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プレ更年期対策をたてよう

「最近なんとなく調子が悪い」・・。プレ更年期に感じる心と体の不調は、ほうっておかずに積極的にケアをしましょう! プレ更年期のうちからホルモンケアをしていると、次に続く更年期も上手に乗り切ることができます

プレ更年期対策に有効な低用量ピルは、女性にとってうれしいメリットがいっぱい

女性ホルモンが低下し始めるプレ更年期(35才~45才)は、ホルモンバランスが乱れて、更年期のような症状が現れやすくなります。
また、30代後半からのPMS(月経前症候群)がだんだんひどくなって、常に頭痛や肩こり、むくみ、だるさなどの不調が続くようになってしまうこともあります。


でも、本当の更年期と違って、プレ更年期世代はまだまだ卵巣は元気に働けます。女性ホルモンの減少が老化を連れてきますから、卵巣が働けるうちにホルモンの調子を落として閉経に突入するのはもったいないこと。
そこで、上手に活用したいのが、低用量ピルです。プレ更年期に起こる症状は、卵巣機能の低下が原因です。したがって、低用量ピルで卵巣の働きを安定させてホルモンバランスを整えると、プレ更年期症状も解消されて体調を安定させることができます。
さらに低用量ピルは、PMSの改善や骨粗しょう症の予防にも有効ですし、卵巣がんや子宮体がんのリスクを減らすことが知られています。また、低用量ピルを服用すると月経周期が規則的になり、肌荒れが改善されるなど、女性にとってうれしいメリットがたくさんあります。


低用量ピルには、いろいろな種類があるので、婦人科を受診して気軽に相談をしてください。

プレ更年期のうちから低用量ピルを服用してホルモンバランスを整え、卵巣機能が停止する閉経が近くなったらHRT(ホルモン補充療法)に切り替えていくなど、女性ホルモン剤を年齢に応じて美容液のように選んでいくとよいでしょう。

漢方もおすすめです!

また、プレ更年期や更年期に起こりやすい症状の改善には、体全体のバランスを整える漢方も有効です。よく使われる漢方薬に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、温経湯(うんけいとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがあり、低用量ピルやHRTと併用されるケースも少なくありません。
婦人科でも漢方を取り入れている病院やクリニックが多くあります。
漢方薬は、同じ症状でもその人の体質(証)によって使われる薬が違いますから、医師と相談しながら自分に合った漢方薬を探していきましょう。

続く更年期をラクに乗り切るには、今の時期からの対策が大事

これまでの更年期は「つらい」イメージばかりが先にたっていました。「もしかして、更年期かな」と思っても、「いやだなぁ……」となるべく更年期のことは考えないようにしていたという声をよく聞きます。
またつらい症状が出ても、がまんにがまんを重ねている女性がほとんどでした。そして、更年期の治療についても、症状のつらさをがまんしきれなくなって、はじめて治療を受けるといったネガティブなイメージがありました。


けれども、不調が出やすい30代~40代のプレ更年期の時期から、「私はこれがお気に入りなの」というメンタルヘルスケアの選択肢をいっぱいもっていると、本物の更年期が来たときに、あわてずに対処でき、ダメージも少なくてすむでしょう。

低用量ピルだけでなく、例えば、漢方についても「冷えてしまって大変なときはコレ」といった具合に自分の「証(しょう)」に合った「My漢方」をいくつかもっていればそれだけで安心です。プレ更年期症状を和らげるサプリメントもあります。こうしたアイテムを上手に使ってプレ更年期やそれに続く更年期を健やかに乗り切ってください。

プロフィール

対馬 ルリ子 先生
産婦人科
対馬 ルリ子 先生

日本産婦人科学会認定医、日本思春期学会理事、日本性感染症学会評議員、女性医療ネットワーク発起人代表。

2003年、女性の心とからだ、社会とのかかわりを総合的にとらえ、健康維持を助ける女性専門外来をすすめる会「女性医療ネットワーク」を設立。『「女性検診」がよくわかる本』(小学館)ほか著著も多数。近著に『娘に伝えたいティーンズの生理&からだ&ココロの本』(かもがわ出版)がある。