子宮筋腫ってどんな病気？

最近増えている子宮筋腫。
ごく小さな筋腫も含めると、成人女性の３人に１人はかかるといわれ、 いわば、顔にできるシミと同じくらい、よく見られる病気です。

子宮筋腫というのは、子宮にできるこぶのような腫瘍のこと。
おもな症状には月経血の量が異常に増える過多月経があります。できる場所によっては、月経痛がひどくなったり、妊娠しにくくなることも。さらに筋腫が大きくなると、周囲の臓器を圧迫して、頻尿や便秘といった症状も現れます。子宮筋腫は良性の腫瘍なので、命にかかわることはありませんが、さまざまな形で女性のＱＯＬ（生活の質）に影響します。

女性ホルモンが大きくかかわっています

子宮筋腫ができる原因は、はっきり解明されていませんが、女性ホルモンが影響していることはたしかです。女性ホルモンによって、子宮の壁の筋肉組織が増殖してコブ（筋腫）になり、大きくなっていきます。
そのため、子宮筋腫は女性ホルモンの分泌が活発な30～40代に多く発生し、閉経後は筋腫が小さくなっていくのがふつうです。

最初は自覚症状があまりないので、婦人科検診で早期発見を！

最初は自覚症状がほとんどないので、筋腫があっても気づかない女性が多いものです。でも、どんな病気にもいえることですが、大切なのは早期発見と早期治療。そのためには、何より婦人科検診を受けておくことが大事です。
以前は、30代後半から増えてくるといわれていましたが、初経年齢が早まった現在では、20代前半や10代前半でも子宮筋腫が見つかることがあります。症状のあるなしにかかわらず、10代後半～20代前半でも自分は無関係と思わずに、きちんと婦人科検診を受けましょう。

子宮筋腫の種類によって、症状が違います

筋腫の種類は大きく分けると、次の３つに分けられます

１）粘膜下筋腫

子宮の内側に向かってできる筋腫で、筋腫が小さくても、月経量が大変に多くなる過多月経になるのが特徴。

２）漿膜下筋腫

子宮の外をおおっている漿膜にできる筋腫。症状が出ないことが多いのですが、大きくなると、おなかを触ったときコブのようなものがふれるようになります。筋腫のコブが直腸や膀胱を圧迫するので、頻尿や便秘などの症状があらわれてくることも。

３）筋層内筋腫

子宮の壁の中にできる筋腫。小さなうちは症状も痛みも少ないのですが、筋腫が大きくなると月経痛が重くなったり、おなかを触るとコブのようなものにふれるようになります。発生場所によっては、不妊の原因になることもあります。

症状が進むと治療が必要です

筋腫が小さくて、とくに生活に支障が出るような症状が出なければ、必ずしもすぐに治療が必要なわけではありません。定期的に経過観察をしていきます。自分の筋腫がどのくらいの大きさで、そのくらいの速度で成長するかを確認するためにも、定期的に検診を受けましょう。
過多月経で貧血がひどいなどつらい症状があったり、筋腫が大きい場合は治療を行います。治療には「薬物療法」と「手術」があります。
どのような治療をするかは、筋腫の大きさや症状、妊娠の希望の有無、年齢によっても違います。主治医とよく相談しましょう。

１）手術療法

子宮を残して筋腫だけを取る手術と、筋腫子宮ごと取り除く子宮全摘手術があります。年齢が若い女性やこれから妊娠を希望する人には、極力子宮を残す方向で手術が行われます。
一方、比較的年齢が高くもう子どもを産む予定のない人は、治療選択のひとつとして子宮全摘手術がすすめられます。子宮全摘術では、子宮を取ってしまうので、再発の心配がなくなります。

２）薬物療法

ＧｎＲＨアゴニストというホルモン薬を使って、ホルモンの分泌を抑え、閉経と同じような状態する治療法です。半年から1年ほどで、筋腫が小さくなり症状も改善しますが、薬をやめると再びもとに戻ります。また、この薬は副作用として更年期のような症状が出たり、骨量が低下するので、６か月までしか使えません。そのため閉経間近の女性を対象にするのが一般的です。また、手術前に、筋腫を一時的に小さくして手術しやすいようにする目的で使われることもあります。
最近は、ホルモン付加ＩＵＤ（子宮内避妊具）が登場し、子宮筋腫の治療でも使われるようになりました。これは子宮内に挿入する避妊具で、女性ホルモンのひとつである黄体ホルモンが持続的に子宮内に放出されるので、過多月経から解放されます。