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無性に氷をかじりたくなる・・。 それって暑さのせい?それとも体のSOS?

夏本番。かき氷にアイスクリーム――暑さをしのぐためにあなたは何を食べていますか? 氷を食べ過ぎて、冷蔵庫が氷をつくるのが間に合わないなどということはありませんか? そんな人は必読。氷が無性に食べたくなる背景には、ある病気が潜んでいるらしいのですが・・。

 

体内の鉄不足から起こる貧血に注意!

ある夏の昼下がり。コーヒーショップで、冷たい飲み物の氷をボリボリかじる人を見かけたことはありませんか?(昼下がりじゃなくてもいいんですけれどね) 

暑い季節、涼をとるために氷をかじるのはよくあること。でも、季節を問わず無性に氷が食べたくなったり、氷を大量に食べてしまう場合は、要注意。「氷食症(ひょうしょくしょう)」といって、体が発しているSOSかもしれません。

実は、鉄欠乏性貧血なると、多くの人が紙粘土や土など妙なものを無性に食べたくなる「異嗜好症(いししょう)」になるといいます。中でも多いのが氷なのだそうです。

鉄欠乏性貧血というのは、体内の鉄分不足から、血液中の赤血球が不足して体内のすみずみまで酸素や栄養素がいかなくなった状態。

 

無性に氷が食べたくなるのは、 一説には、脳に供給される酸素が少なくなって自律神経が乱れ、体温調整機能が狂うためだといわれていますが、はっきりした原因はまだわかっていないようです。しかし、鉄剤による治療を開始すると数日で症状が改善されるそうです。

「たかが貧血」とあなどるなかれ。貧血の陰に重大な病気が隠れていることも。

鉄欠乏性貧血は、若い女性にとても多いトラブル。もともと女性は毎月生理のときに、月経血とともに赤血球の鉄を失いやすく貧血になりやすいといわれていますが、ダイエットや野菜中心の食生活を送っていると、簡単に貧血がすすんでしまうのです。

 

1日に製氷皿1皿以上氷を食べてしまううえに、冷えがつらい、体がだるく疲れやすいといった症状があったら、貧血による氷食症の疑いが大。内科を受診して、貧血チェックしてもらいましょう。

たかが貧血と思いがちですが、貧血をほうっておくと、心臓や腎機能に影響が出る恐れがあります。

また、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)や子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)といった婦人科の病気があると、月経時の出血量が増えるので貧血が起こってきます。さらに、貧血には胃がんや大腸がんなどの悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が隠れていることもあるので、「たかが貧血」とあなどらないようにしましょう。 

 

 

<参考URL>

・「氷食症」(ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B7%E9%A3%9F%E7%97%87

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。