えめ」というのは、糖の含有量が食品100グラムあたり5グラム(飲料の場合は100ミリリットルあたり2.5グラム)以下とされています。「エネルギー控えめ」については食品100グラムあたり40キロカロリー(飲料の場合は20キロカロリー)以下となっています。
つまり「甘さ控えめ」といってもそれが糖分やエネルギーが控えめであるかどうかは不明なのです。あまり甘くないお菓子が好きな人が「甘さ控えめ」を選ぶのはいいでしょうが、ダイエットのために「甘さ控えめ」のスィーツを選ぶときは、食品の表示を見て、エネルギー量や糖分の量を確認してから購入するのがいいかもしれません。
それにしても「甘くない」饅頭が台頭してきて、世間から甘い饅頭が駆逐されてしまったら落語の『饅頭こわい』もずいぶん印象が違ってくるかもしれませんね。
<参考URL>
*「食品衛生の窓」(東京都福祉保険局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_002/hoei_002.html