プラスコラム
PLUS COLUMN

心とからだの悩みにお答えします

読者のみなさんからいただいたご質問の中から、「心とからだ」の悩みや疑問を選んで、対馬ルリ子先生に、ズバリ回答していただきました。

 

月経2週間前ころから、起こるさまざまな心身の不調を総称して、「PMS(月経前症候群)といいます。
多くの女性に起こるものですが、ご質問の方のように生活に支障がでるほどつらい症状がある人もいます。
排卵後から月経までの間を「黄体期」といいますが、この期間は、受精後のからだを守り、妊娠を継続させる働きのある「黄体ホルモン」が多く分泌されます。
そのため、この期間の女性のからだは、自然とエネルギーの蓄積モードに変換。
からだがだるくなったり、やたらと甘いものがほしくなったり、むくみや頭痛、イライラ、憂うつなど、全身に不調が現れやすくなります。


PMSには、低用量ピルや漢方、抗うつ剤などいろいろな治療法がありますから、がまんしないで、女性外来や婦人科を受診してください。
また、この時期は、ストレッチをしたり、ビタミンやミネラル(ビタミンB6、ビタミンE、マグネシウム、カルシウム)を意識的に補給する、のんびり過ごすなどの工夫で、PMSがかなりやわらぎます。基礎体温をつけて、不調の起こる時期を把握しておくのもよい方法です。

 

Q 寝つきが悪く、夜中にも目覚めます。更年期? それとも、うつでしょうか。(52歳 主婦)

A おそらく更年期でしょう。女性外来の受診をおすすめします

女性の心とからだに嵐のように不調が起こるのが更年期。更年期障害は、ほてりや動悸などが有名ですが、不眠や情緒不安定、肩こり、めまい、冷え、関節痛など、全身のあらゆるところに不調が現れます。

これは、女性ホルモンが一気に低下することにより、自律神経が乱れて起こるものです。
読者の方の年齢からみると、睡眠障害は、更年期症状のひとつと考えられます。


まずは、受診をしてください。更年期障害はもちろん、心の不調にも対応してくれる女性外来がおすすめです。
閉経前なら低用ピルを、閉経後からはHRT(ホルモン補充療法)を使って、女性ホルモンを補うことにより、睡眠障害が改善することも多いものです。睡眠導入剤や抗うつ剤を使うこともあります。
こうした薬は怖い、と思う方もいるようですが、どれも安全な薬です。安心して使って、よい睡眠を確保してください。

 

Q 生理の量が多く、貧血気味。低用量ピルを使ってみたいのですが、
良い点・悪い点を教えてください。(38歳 会社員)

A メリットの多いピルをぜひ使ってみてください

低用量ピルは、避妊だけでなく、PMSや子宮内膜症、月経困難症、更年期障害、月経過多による貧血改善などさまざまな婦人科の治療に使われています。
ピルを使うと月経痛が改善し、月経量も半分以下になります。
もう大きなナプキンは不要になりますし、会議や打ち合わせ中に、月経血でスカートを汚すのでは、とハラハラすることもなくなります。
また月経周期を順調にし、月経をずらすなど、月経自体をコントロールできるので、イキイキ安心して生活できます。


そのほかにも、子宮がん・卵巣がんの予防、卵巣腫瘍や良性乳腺腫瘍の予防、体調・メンタルの安定、骨粗しょう症の予防にも有効です。
低用量ピルでは、デメリットはほとんどありません。
飲みはじめに、2~3割の人に乳房の張りや、むかむかするなどの症状が現れることがあります。けれども、2~3週間続けて飲むうち、これらの症状も消えていきます。

 

元気&キレイのための5つのポイント

女性ホルモンは元気&キレイのために、かかせないもの。
上手に付き合って毎日を気持ちよく過ごしましょう。

1.バランスのとれた食事

偏った食事でビタミンやミネラルが不足すると、月経前症候群の症状が重くなりがち。また、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンは、プレ更年期を和らげてくれると言われています。意識的に大豆製品やバランスの良い食事をとるようにしましょう。

 

2.規則正しい生活

疲れ、睡眠不足、ダイエットなどで女性ホルモンの機能は低下しがち。疲れたと思ったら無理をしないで休養をしましょう。基礎体温や体調の記録をつけて自分のからだの変化を知ることも大切です。

3.常にトキメキを

ときめくと脳が刺激され、卵巣の働きもよくなります。ドキドキしたり、ワクワクすると女性ホルモンの分泌もアップ。楽しみを見つけると、ホルモンの働きをよくするだけではなく、何ごとにも前向きになることができます。

 

 

4.ストレスをためない

ストレスは女性ホルモンの機能低下の原因。運動やお買い物など自分の楽しめる方法でストレスを発散しましょう。ストレスを感じたら深呼吸でもリラックスできます。またピルや漢方薬などで心を安定させることができます。自分に合った方法で上手にストレスを解消しましょう。

 

5.半身浴で血行アップ

39度前後のお湯におへそのあたりまでつかり、20分はゆっくり入っています。汗をかくことで、血行がよくなって卵巣の働きも活発になります。からだだけではなく、こころの緊張も緩和するので、不眠やイライラにも効果があります。アロマなど自分の好きな香りをプラスすると効果が高まります。

 

 

プロフィール

対馬 ルリ子 先生
産婦人科
対馬 ルリ子 先生

日本産婦人科学会認定医、日本思春期学会理事、日本性感染症学会評議員、女性医療ネットワーク発起人代表。

2003年、女性の心とからだ、社会とのかかわりを総合的にとらえ、健康維持を助ける女性専門外来をすすめる会「女性医療ネットワーク」を設立。『「女性検診」がよくわかる本』(小学館)ほか著著も多数。近著に『娘に伝えたいティーンズの生理&からだ&ココロの本』(かもがわ出版)がある。