プラスコラム
PLUS COLUMN

若い女性の健康課題は「やせ」

ダイエットは多くの女性の関心事。

けれども日本では、若い女性のヤセが問題になっているといいます。

何が問題なのでしょう?

 

国際比較でみると、日本女性の「やせ」は顕著

 女性は年代を問わず、スリムな体型でいたいという「やせ願望」があるようです。ほとんどの女性が、一度や二度はダイエット経験があるのではないでしょうか。

 しかし、世界平均から比べてみると日本の若い女性のやせすぎが深刻になっているといいます。

 たとえば、2016年の成人女性のやせの割合の国際比較では、先進国のやせの比率は必ずしも高くないのですが、日本女性のやせの割合は顕著で、先進国で最も多いそうなのです。

 

20代女性は5人に1人が「やせ」

 実際、令和元年の厚生労働省に調査をみると、20歳代女性のやせの割合は20.7%。実に5人の1人がやせすぎの指標のBMI18.5未満に該当している結果となりました。

 過去の調査をみても「やせ」の人が増加しているのに対し、意識としては自分は「太っている」と評価する人が増えています。

 つまりは、普通体重であっても「やせたい」と体重を減らそうとする女性が多いようなのです。

でも、なぜ「やせ」がそんなに問題になるのでしょうか?

 

やせがもたらすさまざまな健康リスク

 肥満がさまざまな病気のリスクになることが知られていますが、実はやせも同じようにリスクを招くといわれています。

 とくに問題になっているのは、やせや栄養不足が招く、月経や骨粗しょう症の問題、また妊娠や赤ちゃんへの影響です。

 体重や体脂肪が急激に減ると、月経が不規則になったり、月経があっても排卵しない無排卵月経を招くといいます。

さらにやせすぎれば月経自体が止まってしまうことが知られています。そうなれば自然妊娠はのぞめませんし、女性ホルモンの恩恵も受けられなくなってしまいます。 

また、一般的に骨量のピークは20歳前後で、それ以降は増えにくくなり減少していきます。

若いときに骨量が少なければ、もともとスタート地点の骨量が不足しているのですから、その分早く骨粗しょう症になりやすいと専門家は指摘します。

 さらに妊娠前に「やせ」であった女性では、ふつう体型の女性に比べて早産や低出生体重児を出産するリスクが高くなることが懸念されているそうです。

 

ダイエットは本当に必要?

 太っていると、糖尿病や高血圧など病気のリスクを想像しやすいものですが、やせにはあまり不健康なイメージがありません。けれども、専門家はやせにも健康リスクが伴うことを知っておくべきだといいます。

肥満またはやせの判定に使われるのが、BMI(Body mass index=体格指数)で、BMI値=体重(kg)÷(身長m×身長m)で算出されます。

BMI値18.5~24.9が標準でBMI値が22になる体重が最も病気になりにくい状態であるとされています。

あなたは、美容目的で減量の必要がないのにダイエットを続けていませんか? 

 でも、はたして本当に太っているのでしょうか?

 ちょっと立ち止まって考えてみてはいかがでしょう。

 

 

<資料>

※「令和元年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省

※「平成10年 国民健康・栄養調査 」(厚生労働省)

※「男女の健康支援」(男女共同参画局)

※「BMI」(e-ヘルスネット 厚生労働省)

※「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から、健康なからだづくりを~」(厚生労働省)

 

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。