20代~40代――今こそ気をつけたい「骨の健康」
更年期に入るまでは、骨粗しょう症なんてまだまだ遠い先のことのように思えるかもしれません。
でも、今の生活習慣が将来の骨の健康に大きく影響してきます。
毎日の生活をちょっと見直してみませんか?
健康に無関心ではないですか?
女性の骨量のピークは20歳ころ。その後40歳ころまでは、ほぼ横ばいに推移していくといわれています。
働き盛りのこの世代は、仕事や趣味、家事や子育てに忙しくて、骨の健康はもちろん自分自身の健康について関心を持たない人も多いのではないでしょうか。
健康無関心層の実態
みなさんは「健康無関心層」という言葉をご存じでしょうか。
食習慣や運動習慣について関心が薄く改善の意向をもっていない人たちを指すもので、厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」/令和元年)」によると、健康無関心層は20歳以上の男女の3~4割にのぼることがわかりました。
調査結果の内容をもう少し詳しく見ていきましょう。
例えば食習慣改善の意思については、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した人が最も多く、男性で24.6%、女性で25.0%でした。
「健康な食習慣の改善を妨げるものはなんですか」という問いに対しては、「特にない」と回答した人の割合が35.3%と最も高く、次いで「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと(27.5%)」、「面倒くさいこと(25.3%)」と続きます。
年代別では、30代、40代は「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がない」が、20代は「面倒くさい」がトップに挙げられていました。
また、運動習慣についても、「(運動習慣)に関心はあるが改善するつもりはない」と回答した人は、男性で23.9%、女性で26.3%。男女とともに約3割近くも占めています。運動を改善する意志がないと答えた人のなかでも、とくに目立ったのが20代女性(34.2%)と30代女性(36.87%)でした。
同調査報告によると、20代~40代の女性で運動習慣を持つ人は全体のわずか10%程度にしかすぎません。若い女性の運動不足は深刻です。
健康を過信しがち
働き世代や子育て世代は、人生において最も多忙な時期だといわれています。 日々の生活に追われていると、健康的な食事を心がけたり運動習慣をもつことがむずかしいかもしれません。
また、この世代は女性ホルモンに守られていますから、生活習慣病とは無縁と思っている人も多いでしょう。
自身も健康で、家族や友人など周囲に病気の人がいなければ、健康について意識が向かないのも当然のことかもしれません。
けれども、実は今この生活がとても大事なんです。
現在の生活習慣が、のちのちの健康に大きな影響を及ぼしていくからです。
今の生活が将来の骨の健康に影響する
たとえば、女性は骨粗しょう症の問題があります。
骨量は20歳前後で最大値を迎え、40歳までほぼ横ばいで推移していきます。けれども更年期に入って閉経を迎えたとたんに、加速度的に骨量が減っていってしまいます。
ということは、そもそもピーク時である20代での骨量が低ければ、その分早く骨粗しょう症の危険にさらされることになるのです。
「まだ若いから自分は骨粗しょう症とは無関係」というわけにはいかないのです
骨の健康を守るには
無理なダイエットによる栄養不足やカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの摂取不足は骨粗しょう症のリスクを高めることが知られています。
また、運動不足も要注意。なぜなら、骨に一定以上の負荷がかからないと骨が弱くなってしまうからです。
喫煙やアルコールの過剰摂取なども骨粗しょう症のリスクとして知られています。ストレスがたまって喫煙、アルコール、暴飲暴食に走りがちな人は、ストレスへの対処法を見直したほうがよさそうです。
深呼吸をする、お風呂でくつろぐ、ストレッチをする、散歩に出る、趣味に打ち込む、友人とおしゃべりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
未来の自分に健康投資を
加齢ややがて迎える更年期・閉経は避けて通ることはできませんが、生活習慣を見直すことで将来の骨粗しょう症のリスクを最小限に抑えることはできそうです。
よい生活習慣を身につけることは骨粗しょう症対策と同時に生活習慣病の予防にもつながります。
栄養バランスのよい食事を心がけたり、すき間時間にストレッチやウォーキングをして体を動かしたり――多忙なときも自分のために少しだけ時間を捻出してみませんか?
<参考>
※「国民健康・栄養調査報告/令和元年」(厚生労働省)
※スポーツ栄養WEB(スポーツ庁)
※「骨を守る生活習慣」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2021年9月号 )
※『働きざかりの骨と健康』(北海道牛乳普及協会)