
「ありがとう」の心と体の健康効果とは?
魔法の言葉といわれる「ありがとう」。ホッコリとした気持ちにさせ、笑顔が生まれ、元気も出る……そんな「ありがとう」の言葉が醸すさまざまな効果について考えてみました。
1日に伝える「ありがとう」の回数は何回?
学校からの帰りでしょうか。バスから降りようとする小学校低学年とおぼしき数人の子どもたち。
バスの運転手に向かって「ありがとうございました」と大きな気な声で礼をいいながら次々と降りていきます。
すると「気を付けて」とやさしく言葉を返す運転手……そんな光景をよく目にします。
「ありがとう」を言葉にして伝える回数は、1日平均9.7回という調査があります(ゴディバ ジャパン株式会社調べ)。
20代の女性がいちばん多く16.8回。もっとも少ないのは60代の男性で2.4回でした。
男性でいちばん多いのは40代で14.9回。20~30代の男性で約10回、50代は4.0回でした。
女性は40代が12.3回、30代は10.9回、50代9.5回、60代は5.5回と続きます。男女とも年代が上がるほど「ありがとう」をいう回数が減っています。
みなさんは1日に何回、「ありがとう」をいっていますか?
「ありがとう」は幸せホルモンを分泌させる
「ありがとう」と声に出して誰かに感謝を伝えたときに、心が穏やかになったり、心地よい気持ちになりませんか?
「ありがとう」の言葉を口にすると、脳内から幸せホルモン、愛情ホルモンなどと呼ばれるセロトニンやドーパミン、オキシトシンなどが分泌されことが知られています。
これらの脳内物質は集中力や意欲を高めたり、ストレスや不安の軽減、気持ちをポジティブにさせてくれるといいます。
じつは「ありがとう」は、そういわれる人もうれしくなる言葉ですが、それ以上に「ありがとう」と感謝を伝えた側が、相手の受け止め方や評価とは関係なく、さまざまな効果を得られるといいます。
感謝の言葉はそれを伝えた本人の「ネガティブな感情を和らげ」「自己肯定感や幸福感を高める」「仕事への満足度がアップする」といわれます。
「ありがとう」と「返報性の法則」の関係
「ありがとう」の感謝の言葉を伝えられた相手は、たいていの場合、気分がよくなります。相手の心があたたかくなることでコミュニケーションが円滑になり、信頼関係も生まれ、つながりが深まるチャンスにもなったり、苦手だった人との関係性が改善されることもあるでしょう。
また、「ありがとう」といわれた相手は、何か「お返ししよう」という気持ちになるといいます。「返報性の法則」という心理効果だそうです。
例えば、お店で初めは買うつもりがなかったのに、店員の親切な説明や言葉への好印象から、「また来よう」といった経験、ありますよね。
職場や家庭はもちろん地域の商店など、日頃、お世話になっている、いつもの場所の、馴染みの人に「ありがとう」と声に出して感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょう。お互いに幸せな時間を過ごせそうです。
「ありがとう」が多いとストレスが減少
私たちはふだん、誰に「ありがとう」を伝えているのでしょうか?
前述のゴディバジャパンの調査によると、男女ともに1位は「家族」(男性58.8%、女性79.6%)でした。
2位は男性が「恋愛の相手・パートナー」(56.4%)、女性が「友人」(68.4%)、3位は男性が「仕事関係」(53.2%)、女性「恋愛の相手・パートナー」(56.4%)、4位は男性が「友人」(46.4%)、女性が「仕事関係」(54.0%)でした。
また、別の調査では「ありがとう」といいたい職業のトップ3は「コンビニ・スーパーなどの店員」「バス・タクシーの運転手」「医師」でした(ネスレ日本株式会社調べ)。
同調査によると、「ありがとう」をたくさんいう人ほどストレスを引きずらず、幸福度が高いことが分かったといいます。
例えば「ありがとう」を1日に20回いう人の36.6%が1日以内にストレスを忘れるといいます。対照的に「ありがとう」を1日にまったくいわない人の40.5%が1週間以上、ストレスを引きずるそうです。
恥ずかしがらず、出し惜しみせず「ありがとう」と声に出して感謝を伝えられるといいですね。
自身の生活や仕事の満足度、幸福度が上がり、周囲の雰囲気もよくなるに違いありません。
<参考>
*「『ありがとう』の効果」(東京新聞/2025.5.9)
*「『ありがとう』に関する調査(2060代の男女各250名 2019.2.9~11)」(ゴディバ ジャパン株式会社)
*「『日常の感謝行為』に関するアンケート(10~50代の男女1,000名 2013.7.16~19」(ネスレ日本株式会社)
*「感謝の言葉がもたらす幸せな未来」(一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構)
*「感謝は『脳』にどのような影響を与えるか」(NECソリューションイノベータ株式会社)